ヤダヤムクン

お笑いやってます。ニュースタッフプロダクション。埼玉県川越市出身。よろしくお願いします。

ヤダヤムクン

お笑いやってます。ニュースタッフプロダクション。埼玉県川越市出身。よろしくお願いします。

記事一覧

【いくつかご報告】

こんにちは。ヤダヤムクンです。読んでいただいてありがとうございます。 いくつかご報告が重なってTwitter、いやX(Xのことどう呼んでいいかわからないから毎回こんな感…

18

#650「狙ってくる教官」

ジュンイチは修了検定を受けるために、指定された教習車の前に向かった。 教習車の前には髪の短いおばさんの教官が立っていた。 「え、やだ!!!」 ジュンイチの顔を見…

3

#649 ずっと一口目みたいな男

「っっあー!!うめえ!!」 後輩はジョッキの飲み物を豪快に一口飲んだ。 「本当今日みたいな日は飲むに限りますよね!」 「まあ、そうだな。」 「俺思うんですよね。…

3

#648 手応え感じた男

「後ろこんな感じになってます。」 美容師の男は鏡を見せた。 「はい。ありがとうございます。」 「いやー、すごいいい感じです!」 「ですよね!すごいイメージしてた…

1

#647 コーヒーを飲みに来た男

ノブオは喫茶店の扉を開けた。 「おかえりなさいませ、ご主人様!」 メイド服を着た若い女が出迎えた。 「あの、1人なんですけど。」 「かしこまりました!おかえりな…

1

#646 怖がられる男

仕事終わりの24時、ノジマは疲れ切った様子でフラフラと家に向かって歩いていた。 酒屋の角を曲がって神社の前の通りを歩いていると、雑木林から何やら物音がした。 ノジマ…

1

#645 笑ってほしい男

「あー、どうも!本日担当させていただくカメラマンのヤマキです!」 カメラを持った感じの良さそうな男が、カトウのキャベツ畑にやってきた。 「いやー、立派な畑ですね…

#644 しまってほしい男

「こちらの物件なんかいかがでしょうか?」 女の店員はそう言って物件情報が書かれた紙を机の上に置いた。 「こちら駅前ビルの一階で、以前も飲食店が入っていた物件なん…

1

#643 寝てほしい男

夜遅くの電車に揺られながら、男はウトウトしていた。 自然とまぶたが閉じ、意識が遠のいていった。そして男の体は次第に傾き、隣の男の肩にもたれかかってしまった。 「…

1

#642 諦めないでほしい男

ピンポーン 日曜日の午前中、マサルの部屋のインターホンが鳴った。 「はい。」 マサルが部屋を開けると、そこには白髪の男が立っていた。 「あ、あなたは…。」 「も…

1

#641 撮られる男

「じゃあ今日から撮影の方初めて行きますので、よろしくお願いします。」 カメラを持ったディレクターが言った。 「普段通り、仕込みやってればいいんですよね?」 シェ…

#640 忘れない男

「そうなの!俺ね、タバコだけは忘れたことない!俺結構忘れ物とかするんだけど、タバコだけは絶対右ポケット入ってる!」 「へえ、そうなんだ。」 閉店間際の居酒屋で男…

1

#639 辞めたい男

「やっぱり気持ちは変わらないか?」 上司は部下に尋ねた。 「そうですね。今月いっぱいでこの会社を辞めさせてもらいます。」 「まあお前の気持ちが固まってるなら仕方…

2

#638 アドバイスを聞く男

「じゃあ、お疲れ様です。」 カトウは少し遠慮がちに、タナベのジョッキに自分のジョッキを合わせた。 「いやー、タナベさんと飲めて本当に嬉しいです。ずっと色々お話聞…

#629 臨場感のある男

ノグチが休憩室に入ると、イシバシが椅子に座ってうなだれていた。 「おい、どうした?」 ノグチは心配そうに声をかけた。 「ああ、お疲れ。」 「なんかあったのか?」…

1

#628 インドカレー屋の男

「ナン、オカワリ、ダイジョウブ?」 頭にターバンを巻き、口髭をたくわえた店員が片言の日本語で客に尋ねた。 「あ、もうこれだけで大丈夫です!」 「ダイジョウブネ?…

1

【いくつかご報告】

こんにちは。ヤダヤムクンです。読んでいただいてありがとうございます。

いくつかご報告が重なってTwitter、いやX(Xのことどう呼んでいいかわからないから毎回こんな感じになる。みんなはどうしてる?)に書き切れなそうなのでこのnoteに書かせてもらいます。

