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猫になった宇宙人(10)


猫になった宇宙人(10)

少女の家族は五人家族だが、父親の孝太郎は、ほとんど家には帰ってこない。愛人の家に行っているみたいだ。
家にいるのは、母親律子ぐらいなので、律子を観察するしかない。

律子は居酒屋を経営しているので、夜が遅い。
当然だが朝遅くまで寝ている。
家にいる時間は寝ている時間を除けば、6時間位である。

達也もほとんど家に居ない。
友達の所で泊まっているのか、帰ってきても夜遅く帰って来る。

朋美も同じだ。高校生なのに夜遊びして、帰って来ているのか、居ないもかも分からない。

この様な人達の集まりが家族と言えるのであろうか?
だから、私が家族を観察しようと思っても会う事さえも難しい。

いつも少女は、一人で夜を過ごしている。
少女の気持ちを読み取るたびに、私は切なく、悲しくなっていく

だが、少女の気持ちが一瞬だが輝く時がある。
それは、少女が好きな男の子を思う時だ。
その男の子の事を考えている時の少女の表情は、切なく甘い。
しかし、少女はその気持ちを男の子に伝える勇気は無い。

その男の子の名前は田原智幸。
智幸は少女より一つ歳上で、中学3年生。
成績も良く、生徒会長を務める傍ら、野球部のキャプテンでスポーツマンでもある。
下級生の多くの女子に人気があり、憧れの的だ。
少女もその中の一人である。








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