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小路幸也「からさんの家 伽羅の章」

小路幸也「からさんの家 伽羅の章」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHFLV6JQ/
 東京・根津の古い洋館に住む三原伽羅。詩人にして小説家にして画家にして女優。昭和・平成・令和を自分流に波瀾万丈に生きてきた。そんな彼女に、息子の結婚相手に義理の娘・まひろがいた。息子が北海道に転勤したので、同居することになった孫は伽羅のヘルパーでもあり、腕利きの秘書にもなった。その家には建築家志望の柊也、新進芸術家のタロウ、バーを営む祐子という、個性的なメンバーが居候する共同体。
 「からさんの家」シリーズも第二章。あれ?、いつのまにか、まひろと柊也が恋人になっている。3年の間に人間関係も動いている。そんな中で訪れた大黒柱・伽羅の病。人生には始まりと終わりがある。それは「からさんの家」にも同じこと。伽羅自身も身辺の整理をはじめ、住人たちも自らの生き方に新しい出口を作ってゆく。それは家財産の行方だけではない。複雑な家庭に育ってきたそれぞれの過去の総決算の機会でもある。お互いを気遣いながら、新しく始まる離合集散。でも心の中では、一つ屋根の下。ちょっと寂しい、それでも大切な残された時間。


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