ご報告① 「コンビ組みました」

今までユニットとして活動してきたエビヤムクンですが、正式コンビになりました。ようやくコンビ組みました。や

もっとみる

#650「狙ってくる教官」

ジュンイチは修了検定を受けるために、指定された教習車の前に向かった。
教習車の前には髪の短いおばさんの教官が立っていた。

「え、やだ!!!」

ジュンイチの顔を見るなり女の教官は叫んだ。

「え、なんですか!?」

「………どタイプ!」

「は!?」

「どうしよう!!髭が生えてる顔の濃い30代来ちゃった!大好物来ちゃった!」

「え、あ、」

「あ、あの!今日担当させてもらう…教官のマツイです

もっとみる
#649 ずっと一口目みたいな男

#649 ずっと一口目みたいな男

「っっあー!!うめえ!!」

後輩はジョッキの飲み物を豪快に一口飲んだ。

「本当今日みたいな日は飲むに限りますよね!」

「まあ、そうだな。」

「俺思うんですよね。あの部長さえいなくなれば、今の職場すごいいい環境になるのになーって!」

「まあ、そうだな。」

「だって今日だって元はと言えば部長のミスですよね?」

「そうだな。部長の指示で俺たちは動いたわけだからな。」

「それなのに自分のこ

もっとみる
#648 手応え感じた男

#648 手応え感じた男

「後ろこんな感じになってます。」

美容師の男は鏡を見せた。

「はい。ありがとうございます。」

「いやー、すごいいい感じです!」

「ですよね!すごいイメージしてた通りの感じです!」

「え、ですよねえ!やっぱりそうですよね!お客様的にもすごいいい感じですよね?」

「はい、いい感じです。」

「ですよねえ。いや普通ね、こんな綺麗にパーマかからないですよ。」

「そうですか!」

「うわあ、傑

もっとみる
#647 コーヒーを飲みに来た男

#647 コーヒーを飲みに来た男

ノブオは喫茶店の扉を開けた。

「おかえりなさいませ、ご主人様!」

メイド服を着た若い女が出迎えた。

「あの、1人なんですけど。」

「かしこまりました!おかえりなさいませ!」

「おかえりなさいませ?」

「では今からお屋敷の方にご案内しまーす!お屋敷の中にどうぞ!」

「お屋敷?あ、すみません。お屋敷とかは別に大丈夫なんですけど。」

「はい?」

「席に案内していただけませんかね?普通に

もっとみる
#646 怖がられる男

#646 怖がられる男

仕事終わりの24時、ノジマは疲れ切った様子でフラフラと家に向かって歩いていた。
酒屋の角を曲がって神社の前の通りを歩いていると、雑木林から何やら物音がした。
ノジマは足を止めて、音の方へ振り向いた。すると雑木林から、白い服を着て青白い顔をした髪の長い女の霊が出てきた。

「うわっ!」

思わずノジマは声を上げた。

「ギャーーーー!!!!」

そんなノジマの姿を見た女の霊は悲鳴を上げた。

「え?

