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AKBグループに関する小説書いてるのでよかったら読んでください

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  • さやみるきー

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最近の記事

他の星から(5)

5.笑顔の化身  不思議なことに、2人だけの空間で沈黙が続くことに抵抗を感じる相手とそうでない相手が存在する。 相手はただ黙っているだけなのに、 ① その人のまとう雰囲気 ② 普段の言動 ③ 匂い ④ 自分がその人をどう思っているか ⑤ そして、その人が自分のことをどう思っていると自分が思っているか そういったものが落ち着く相手かそうでないかを決定づけるのかもしれない。  七瀬にとって奈々未は沈黙が続いても何の問題もない相手だ。  奈々未は時折自分の中に沈み込んでしまい、

    • さやみるきー(3)

      3.アイドル  秋雨の降りしきる東京の午前。  彩たちNMBのメンバーは、会場の外の東屋でお披露目の段取りを指示されていた。  とにかく元気よく自己紹介すること。  ステージにいる間は常に見られているという感覚を持つこと。  ステージに入る瞬間から、出るところまで見られているから決して気を抜かないように、とのこと。  そして彩は初めの挨拶をする仕事も任されていた。  なんで私なんだろうという疑問はあったが、とにかくセリフを覚えた。大して長くなかったので、まあなん

      • さやみるきー(2)

        2.みるきー  バスが名神高速道路を走り始めたころ、美優紀が隣の彩に言った。バスの外はもう日が暮れ始めている。 「彩ちゃんはなんでNMB受けようと思ったの?」  彩は美優紀の方を見た。美優紀の後ろの窓から西日が差していてまぶしかった。  美優紀は、彩がまぶしそうにしていることにすぐに気づいて、カーテンを閉めて西日を遮った。  彩は「ありがと」と礼を言った。すぐに気がつく子なんだなと思った。 「”彩ちゃん”はやめてや。彩でええよ」  彩がそう言うと、美優紀は嬉しそ

        • さやみるきー(1)

          0.プロローグ 「七海、もう帰るの?」  美優紀は帰り支度をしていた少女に向かって言った。  七海と呼ばれた少女は美優紀の方を振り返り、「帰ります」と言って頷いた。  美優紀は首を振った。 「あかん。今日は最後に新曲やるから見ていって」 「はい」  七海が素直な表情でそう言うと、美優紀はいつもの笑顔を見せて、七海の頭に優しく手を置いた。  その時、彩は東京から大阪に向かう新幹線の中で、美優紀のことを考えていた。美優紀とともに活動してきた日々のことを。  彩を

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        • さやみるきー
          3本
        • ななせまる
          5本
        • きたりえ
          15本

        記事

          他の星から(4)

          4.孤独兄弟  迎えの車が来る間、七瀬は家の前の道路から目の前に広がる光景を眺めていた。  いつもと同じ光景だ。しかし、まるでだまし絵を見ているときのような違和感がその中には潜んでいる感じがした。  七瀬と反対側の歩道を、犬を連れた老人が歩いている。朝のこの時間によく見かける老人だ。  その老人が連れている小型犬は、ペット服を着せられている。  七瀬はあれ?っと思った。  その老人はいつもは中型の雑種犬を散歩させていた気がする。七瀬の思い違いでなければ。  七瀬

          他の星から(4)

          他の星から(3)

          3.他の星から  落ちる時に七瀬が感じたのは恐怖ではなく、孤独であった。自由落下する七瀬の体を止められるものは何もなく、誰もその時の七瀬に干渉することはできなかった。そのことをまざまざと実感した七瀬は、今まで感じたことのないほどの孤独感を覚えた。  そして、実際には落下している時間は10数秒程度であったはずだが、七瀬にとってその時間はとてもとても長く感じた。その引き伸ばされた落下時間の中で、孤独が七瀬の心を急速に冷やしていった。七瀬はそれを寂しさという心の痛みとして感じ取

          他の星から(3)

          他の星から(2)

          2.私、起きる。  なぜ私は今、地上200mを超える断崖に立っているのだろう。  七瀬は訳が分からなくなった。  目下には、まるで誰かとても几帳面な人が丁寧に書き上げた精密で広大な絵画のような世界が広がっており、現実感と遠近感を失っていた。  強い風が吹きつけたとき、恐怖が七瀬のつま先からあっという間にせりあがってきて、全身を駆け巡った。  現地の若者たちが七瀬の頭にヘルメットをかぶせる。ベルトで体を固定する。簡単な英語に片言の日本語を織り交ぜて、これから起こること

          他の星から(2)

          他の星から(1)

          1.ひとりよがり 『自分』について 2年○組 西野七瀬  今朝、学校に来る途中、道端でアリを見ました。アリは何匹も集まって一生懸命、大きな昆虫の死骸を運んでいました。私はしゃがみこんで、上からその様子を眺めていました。死んだ昆虫。それを運ぶアリたち。それを見つめる私。私は5分くらい、そうしてアリががんばって少しずつ昆虫を運んでいく様子を見ていました。  アリはあんなに大変な仕事を文句も言わず(しゃべれない)、みんなで力を合わせてやっていました。アリの一生はどうなっている

          他の星から(1)

          『歌いたい』-きたりえの視点(15)

