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三つ子の魂百までも番外編(17)


17

「そこのお二人さん、寝室に来て」
と、心無い言葉が飛んできた。
二人の仲を邪魔するのは誰!と言いたかったが、
…僕は幽霊の調査に来たのだ!いちゃついている場合では無い。…
公一は恐る恐る、寝室に入って行った。晃子も公一を追う様に入って行く。

「晃子さん、いつもはどの辺りから聞こえてくるのですか?」

「ベッドの下辺りから聞こえてくるのです。よくは解らないけど?」
と、声が小さい。
「部屋全体では無くて、一つの場所だけですか?」
と、不審気に裕美は言った。
「全体かもしれません。」
と、曖昧な答えである。
「と言うか、この寝室だけですか?」

「そう言えば、寝室だけですね」

「そうですか、寝室だけですか?」
「でも、和室の箪笥が動くのです。ゴトゴト鳴るのです。」

と、晃子の声は、今にも泣きそう声だ。

「なるほどね。」と言って、裕美は、静かに目を閉じた。
瞑想するかの様に!
……裕美さんは幽霊を探している!……と、公一は強く感じたが、
幽霊が居ない様に願っている公一でもあった。
静かに時は過ぎていく。

三人は立ったままである。
裕美さんは、今も瞑想状態だ。

その時である、ゴトゴトとする音が和室から聴こえてきた。
……空耳では無く、本当に聞こえる。……
と、公一は恐れを抱いた。

「聞こえてきます。箪笥から聞こえてきます」
と、晃子は本当に怯えている。晃子は公一の腕を掴んで離そうとはしない。
公一も離れたく無いと思っている。

冷静なのは、裕美だけだった。

「なるほどね。判ったわ。私を馬鹿にしてるのね!」
と、裕美さんは、訳の解らない事を言っている。

「何が判ったのですか?僕には何も解らないです。」
と、公一の言葉が浮わづいている。

「公ちゃん、私について来なさい。イチャイチャしない!」
と、睨んでくる。
着いたところは、和室にある箪笥の前である。
これが動たのか?ここから音がしたはずである。
……気味が悪い。此処に悪霊が住んでいるんだ……
と、公一は怯えているが、裕美は全く怯えなど感じさせずに言った。

「公ちゃん、この箪笥を動かして!」と命令してくる。

……嘘でしょ。悪霊が住んでいる箪笥ですよ。祟られたらどうするの!……
と、絶叫している公一である。
その時である、思いがけない言葉が飛んできた。

https://note.com/yagami12345/n/n3135fa6afd60

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