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プロダクトマネージャーや企画職に必要なスキルを現役PdM視点で整理してみた

こんにちは。Yamaです。

転職支援をテーマに、『第一志望をつかむ転職術シリーズ』のnoteを発信してきましたが、

今回は"『企画職』に必要なスキルとは何か?"を、現役企画職ならではの実践に近い視点でご紹介します。

どういう人向けか
✅企画職になるには、どういう能力やスキルが必要なのか知りたい人
✅そもそも企画職ってどういうことをするのか知りたい人

企画職とは何か?

「企画職」と一口に言っても、業界や対象とする商品ごとに、幅広い表現があります。

企画職の中でもモノづくり系に関わるものだけで、

商品企画、サービス企画、プロモーション企画、プロジェクトマネージャー、プロジェクトマネージャー、サービスマネージャー、web企画、プロデューサー、ディレクター、プランナーetc…

…と挙げていくと切りがない程です。

呼び名が同じでも、会社や業界が違うと求められるスキルや技能を含めた役割も異なります。(ここがまた企画職の定義が広くなりがちな理由です)

新卒の時から数えて約20年、モノづくり系の企画職に従事してきた人間として

「(モノづくり系の)企画職って何をする仕事ですか?」と聞かれたら、

「アイデアを考えて終わりではなく、その後何らかの形で世にアウトプットする仕事」

と答えるようにしています。

そしてさらに重要な要素を付け加えて、

「アイデアを考えて終わりではなく、(色んな人の力を借りて)その後何らかの形で世にアウトプットする仕事です。」

これがズバリ、モノづくり系の企画職の仕事です。

就活の時は、「アイデア考えるの楽しそう」くらいで選んだ

実際、私が企画職を志したのは就活のときに、「営業って外回りでキツそうで嫌だなぁ。企画職ってアイデア考える仕事だよね、そういうの得意だし、そっちで行こう!」くらいのノリで応募していました。

(※今思うと、イメージ先行でろくに職種に関して調べようともしなかった昔の自分が恥ずかしいばかりです。)

応募にあたりネットで検索して出てきた「企画職に必要なスキル」みたいなページを見たりもしましたが、

「企画提案力」、「調査・分析力」、「コミュニケーションスキル」など、ふわっとした書かれ方が大半で、実際にどんな業務かをイメージした上で面接に望んでいなかったと思います。

幸いなことに、「面接に企画書を持参する」という技の後押しもあって新卒ながらある企業の商品企画に内定をいただくことが出来ましたが、

「アイデアを考えるだけでなく、むしろ具現化する部分がメインであり醍醐味である」という企画職の本質的な概念は、入社後、実務を通じて真に理解していきました。

本noteで紐解く企画職のスキル

次項より企画職として、「どういった商品を作るか考える」から始まって、「実際にモノとして世に出す」までの流れの中で、実際どういうスキルが必要になるのか、そのスキルで実務として何が必要になるのか…を解説します。

というのも、企画職に必要なスキルから整理すると、その能力がどこで必要とされるのか(実務経験が無い場合は特に)、ピンと来ないと思ったからです。

✍補足
私の経歴が、ソフトウェアサービスやプロダクトの商品企画〜サービス企画であるため、必要なスキルもそれに寄ったものになっています。

モノが世に出るまでの流れ

「こういうものを作りたい」と考えてから、実際にモノとして世にリリースされるまでの大まかな流れは以下の通りです。

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各工程ごとに必要になってくるスキルに加え、随時必要となるベーススキルが合わさって、企画職に必要な全体の「個の力」となります。

補足
最近のスマホアプリやweb系サービスでは、サービスインした後も継続的にサービスやプロダクトの磨き込みを行って、事業を成長させていく場合が多いので「グロース/改善」も含めた形で記載しました。