          15. リクアワ ‐ チーム8 - さしこちゃん  リクエストアワー。  48グループの楽曲の祭典だ。  里英はこのイベントが、数ある48グループのイベントの中でも特に好きだった。  始まりから現在までの歴史とつながりを感じられるイベント。  里英がセンターを務める曲を披露する機会をファンが与えてくれるイベント。  それから、ほかのメンバーたちが楽曲を披露している間、ひな壇で楽しく盛り上がることができるのも里英が気に入っている理由の一つだ。  今日は3日。  

          『歌いたい』-きたりえの視点(15)

          『歌いたい』‐きたりえの視点(14)

          14.2014.6.28‐世界中の雨 --------------------------------------------------------------------------------  半年前。  夏を目前に控えた頃だ。  里英たちはバスに揺られてまっすぐに続く道路を進んでいた。  里英はバスの中ほどの窓辺の座席に座っていた。  隣には同じチームKの阿部マリアが座り、そのひとつ前の座席には同じくチームKの相笠萌。  バスの後方の座席には、SKE4

          『歌いたい』‐きたりえの視点(14)

          『歌いたい』‐きたりえの視点(13)

          13.2014.12.31‐心のプラカード、鼻ピーナッツ、リスタート  大晦日。 「来年は全グループが紅白に出ることはできないでしょう」  みなみは本番を目前とした全体(総勢300人近い)の円陣の輪の中でそう言った。  里英は、紅白歌合戦が終わった後も、みなみのその言葉が海底にしっかりと食い込んだイカリのように里英の心の中の何かをいつまでもとらえて離さないことを意識せざるをえなかった。  AKBグループは互いに補助し合いながら規模を拡大していき今に至る。  AKB

          『歌いたい』‐きたりえの視点(13)

          『歌いたい』‐きたりえの視点(12)

          12.2014.12.8 ‐ 永遠より続くように  12月8日、午後4時頃。  里英は途方に暮れていた。  本番前の楽屋は混雑を極める。  メンバーの人数が多すぎて座る場所もほとんどなく、さまざまな声が飛び交いざわめきが絶えることはない。  あちらでは化粧品を貸してくれ髪をアレンジしてくれとメイクで忙しく、こちらでは弁当やお菓子を食べて雑談する一群があり、また別のところでは今日披露する曲の振付やMCの確認に余念がなく、はたまた、ただ単にふざけあって大笑いしてはしゃぎ

          『歌いたい』‐きたりえの視点(12)

          『歌いたい』‐きたりえの視点(11)

          11.もちくらさんでーらじお … (音楽)   「へい、へーい♪  倉持明日香の『もちくらさんでーらじお』  AKB48、フレンチ・キスの倉持明日香がお送りします。  さあ、今日もさっそく無茶ぶりトークBOX、その名も『ちゃぼ』からお題を引きましょう」 (ゴソゴソ…) 「今日のお題はこちら! 『女子力』!  ということで、女子力はちょっとだけ自信がありますよ、私。  最近は冬に向けて乾燥し始める時期じゃないですか。  なので、ボディクリームは1年中ぬってる

          『歌いたい』‐きたりえの視点(11)

          『歌いたい』‐きたりえの視点(10)

          10.撮影後‐阿弥との会話‐亜樹との会話  歌が終わる。静寂に包まれる。  メンバーたちは皆、宙を仰いだまま呆然と歌の残響を感じていた。やがて、その静寂を打ち破るように力のこもった拍手が鳴り響いた。監督の拍手だ。それに続いて各スタッフたちの拍手も舞台上のメンバーたちを称賛した。  その温かい拍手の音を聞き、メンバーたちは安堵の表情を浮かべ、互いに喜びを分かち合った。手に手をとり、互いをたたえ、笑い合った。  里英は呆然と立ち尽くしていた。舞台装置の硝子柱たちが煌々と輝

          『歌いたい』‐きたりえの視点(10)

          『歌いたい』‐きたりえの視点(9)

          9.私のために、誰かのために。  里英のセリフに続いて曲のイントロが流れ出す。  阿弥が歌い始める。心の歌を。希望の歌を。 私は今、歌い始める かすかな光に 手を、そっと伸ばして  少し不安定だが、強い決心を思わせる声だ。里英も勇気づけるようにそれに合わせて歌う。  座りこんでいたメンバーたちも立ち上がり、忘れていた歌を歌い始める。歌は次第に大きく、力強くなっていく。いくつもの支流がつなぎ合わさって大河になっていくように。海を越えていく渡り鳥の群れのように。 どん

          『歌いたい』‐きたりえの視点(9)

          『歌いたい』‐きたりえの視点(8)

          8.歌いたい  休憩明けの練習では、カメラや照明の確認を行いつつ、演技を通しで行った。今度は、監督は途中では口出しをしない。一通り終わった後で、それぞれ必要なメンバーには改善点を言い渡す。美織もどうやら吹っ切れたようで休憩前よりも進歩が見られる。何度も回数を重ねていくうちに次第に舞台としての形が整っていくのを里英は感じた。  そして撮影本番を迎える。 「十分な準備ができているとは言えませんが、これから本番を行います。あとで部分的に別のカットを取るところもありますが、基本

          『歌いたい』‐きたりえの視点(8)