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本と公園①⑧ 〜秋のピクニック〜

久しぶりの公園。天気が悪かったり、新潟の拠点整備に行ったりで随分と間が開いてしまった。秋晴れの気持ち良い日差しを浴びながら自転車を漕ぐ。

設営中にいつもの自転車のおじいさんが来てくれた。久しぶりに会ったが、いつも通りのお話。
近くで市民農園をやっているんだよ、昔に赤米の種が農家の倉庫から見つかったらしいよ、ここはいい場所だね、この屋台いいねとこれまで何度も聞いたお話(笑)
この辺は昔畑だったんだよ、この辺は苗字が同じでも親戚じゃないらしいよ。
初めて聞けば豆知識なことも、もう5回以上聞いているからなんの豆知識でもない。ただ元気そうな姿を見るとなんだか安心する。近くの柿の木の下に落ちていたという柿をくれた。

次に話しかけてくれたのは、ランニング中の男性。
仕事が休みで、家にいるだけだとダメだと思って走りにきたらしい。以前も屋台を見かけたことがあったが近くで見たことはなかったようで、屋台いいですね〜と言っていた。
それからは、本と公園の活動の話をしたり、地元の話をしたり。僕の地元、新潟にもキャンプでよく行くらしい。また来ますね〜と言って軽快に走っていった。そして、男性と話している間に、以前きてくれた女性がふらっと来て、うまい棒を1本いただいた(笑)

6人くらいのグループで史跡を散歩していた年配の女性グループが、「何あれ、屋台かわいい〜」と言いながら近づいてきた。
「面白そうな本がいっぱい〜」「これうちにもある〜」なんて話しながら、興味津々に本を眺めていると、公園の維持管理のおじさんが近づいてきた。
なんだろうと思うと、女性グループに「ほらこれ、あそこの木の下に落ちてるんだよ〜」と何やら木の実のようなものを見せた。すると、女性たちは「えぇ、すごーーい。どこどこ?」と言ってみんな歩いていく。それから数分間、木の下で拾ったあと、そのままどこかへ歩いていってしまった。
くそやろーーう。

保育園の子供たちが公園に遊びに来た。みんなで仲良く手を繋いだ遊びや鬼ごっこをしている。わいわいキャーキャーと楽しそうな声が響いていたと思ったら、急に小さい子が怒っている声がする。
「〇〇くん、ずるー!〇〇くん、ずるー!」
どうやら誰か1人がずるをしたようだ。少年が泣きながら必死に訴えている。先生は1人だけしかおらず、その子の話を聞いていたが少年の怒りは収まらないようで、一旦みんなの遊びの方に戻っていった。その間、少年はみんなの方に背を向けて、ぽつんと隅っこで座っている。
不器用だけどブレない少年がかっこいい。人間誰しも、歳を重ねるにつれて、まぁそんなもんだよなと諦めていくこと、自分の感情を閉じ込めていく人が多いだろう。少年のまっすぐな心、いいなぁ。

男性が1人歩いてきた。川崎から史跡を見にきたらしい。「もう時間を持て余して、いろんなところに行っているんだ」と言っていた。
あなたは何をしているのと聞かれ、新潟で空き家をお店にしたり、国分寺で野菜の配達をしたり、渋谷にある施設に仕事に行っていたりということを伝えると、「サラリーマンになる気はなかったのかい」と笑っていた。
「まぁ自分でやったほうがいいよ、人に使われるよりは。ただ人に使われるのは楽だけどね。俺は楽な方を選んだんだ。」
低い声でゆっくりと言葉を紡いでいく。
「家にばかりいてテレビと友達じゃやってられないから、来月からまた働きに行くんだ。まだ雇ってくれるところがあるんだね。。。まぁ頑張って」と言って歩いていった。徐々に小さくなっていく背中が、寂しそうにも嬉しそうにも見えたのはなぜだろうか、、、

いつも野菜の配達でお世話になっている方がダイチャリに乗ってやってきた。ネギとサラダセットをいただいて、少しの立ち話の後、走り去っていった。

ぶんじ寮のご近所さんがやってきた。たまに仕事の合間に来てくれる人だ。
新潟の空き家の話を少しして、また会議があるらしく帰っていった。時間のない中で来てくれるのは嬉しいなぁ。

