音楽の力でウクライナ市民を支援するチャリティー始めました。〜「露の侵攻」の背景を理解するために読んだ本
この三ヶ月間、メディアではロシアのウクライナ侵攻の報道で溢れています。ロシアが国際法を無視した、覇権主義的暴挙であることは間違いありませんが、ウクライナの大統領が、正義のヒーローのように描く短絡的な報道には違和感があります。戦争を回避できるのが、本当の有能な政治家のはずですよね。
ただ、どこから見ても、ウクライナの一般の人々が、理不尽にひどい目にあっていることだけは間違い有りません。心を痛めるという言葉では足らない思いを抱いて呆然としていました。
そんな時に、ウクライナ人の妻を持つ日本人起業家から、音楽を使ったチャリティーができないかと相談を受けました。
プロ作曲家のコーライティングによるチャリティー
相談した伊藤涼は、二つ返事で創作/制作を引き受けてくれました。Co-Writing Farmのメンバーを中心にプロの作曲家がコーライティングしてHomeという作品が制作、リリースすることができました。
賛同してくれた音楽家たちの協力で、原盤権、著作権が全額チャリティーに当てられる形になっています。現地事情に明るい岸さんがチェックして、医療機器を始めとした人道支援に全額充当されるようにしています。音楽配信サービスなどで再生された原盤権からの売上は、Tunecoreというディストリビューターを通じて、日本のNPO法人の口座に振り込まれます。著作権は、アメリカのダウンタウンミュージックが運営するSONGTRUSTというサービスを使って、低率の手数料(10%)で同じくNPOに著作権使用料が払われます。善意で行うことだからこそ、詰めが甘くならないように枠組みは確認しました。
音楽に関する印税の全額がウクライナの人道支援に
詰めが甘くないのは音楽制作も同様です。チャリティーということに甘えること無く、プロの音楽家たちがプライドを掛けて、たくさん再生される、ウクライナの人たちの気持ちに寄り添うという目的に向かって制作されています。プロの仕事としてお聞きになって下さい。あなたが使っているストリーミングサービスで再生すると、印税の全額がウクライナに送られます。
下記からリンク先をご確認下さい。
nanaで歌って支援という広がり
実はこの件を僕に相談してくれたのは、nana代表の文原くんでした。nanaを始めた動機が、「We Are The World 25 For Haiti」だという彼は、音楽の力で多くの人々に力を与えるというのがミッションの人です。一緒に座組を考えて、実現にむかってきました。
そんな経緯ですから、もちろんnanaも積極的に支援しています。オリジナルバージョンのカラオケが提供され、みんなに歌ってもらいやすい環境が用意されています。是非、歌ってみて下さい。この「Home」という歌を起点にした試みが、どこまで広がっていくのか、期待しています。
一日も早い停戦を願っていますが、停戦合意が行われたとしても、国土が荒廃してしまったウクライナへの支援は、むしろそこからがスタートです。自分の家を、家族を、故郷を大雪にする気持ちに洋の東西は問いません。楽曲を通じて、少しでもウクライナの人たちの気持ちに寄り添うことができたらと願っています。
日本人が見落としがちな「国」の定義の曖昧さ
さて最後に、今回のウクライナ侵攻の拝見を知るために僕が読んだ本や、考えたことを少しだけ紹介します。
2014年に行われたロシアのクリミア半島の併合も許せませんが、ロシアに親近感を持つ住民たちの投票で希望したという建前になっていました。緊張が高まっているという報道は目にしていましたが、プーチンの狙いは、ロシア語話者が多い、東部の州にクリミア半島と同様のスキームでNATOの緩衝となる傀儡政権を作るだと思っていたので、キーウ(今回からキエフからウクライナ語発音に報道が変わりましたね)爆撃が始まったときには驚きました。もちろん、許せない暴挙ですね。
ただ疑いもなくいちばん大事なのは、人の生命、特に民間人が死なないことです。ウクライナ軍頑張れ!ではなく、一日も早い停戦を願いましょう。
暗い気持ちになりますが、少しでもロシアのウクライナ侵攻について理解力が持てるように、何冊かの本を読んでいます。まず、オススメしたいのは、池上彰のこの本です。
複雑なヨーロッパの歴史が日本人にも理解できるように整理されています。
僕が印象的だったのは、スターリンのやったことの罪の重さでした。
もう一冊のオススメは、ライトな読み物的な本です。 滅亡してしまった国をまとめて紹介しています。「トンデモ国家」的な国も含まれていますが、固定的にになりがちな「国家観」を柔らかくするのには、役に立つ気がします。
島国で国境についてはある程度明快で、天皇家の系譜は1500年以上遡れる歴史がある日本は、近代ヨーロッパで始まった「民族ごとの国家」という概念との相性が良かったようです。それは良かったとは思うのですが、その分、日本人は「国」の定義について掘り下げる機会がありません。また、多様な「国家」が存在していることが感覚的に理解にしくいと思うのです。この『世界滅亡国家史』を苦笑いしながら読み進めて、国家に関する固定観念を無くす助けにしましょう。
プーチンのウクライナ侵攻で掲げているロジックは全く認められないものですが、ウクライナもロシアも同じスラブ民族で両言語が話せたり、そもそも言葉が似ていたり、歴史の中で国境が変わっていたりしているのもまた、事実です。
台湾とのアナロジーは適切か?
ウクライナ侵攻のニュースが連日報道される中で、中国の武力による台湾併合の可能性と比較されることが多くなりました。国際社会が、プーチンの暴挙をしっかり止めないと、習近平に誤ったメッセージが伝わるかもしれないというのは確かにそうだと思います。
香港の民主主義が踏みにじられているのは酷いなと思いますし、民主主義が根付いている台湾は守らなければいけないなと思います。ただ、覇権主義的に立っている政治家、特に独裁者と同じレイヤーで考えるのではなく、もっと幅広い捉え方をしていきたいなと、つくづく思います。
愛国心は大切ですが、過剰なナショナリズムは人類を不幸に導きます。ロシア人とも、中国人とも、ウクライナ人とも、台湾人とも、人と人として付き合っていきたいです。
そんな気持ちで「Home」を聴いてみて下さい。
この記事が参加している募集
モチベーションあがります(^_-)