❗ざっくりと各工程を説明すると以下になります。

■戦略決め…サービスやプロダクトの価値定義と目指す方向性を指し示した上で、攻め方を定める。

■戦術策定…戦略を実行するための具体的なプランを決める。初期のアイデア構想もここで決める。いわゆる「新しいアイデアを考える」という言葉がここに当てはまる。

■具現化推進…アイデアを実際のモノにする全行程を推進するためのありとあらゆる仕事。

■販促計画…作ったモノをどのように世に知らしめるかを計画しする。販促やプロモーション企画とも言われ、それ専用の部署があり、そこと連携しながら進める場合も多い。

■グロース/改善…リリースした後の品質向上や機能追加などアップデートを行い成長・拡大を実行していく。

各フェーズごとの必要スキル

各進行フェーズごとに必要なスキルと、そこに紐づく具体的なアクション例を書いてみました。

戦略決め

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商品を検討するに至った背景把握から、目指す方向性を明らかにし、その上で『誰に、何を提供するのか?』という戦略を決定します。

下に行けば行く程、より具体的な施策に近づいていくイメージです。

表の上半分の『WHY』の要素が濃い部分は、高度な意思決定が伴うアクションのため、ある程度経験を積む必要があったり、組織によっては部門長など上のレイヤーや経営戦略系の部門と共同で設定していく場合もあります。

大きな方向性を決めるフェーズであり、"自ら意思決定した場数や経験"が、人材価値に影響を与えます。

戦術策定

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決まった戦略をどのように実現するか、具体的なアイデア(戦術)に落とし込んでいきます。

プロジェクト内のいち企画メンバーとしての参画の場合は、流れに従ってパフォーマンスを発揮すれば問題ありませんが、

自身がプロジェクトを牽引する立場の場合は、アイデア出しの手法の引き出しの多さや、その使い所の良し悪しも求められます。

また、アイデア選定する段階では、なぜそれを残すのかを納得のいく形でメンバーに説明できる力も要求されます。

具現化推進

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おそらく、モノづくり系の企画職で最も時間を費やすことになる部分が、この"具現化推進"フェーズです。

出てきたアイデアを設計・開発していけるように、仕様を定義し、開発全体の進行管理(ディレクション)を行っていきます。

この表に書いていることをすべてやるという訳ではなく(人数の少ない小規模なプロダクトだとあり得る場合もありますが)、適宜主担当の部門や特化した担当者と一緒に完成へ向けて推し進めていくイメージです。

プロジェクトマネージャーやプロダクトマネージャーの場合は、開発上の依存関係を把握した上で、部門間を適切につないだり、開発進行中に100%発生する様々なトラブルや課題を都度解消していきます。

開発中盤〜後半にかけては、カスタマーサービスチームとの連携や営業部門への商品説明など、開発そのもの以外の働きも必要になってきます。

昨今では、セキュリティ関連を始めとするリスクマネジメント力も重要なスキル・経験になっています。

販促計画

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商品は作っておしまいではなく、どう多くの人に使ってもらうか(売るか)もセットで考える必要があります。

ある程度の規模の企業であれば、プロモーションや広報の部門があり、そこと連携しながら販促計画を煮詰めていくフェーズです。

その場合でも、担当部門に任せきりというより、商品に込めた想い(どういう人にどんな体験をさせたいか)や仕様などを詳しく伝えていくことが重要になります。

グロース/改善

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これらは、商品やサービスをリリースした後に、継続的にサービスやプロダクトの磨き込みを行って、事業を成長させていくためのを取り組みを切り出してまとめたものです。

まずサービスの現状をレポートしながら、どこに課題や伸びしろがありそうか仮説を立て、それをデータで検証します。

見えてきた課題に対するアイデアを検討し、角度の高そうなものから改善施策として順次リリース。またその結果を分析して、仮説、改善…を繰り返していきます。

web系やプラットフォーム系サービス、スマホアプリなど継続的成長が前提のビジネスモデルでは通例となっている形です。

経験や知識次第で、良い仮説の立て方(良い問いを設定する)に差が出る部分です。

改善施策の規模は、不具合改修から、小規模のUI改善、中〜大規模のメジャーアップデートなど多岐にわたり、そういった施策のロードマップ(及び目標設定)の策定なども全体統括の立場には求められます。

ベーススキル

最後に、企画職として常時土台となるベーススキルを紹介します。

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「対話・交渉力」〜「ファシリテーションスキル」までを総じて「コミュニケーション能力」と称されることもあるでしょう。