お昼はぶんじ寮の住民がやっている「愛情押し付け弁当」という取り組みで、お弁当を配達してもらい、お弁当を作っているみんなで食べた。
今日のメニューはさつまいもご飯に豚の生姜焼き、卵焼き、サラダ、生姜の味噌汁。みんなで芝生に座り、ピクニック。
誰かが作ってくれたご飯をみんなで食べる、いいお昼だ。りんごももらったよ。

お昼を食べているときに来てくれたのは散歩中の女性。松浦弥太郎さんのエッセイを2冊買ってくれた。もう文字が大きいものしか読めないんだよ〜と言いつつも、2冊。笑顔で帰っていくのを見ると嬉しい。

少しして、1人の女性が歩いてきた。物静かなその人は15分くらい、じっくりと並んでいる本を見て、またゆっくり歩いていった。
なんだか不思議な感じもするし、そういう使い方をしてもらえるのも嬉しい感じ。

それからぶんじ寮の住民が来て少し話していると、維持管理のおじさんが来て木の実について話し始めた。それからぶんじ寮の住民とおじさんとで話が盛り上がっているのを横目に少し横になると、そのまま寝てしまった。30分くらいだろうか。起きたらちょうど話が終わったようで、じゃあまた!と帰っていった。ご飯食べて、公園で昼寝なんて贅沢だ。

いつも散歩中に立ち寄ってくれるおばあちゃん。少し離れたところから「どうも〜」と言いながら近づいてくる。そしてすぐに始まるマシンガントーク。ロシアの話から太平洋戦争やベトナム戦争の話になり、好きな詩の話まで。「ちょっと話過ぎちゃったかしら」と言いながら笑顔で帰っていった。

横浜から史跡を見に来たという男性が道を訪ねてきた。
駅までの道を聞かれたのでマップを見ながら案内。どうせならこの道を通ってあれを見ていくといいですよ〜なんてお話をしてお別れ。ついでに本も1冊買ってくれた。ありがたい。

続いては散歩中の女性2人組。ちょっと見ていいですか?と近寄ってきた。
そして手にしたのは昔の暮しの手帖。この道具懐かしい〜なんて読みながら盛り上がっていた。「あぁこんな蒸し器!」「あ、これもこれも!」
いい風景だ。

数時間前にInstagramで連絡をもらっていた「歩く本棚」という活動をしている方がいらっしゃった。ホームセンターなどで買える材料で作ったという背負う本棚。荷物を透明なものに入れて外に出た瞬間、公共性が出るんじゃないかということで、売ることでもなく、読んでもらうことでもなく、反応を見ることが目的らしい。ちょっと背負わせてもらったが、ちょうど良いフィット感でそんなに重く感じなかった。
自転車の屋台は重くて運転も大変で長距離の移動は難しいので、背負う本棚の身軽さに若干の羨ましさを感じる(笑)

いつもお昼に幼稚園の迎えのタイミングで来ていた女の子とそのお母さん。数冊本を持ってきてくれ、そしてまた1冊買ってくれた。今度ぶんじ寮で薬膳のご飯を作るらしい。楽しみだなぁ。午前中にいただいていた野菜をお裾分けしてお別れ。女の子も元気そうで何よりだー。

17時前、さすがに寒くなってきたので撤収。昼間はポカポカだったが、夕方は一気に寒くなり風が冷たい。撤収すると、近所の子供たちが遊びにきた。近くの公園で遊んだ後、締めは史跡が良いということで、まさかの公園はしご。一緒にだるまさんの1日を始めたが、30秒くらい経った後すぐに別の遊びに行ってしまった。大人しく帰るとするか。

久しぶりの本と公園だったが、常連さんに会えて、初めての人とも話せて、ゆっくり本も読めて、みんなでご飯も食べれて、お昼寝もできて、平和に時間が過ぎていった。
本の売り上げも前回と同じくらい。小規模ながらコツコツやっていき、少しずつ進化させていきたい。

来週は所用のためにお休みなので、次回は11月2日(水)だ。10時から日没くらい。武蔵国分寺跡にて。


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