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#649 ずっと一口目みたいな男

「っっあー!!うめえ!!」

後輩はジョッキの飲み物を豪快に一口飲んだ。

「本当今日みたいな日は飲むに限りますよね!」

「まあ、そうだな。」

「俺思うんですよね。あの部長さえいなくなれば、今の職場すごいいい環境になるのになーって!」

「まあ、そうだな。」

「だって今日だって元はと言えば部長のミスですよね?」

「そうだな。部長の指示で俺たちは動いたわけだからな。」

「それなのに自分のことは棚に上げて俺たちに偉そうに怒りやがって。っっあー!!!うっま!!!」

後輩は飲み物を一口飲んだ。

「何回も同じ失敗する人間、この会社にはいらないよ。じゃねえんだよ!!!」

「うわ、それ言ってたな今日。」

「言ってましたよね!お前の方がいらねえよって話じゃないですか!」

「あの喋り方が腹立つんだよな。」

「ね!あのちょっとニヤけながら説教してくる感じ!殴りてえわ!」

後輩は飲み物を一口飲んだ。

「っっあー!!!!沁みるーーーー!!!」

「なんかお前ずっと一口目みたいだな。」

「はい?」

「飲んだ後。ずーっと一口目ぐらいうるさくない?」

「そうですか?」

「それ何杯目だっけ?」

「これですか?4杯目です。」

「4杯目で沁みるーっていう感想出てこないだろ。もう充分沁みてるよ。」

「いや、別に良くないですか?」

「いや、いいよ。いいんだけど。なんか気になるんだよ。」

「っっだー!!!!生き返る!」

「うるさいんだよ!生き返るって一口目にしか言わないだろ!」

「別に4杯目で言ってもいいでしょ!」

「え、じゃあなに?お前今までずっと生き返ってなかったの?死んでたの?」

「いや、そういうわけじゃないですけど。」

「なんか気になるんだよなあ。」

「そんなこと言われたらなんか飲みずらいですわ。もう食うことしかできないですよ。」

後輩は餃子を口に運んだ。

「っっあー!!!うっま、なにこれ!!!!」

「ずっと一口目みたいなんだよ!」

「はい?」

「メシもずっと一口目みたいなんだよお前!うるさいって!」

「なんなんすかもう!」

「もうその餃子三つくらい食べてるだろ!美味いのはわかりきってるだろ?」

「でもいいじゃないですか、美味いんだから!」

「いや、いいんだけどさ。」

「もうなんなんすかマジで!」

後輩は飲み物を一口飲んだ。

「っっあー!!!!」

「てかお前ずっとソフトドリンクだろ!」

「はい?」

「烏龍茶でなんで毎回そんな声出るんだよ!」

「いや、別にソフトドリンクでもこの声出してもいいじゃないですか!」

「いや、いいけどさ。」

「もうなんなんですか!何回も何回も同じこと言ってきて!しつこいんですよ!そんなんだから部長に説教されるんですよ!」

「は?」

「あ、すみません!つい、飲みすぎちゃって!」

「烏龍茶でそれ通用しねえよ!」

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