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エッセイ風味

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#エッセイ部門

時空を超えて誰だよ選手権

時空を超えて誰だよ選手権

本を読んでいる時、近くにある紙切れを栞として挟むことがよくある。

一応、お気に入りのブランドタグや撮影用フィルムの切れ端を栞としてストックしているのだが、読書を中断したい時にわざわざそれらを仕舞ってある場所から出してくるのが億劫なのだ。だから使用済みのメモ用紙とか、さっき行った買い物のレシートとか、くちゃくちゃの付箋とか、そういう机の上にあるどうでもいいものを使ってしまう。

最近はもらった名刺

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存在の脆さを前にして

存在の脆さを前にして

印象的な写真を撮る人がいた。

日常の中のささやかな自然、登山で出会った雄大な自然を収めた写真。

派手な色味ではないのに目を引くものがある。風景写真というのは意図的に人の気配を消したものが多いと個人的に思っているが、この人が撮ると撮り手の存在がなんとなく感じられてあたたかさがあった。

実際に会ったことはない。

ほんの少しだけメッセージのやり取りをしたこともあったが、SNSにアップされた写真を

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仕出し弁当とのたたかい

仕出し弁当とのたたかい

通っていた幼稚園は給食が出ていた。

正確に言うと、ご飯かパンは持参しないといけなくておかずだけの給食だったような気もする。年長になったら小学校に上がるための準備だといって牛乳が一緒に出ていた。あの200mLの小パックではなくて、家庭用の1Lパックを何本も給食のたびに職員室から先生が持ってきていた。牛乳専用のコップを園児たちが持参していて、そこに先生が毎回注いでくれたのだ。複雑な給食システムだなと

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