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『歌いたい』-きたりえの視点(15)
15. リクアワ ‐ チーム8 - さしこちゃん
リクエストアワー。
48グループの楽曲の祭典だ。
里英はこのイベントが、数ある48グループのイベントの中でも特に好きだった。
始まりから現在までの歴史とつながりを感じられるイベント。
里英がセンターを務める曲を披露する機会をファンが与えてくれるイベント。
それから、ほかのメンバーたちが楽曲を披露している間、ひな壇で楽しく盛り
『歌いたい』‐きたりえの視点(14)
14.2014.6.28‐世界中の雨
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半年前。
夏を目前に控えた頃だ。
里英たちはバスに揺られてまっすぐに続く道路を進んでいた。
里英はバスの中ほどの窓辺の座席に座っていた。
隣には同じチームKの阿部マリアが座り、そ
『歌いたい』‐きたりえの視点(13)
13.2014.12.31‐心のプラカード、鼻ピーナッツ、リスタート
大晦日。
「来年は全グループが紅白に出ることはできないでしょう」
みなみは本番を目前とした全体(総勢300人近い)の円陣の輪の中でそう言った。
里英は、紅白歌合戦が終わった後も、みなみのその言葉が海底にしっかりと食い込んだイカリのように里英の心の中の何かをいつまでもとらえて離さないことを意識せざるをえなかった。
『歌いたい』‐きたりえの視点(12)
12.2014.12.8 ‐ 永遠より続くように
12月8日、午後4時頃。
里英は途方に暮れていた。
本番前の楽屋は混雑を極める。
メンバーの人数が多すぎて座る場所もほとんどなく、さまざまな声が飛び交いざわめきが絶えることはない。
あちらでは化粧品を貸してくれ髪をアレンジしてくれとメイクで忙しく、こちらでは弁当やお菓子を食べて雑談する一群があり、また別のところでは今日披露する曲
『歌いたい』‐きたりえの視点(11)
11.もちくらさんでーらじお
…
(音楽)
「へい、へーい♪
倉持明日香の『もちくらさんでーらじお』
AKB48、フレンチ・キスの倉持明日香がお送りします。
さあ、今日もさっそく無茶ぶりトークBOX、その名も『ちゃぼ』からお題を引きましょう」
(ゴソゴソ…)
「今日のお題はこちら!
『女子力』!
ということで、女子力はちょっとだけ自信がありますよ、私。
最近は冬に向
『歌いたい』‐きたりえの視点(10)
10.撮影後‐阿弥との会話‐亜樹との会話
歌が終わる。静寂に包まれる。
メンバーたちは皆、宙を仰いだまま呆然と歌の残響を感じていた。やがて、その静寂を打ち破るように力のこもった拍手が鳴り響いた。監督の拍手だ。それに続いて各スタッフたちの拍手も舞台上のメンバーたちを称賛した。
その温かい拍手の音を聞き、メンバーたちは安堵の表情を浮かべ、互いに喜びを分かち合った。手に手をとり、互いをたたえ
『歌いたい』‐きたりえの視点(9)
9.私のために、誰かのために。
里英のセリフに続いて曲のイントロが流れ出す。
阿弥が歌い始める。心の歌を。希望の歌を。
私は今、歌い始める
かすかな光に
手を、そっと伸ばして
少し不安定だが、強い決心を思わせる声だ。里英も勇気づけるようにそれに合わせて歌う。
座りこんでいたメンバーたちも立ち上がり、忘れていた歌を歌い始める。歌は次第に大きく、力強くなっていく。いくつもの支流がつな
『歌いたい』‐きたりえの視点(8)
8.歌いたい
休憩明けの練習では、カメラや照明の確認を行いつつ、演技を通しで行った。今度は、監督は途中では口出しをしない。一通り終わった後で、それぞれ必要なメンバーには改善点を言い渡す。美織もどうやら吹っ切れたようで休憩前よりも進歩が見られる。何度も回数を重ねていくうちに次第に舞台としての形が整っていくのを里英は感じた。
そして撮影本番を迎える。
「十分な準備ができているとは言えませんが