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「DAWはAIのインターフェスになる」「コーライトメンバーにAIが加わる」AI時代の作曲家と「山口ゼミ」で学べること

 年末から新しい著作の執筆準備を進めています。仮題は『職業作曲家3.0の時代〜AI時代のプロフェッショナルクリエイター(仮)』としています。ビジネス面と創造面の両方で、大きな環境変化が起きていることを指摘した上で、音楽と通じた自己実現≒仕事にする際の考え方やTIPSをまとめた本にしたいと思っています。マクロ的に捉えたマインドセットと、細部を具体的に示す事例の両方をバランスよく共存させたいと腐心しているところです。

組織に依存しないビジネススタイル=職業作曲家3.0型

 デジタル化が原因で、音楽制作のプロとして仕事をしていく前提が大きく変わっています。良い意味でも村社会的に閉じていた日本の音楽業界では、業界慣習を守りながら、職人的クリエイターで良い作品を作っていけば幸せになれる環境がありました。個人で音楽制作が完結できる環境が生まれたことで、その前提は崩れています。
 「山口ゼミ」を通じて、業界慣習の意味を伝えて、ルールとトンマナを守るように伝えてきていますが、もうそれだけではダメだということも言わないといけないなと思うようになりました。3年くらい前から「職業作曲家3.0」というコンセプトを唱えています。

 僕らが「山口ゼミ」/Co-Writing Farmを通じて訴えてきたコーライティングの活用が日本でもやっと一般的になり、制作環境の具体はクリエイター側に委ねられるようになりました。レコード会社のA&Rはジャッジはしますが、制作現場への関与はどんどん少なくなっています。今のこの状態は過渡的で2.0と捉えて、次を見据えておくことが重要だというメッセージも伝えていきたいです。
 まずは、楽曲創作/音楽制作のイニシアティブがレーベル主導から、コーライティングを活用したクリエイターチーム側に移っている今の状況を把握、そこで能力を発揮できる2.0型のプロ作曲家になることが今、やるべきことです。「山口ゼミ」は3ヶ月間。その後半年間の「山口ゼミextended」を通じて、自分の得意分野を活かしながらプロになる方法を伝授します。卒業生によるコミュニティ「Co-Writing Farm」では、コンペを勝ち抜くことに取り組みながら、まクリエイターが責任を持って音楽制作をするという実績を積み上げてきています。

飛躍的な進化を見せるAIとの付き合い方

 もう次の時代の姿が見えてきています。生成AIの飛躍的な進化が、作曲にも影響を与えます。AIとの付き合い方のマインドセットとノウハウの詳細はこれから書く本の柱の一つです。
 ざっくり言うと、人間にしかできないこと=クリエイティブAIの方が得意なこと=スキルとわかりやすくするために整理して説明します。スキルはAI活用を徹底して、イマジネーションを働かせてクリエイティブに集中しようということです。作品の背景、ストーリーテリングという言い方をしますが、いわばアート的な価値をつけることが人にしかできないことになります。コミュニケーションスキルの重要性は増し(だって人間にしかできないことだから)、いわばコーライティングのメンバーにAIを入れて、上手に使っていくということですね。
 歌声生成AIも進化していますし、楽器音もサンプリングというレベルを超えて、Melismaなど生成AI的なツールがどんどん発達していくでしょう。DAW(digital audio workstation)アプリは、AIツールをまとめて操作するインターフェースといった役割になり、どんどんどんどん便利になっていくはずです。 

11年目の山口ゼミで伝えていくこと 

 詳しくは6月出版予定の書籍を待ってもらうとして(そろそろ本気で書いていかないと^^;)そんな時代認識の僕が「山口ゼミ」を続けていくとしたら、何を伝えるのか?AI全盛時代にプロの作曲家は成り立つのか?ということについてです。
 「職業作曲家3.0」という呼称を象徴的に使っているのですが、Web3.0になってもYahoo!的なディレクトリー型やwww.のHPといった1.0型のプロダクトもインフラ的に残っているし、2.0を代表するGoogle検索も暫くは使われ続けるというような意味で、従来の職業作曲家のモデルもすぐには無くなりません。必然的な変化は、不可逆的で元には戻りませんが、どのくらいの速度で進むかを正確に予測するのは不可能です。個人はそれぞれの人生の都合がありますから、必ず起きる未来だからといって、10年待つことはできないですよね?
 なので、今はコンペで勝っておいて、プロの作曲家として実績を積み上げていくことは重要です。ただ、15年位前までのように、日本国内の業界慣習をお行儀よく守って、「良い曲」を作ることだけを続けても、収入は大きく上がりませんし、評価も上がりません。次世代型の活動を並行して始める必要があります。音楽家は楽しく作品を作っていないといけません。楽しく創作していない音楽家は魅力的ではないですし、魅力的な人と仕事をしたいし、ユーザーも魅力的な人の作品に興味を持つという変わらない真実があるのです。
 僕が「山口ゼミ」で伝えることは2.0型職業作曲家=コーライティングを上手に活用して、コンペに勝って作品をたくさんリリースし、音楽家としての経験値を上げていく、ことをやりながら、3.0型の活動も始めていく、その適切なバランスです。正確な「時代感」を把握して、自分の適性とやりたいことが言語化できていれば、音楽創作の喜びを感じながら、キャリアアップをしていくことができるはずなのです。総論的にはそういうことなのですが、具体的にどうするかの「各論」は一人ずつ違います。「山口ゼミ」は、個別にカスタマイズしたキャリアメンタリングが売りです。アーティストマネージメントを長年やってきた経験で、その人に最適な方法論をアドバイスする(正確に言うと、迷わずに考える方法を伝えて、一緒に考える)ことをやっています。「え、それってどういうこと?」という人は、オンライン説明会に参加して、質問してみてください。

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モチベーションあがります(^_-)