プレゼン能力などは「伝える力」の一貫だとお考えください。

企画職は周囲の力を借りたり、発揮させるシーンが多いため、相手の立場を理解した上で、自分の考えをわかりやすく伝え、動いてもらう必要があり、
そのための「伝える力」は重要なベーススキルとなります。

純粋にプレゼン資料の構成力や、プレゼンそのもののスキルもさることながら、沢山の職種や業種の方と共闘してきた経験も、相手の土壌や背景察知能力として大変役立ちます。

その他、純粋な知識や能力としてデザイン系やエンジニア系など各種開発スキルはあって損をすることはありませんが、無いと企画職に就けないかと言うとそうではありませんので、ご安心ください。

ただ元デザイナーや、元エンジニア職の方が企画職に転向するケースは増えており、そういった人物が重宝されやすくなっているのも事実です。

後半に書いている「インプットスキル」にあるように、常に広い分野にアンテナを貼って、貪欲に情報を吸収したり、自己研磨できる能力は必須です。

一番重要なのは何?

私の考えでは、今回挙げたすべてのスキルに共通する能力として『観察力』があると思います。

自社の観察、市場の観察、ユーザーの観察、商品やサービスの観察、チームメンバーの観察…という形で、

企画職は、とにかく人や事象を観察し、その裏側にある理由や背景を言語化する機会が圧倒的に多く、結果それがアクションの元になっていきます。

だからこそ、「これは何でこうなっているのか?」という何事にも疑問を持ち、本質を覗こうと観察する力が非常に重要だと、個人的に考えています。

最後に、もうひとつ。

特にプロデューサー、ディレクター、プロジェクトマネージャーやプロダクトマネージャーといった全体を率いていく立場の企画職に何よりも大切なものをズバリ答えます。

それは、『情熱』です。

企画職とは「こういうものを作りたい」という言い出しっぺです。

モノが世に出るまでは、スムーズに行くことの方が稀なくらい、
途中で様々な課題にぶつかります。

・予算が足りない
・スケジュールが遅れる
・想定していた見積もりより膨れそうだ
・今の仕組みでは実現できない
・他の◯◯部門が納得してない
・上層部の方針がコロコロ変わる
・チームメンバーの不満が溜まっている
・メンバーが異動になった、転職した

大規模なプロジェクトになればなるほど、関わる人数も増え、日々の細かい仕様の調整をやってるところに、さらに追い打ちをかけるように、大小様々な問題が起こります。

そんな時こそ、「何がなんでも、これを作りきりたい!」という『情熱』が何よりもの推進力の源になるのです。

『情熱』とは、言い換えれば、"圧倒的当事者意識"とも言えます。

『情熱』のサイズや持ちようによっては、「これくらいでいいや」という人任せ感が出てしまい、その結果自分のディレクションに責任を持たない形でモノづくりを行うことになります。

勝負は時の運ということもあり、「人任せ感」でもそれなりに上手くいくケースもありますが、失敗した時は関わった人全員が不幸になることもあります。

だからこそ、言い出しっぺである企画職としてモノづくりに挑むからには、
出来る限り自分の情熱の火を最大火力で灯しながら望むという気概がとても大切なのです。

まとめると、

一番必要な力は『観察力』であり、すべてを支える『情熱』を出来る限り大きく持って望むのが、理想の企画職の在り方であると言えます。

おわりに。

今回は、IT・web・アプリ系を中心に長年企画職として実務に携わってきた経験則を元に、「企画職に必要なスキル」を整理しました。

今回ピックアップしたスキルや能力が企画職にはすべて必要ではありません。

各スキルの重み付けに加え、経験量、価値観、考え方など、総合力として各個人(企画者)の個の力となります。

転職市場で企画職を探す時は、自分がどのスキルをどれくらい持っているか(伸ばしたいか)と相手の求めを照らし合わせることが重要となります。

本noteで、ふわっとしがちな企画職のスキルが、どのようにモノづくりの流れの中で発揮されていくかが、読む前よりも皆様の中で具体的なイメージが描けていれば幸いです。

長文お付き合いいただきありがとうございました。

※文中にも登場した「面接に企画書を持参する」という転職術についてはのnoteでも詳細に解説していますので、チェックしてみてください。


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