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青春ロードムービー

早見和真さんの「ポンチョに夜明けの風はらませて」を読みました。
学生時代に、楽しい充実した毎日を送っていた人は、
果たしてどのくらいの人がいるのだろう。
僕は、青春ができなかった人間なので、
このような青春物語に、強くひかれてしまいます。
きょうは早見和真さんの本、
ポンチョに夜明けの風はらませてを、ご紹介いたします。

この小説が原作の映画を観に、映画館へ行きました。
主演は仲野太賀さん。好きな俳優さんのひとりです。
仲野さんのお芝居は、人間味あふれる、
感情表現が豊かで、元気で、ユーモアが素敵な人です。
この劇場版ポンチョに夜明けの風はらませてを観たあと、
本屋さんへ行き、小説版のポンチョに夜明けの風はらませてを買い、
読んでみたら劇場とはひと味違う面白さがありました。

学生時代の、恋や友情や、親との関係を、
高校生のやんちゃな友達が集まって旅にでるわけなんですが、
登場人物が本当に元気で、やさしいし、面白いし、
気を抜いていると目頭に熱いものが込みあげるときがありました。
もう、笑って泣けて、読んでいるときはしあわせでした。
僕もこんな青春をしたかったと思わんばかりに、
仲間を大切にするシーンが満載なところが魅力的です。

小説の最後の卒業式のシーンで、
ねずみくんが卒業生代表として、
自分自身のことを語る場面があるのですが、
友達がほしかったこと、
友達をつくるために一生懸命がんばったこと、
けれど、その苦労はむくわれず、いじめられてしまったこと。
友達とは何だろう、何だろう、何だろう…
ねずみくんが幼稚園のときに、
友達100人できるかなと、園長先生から言われた言葉、
友達が多いと楽しいのかもしれない、
いろいろなことができるのかもしれない、
話相手がいると楽だから気が休まるのかもしれない。
ねずみくんは友達ができずに、死にたいとまで思いました。
そのようにしてまでほしい友達とは、何だろう…
落ち込んでいたねずみくんに、
又八くんがやさしい声をかけてくれます。
死にたいとまで思い詰めていたねずみくんへの言葉が、
心にあたたかいものが灯るようで、
涙があふれてしまいました。
絶望の端に立ち尽くされた人へ、
死ぬなと、もう、声かけてくれるだけでもうれしいじゃないですか。
又八くんは話しかける勇気があるのと、
落ち込んでいた人を思いやるやさしさと、
寄り添えられる人間なのだと思いました。
又八くんは元気でやんちゃで明るくて楽しいだけではない、
彼自身も悲しい想いをしたから、
しっかり思いやりのもてる人なのだと思いました。

青春はきらきらしているのかもしれない。
けれど、その影には、
人には見せない涙があるものなのかもしれません。
そんな素直で純粋なストーリーが愛おしくてたまりません。
このような物語は、大切にしたいものだと思いました。
大人になってしまった読者に、
青春を生きる高校生の、明るい、けれど、せつない。
そんな甘酸っぱい学生時代のページをめくると、
懐かしいあの頃の自分に出会えるのかもしれません。
だって、
この物語の主人公はいつだって、あなたなのだから。

#読書の秋2022
#ポンチョに夜明けの風はらませて

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