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140字の小説集

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140字の小説を集めてみました。(それ以外の短編もあります) お時間がお許しならば、少しでもお立ち寄りください。 このマガジン、読めば笑顔になるかもです。 笑いはあなたのお薬です…
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2024年2月の記事一覧

レトルト三角関係(400字の小説)

レトルト三角関係(400字の小説)

ある男からレトルトカレーを三角形にする案が、提案された。
従来の四角形では、インパクトが無いと云う理由からであるが、
男以外、誰も賛成はしなかった。
その男が云う。

「従来の四角形に比べて素材の使用量が少無くてすむ。
また、パッケージの形状が斬新でインパクトがある。
必ず売れるはずだ。
我が社これで推すべきだ」
と、強く主張する。
その甲斐あって、男の意見は採用された。
だが、売れ行きはさっぱり

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見つからない言葉(3)(320字の小説)

見つからない言葉(3)(320字の小説)

見つからない言葉を探している人が居る。
何処を探しても見つからない。
「一体何を探しているの?」と訊ねても、
応えは無い。

そもそも、言葉は物では無い。
人の声が言葉になるだけ。
出しては消えていく儚き物。
なのに彼は探し求めている。

彼は孤独な男。
彼が愛した妻は三年前に他界し、
息子達もこの前の地震の犠牲者になった。
それ以後の彼は、
言葉を掛け合う相手も居なくなった。
孤独を紛らす為に、

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蟻の姿(140字の小説)

蟻の姿(140字の小説)

日差しを浴びながら、チョコのカケラが溶けていた
速やかにチョコを運ぶ、蟻の姿
「暑いのにご苦労様」と、蟻に伝えたい

傍で見てる私は、年金暮らしの無職人

何処かに大金が落ちていれば、
私は、人目を盗んで拾うだろう
私も速やかに運ぶだろう。

こんな卑しい事を考ている。
これが私の、ありのままの姿だ。
#シロクマ文芸部

節分の日に想う(140字の小説)

節分の日に想う(140字の小説)

今日は、鬼族の厄日。
二月の節分だ。
毎年毎年人間どもは、思い出すのか!
我々に豆をぶつける。

「僕達鬼族は人間が想っているほど、強く無いんだぞ!」

「豆をぶつけられて、
逃げ惑うほど弱い生き物なんだぞ。
だから、子供の桃太郎にいじめられたんだぞ。
僕達を虐める人間こそ鬼だぞ」
と、言いてやりたい
#毎週ショートショートnote

気配り (140字の小説)

気配り (140字の小説)

貴方は優しい眼差しで、私を冷たく観る
どうしてなの?
あの娘の事、今も想っているの?
誘ってくれたのに、何も言わないのは何故?

私は、バーテンダーに水割りを頼む。
グラスの氷が揺れている。
静かに口に運ぶけど、味も感じない。
私の心が虚だから、感じないの?

「お客さん、今日のは薄めで作りました」