もっとみる
#645 笑ってほしい男

#645 笑ってほしい男

「あー、どうも!本日担当させていただくカメラマンのヤマキです!」

カメラを持った感じの良さそうな男が、カトウのキャベツ畑にやってきた。

「いやー、立派な畑ですね。」

「ありがとうございます。」

「今回は店内のポップに掲載される、生産者の写真撮影ということでよろしいですかね?」

「あー、はい。なんかプロのカメラマンさんに撮られるのって緊張しますね。」

「緊張しなくていいんですよ。普段通り

もっとみる
#644 しまってほしい男

#644 しまってほしい男

「こちらの物件なんかいかがでしょうか?」

女の店員はそう言って物件情報が書かれた紙を机の上に置いた。

「こちら駅前ビルの一階で、以前も飲食店が入っていた物件なんですね?立地にしては家賃も高くないですし、非常におすすめなんですけれども。」

女の店員の提案に、男は黙って考え込んだ。

「んー、やっぱりここも違いますかねえ。」

「あ、あの…。」

女の店員が次の物件を探そうとした時、男が言った。

もっとみる
#643 寝てほしい男

#643 寝てほしい男

夜遅くの電車に揺られながら、男はウトウトしていた。
自然とまぶたが閉じ、意識が遠のいていった。そして男の体は次第に傾き、隣の男の肩にもたれかかってしまった。

「わ!ええぇ!?」

もたれかかられた男は声を出した。

「え、あ、すみません。」

眠っていた男は、隣の男の声で目を覚ました。

「ごめんなさい!」

「あぁ‥。うわぁ…。」

もたれかかられた男の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

もっとみる
#642 諦めないでほしい男

#642 諦めないでほしい男

ピンポーン

日曜日の午前中、マサルの部屋のインターホンが鳴った。

「はい。」

マサルが部屋を開けると、そこには白髪の男が立っていた。

「あ、あなたは…。」

「もうワシのことを忘れてしまったかな?」

「いいえ。雲龍先生ですよね?なぜここに。」

「いやあの〜…最近うちの工房の前に立ってないから。」

「は?」

「この前まで毎日うちの工房の前に立って、ワシの仕事終わりに弟子入りさせてくれ

もっとみる
#641 撮られる男

#641 撮られる男

「じゃあ今日から撮影の方初めて行きますので、よろしくお願いします。」

カメラを持ったディレクターが言った。

「普段通り、仕込みやってればいいんですよね?」

シェフが尋ねる。

「はい。お店紹介のVTRで使う素材を撮りたいので。まあカメラ持ってうろうろしてますけど、気になさらず。自然な画を撮りたいので。」

「わかりました。」

「じゃあお願いします。」

ディレクターはカメラの録画ボタンを押

もっとみる
#640 忘れない男

#640 忘れない男

「そうなの!俺ね、タバコだけは忘れたことない!俺結構忘れ物とかするんだけど、タバコだけは絶対右ポケット入ってる!」

「へえ、そうなんだ。」

閉店間際の居酒屋で男と女が話を続けていた。

「あ、あとイヤホンね!イヤホンも絶対忘れない!音楽聴きたい欲強すぎて、絶対忘れないの!俺音楽ないとマジで無理でさ…」

男は話ながらグラスを傾けたが、中には氷しか入ってなかった。

「あ、すみませーん!」

もっとみる
#639 辞めたい男

#639 辞めたい男

「やっぱり気持ちは変わらないか?」

上司は部下に尋ねた。

「そうですね。今月いっぱいでこの会社を辞めさせてもらいます。」

「まあお前の気持ちが固まってるなら仕方ないけど。できれば辞めないでほしいんだよな。お前はうちの会社の若手のエースだし。」

「そう言ってもらえるのはすごいありがたいんですけど。僕の気持ちは固まっちゃってるんで。」

「なあ、なんで辞めちゃうんだよ。何か他にやりたいことがあ

もっとみる
#638 アドバイスを聞く男

#638 アドバイスを聞く男

「じゃあ、お疲れ様です。」

カトウは少し遠慮がちに、タナベのジョッキに自分のジョッキを合わせた。

「いやー、タナベさんと飲めて本当に嬉しいです。ずっと色々お話聞いてみたかったので。」

「そんな風に言ってもらえて嬉しいよ。」

「タナベさん、営業の成績が毎月すごいじゃないですか。僕全然ダメなんで、営業のこととか色々聞いてみたいなーって思ってて。」

「ああ、まあ俺でよければ。答えられる質問は答

もっとみる
#629 臨場感のある男

#629 臨場感のある男

ノグチが休憩室に入ると、イシバシが椅子に座ってうなだれていた。

「おい、どうした?」

ノグチは心配そうに声をかけた。

「ああ、お疲れ。」

「なんかあったのか?」

「聞いてもらえる?」

「うん。なになに、どうした?」

「さっき部長にすごい怒られてさ。」

「えー、なんでなんで?」

「呼び出されて部長のところ行ったら、その時点ですごい怒っててさ。」

「うん。」

「イシバシお前さ、俺

もっとみる
#628 インドカレー屋の男

#628 インドカレー屋の男

「ナン、オカワリ、ダイジョウブ?」

頭にターバンを巻き、口髭をたくわえた店員が片言の日本語で客に尋ねた。

「あ、もうこれだけで大丈夫です!」

「ダイジョウブネ?」

「いやー店員さん。ここのカレーめちゃめちゃ美味しいですね。僕が探し求めてた味ですよ。」

「ホントニィ?ウレシイネ!」

「実は僕ね、大学時代に自分探しの旅でインド行ったことあるんですけど。その時に食べた本場のインドカレーの味が

もっとみる