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グラフィックデザイナーが20年経ってライティングをイチから学んだ結果

南青山と仙台2つのデザイン事務所を経て、現在はフリーランスとして活動しているが、グラフィックデザインに携わってかれこれ20年以上になる。
そんな私が、あることをきっかけにライティングの勉強を始めた。

デザインとライティングは、切っても切れない関係である。
しかし、基本的に分業であることが多く、コピーだけでなく写真・イラストなどの素材が支給され、それをもとにデザインをするのが、私の役割であることが大半だった。

最近では、「コピーも写真もイラストも、デザインもWEB周りもできます!」という多才な人も少なくない。
しかし、たとえこれら全てを請け負うことができなくても、本業以外のスキルを1つでも増やすことは無駄ではないだろう。自分ができるのは「デザインだけではない」「ライティングだけではない」と言えることは、必ず強みになるはずだ。

そこで、グラフィックデザイナーがライティングを学ぶ必要性とメリットについて、私の実際の制作物や体験を通して紹介しよう。

ライティングを学ぶきっかけは1本のメルマガ


突然日常を奪われることになった、COVIT-19・新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)の蔓延。少し落ち着きを取り戻し始めていた2020年秋、メールチェックをしていると、ふと目に止まったクラウドワークスからの「WEBライターコース」のお誘い。

2013年から登録していたクラウドワークスだが、それまでは手が空いた時に、たまにデザイン案件のコンペに参加してみる程度だった。そのクラウドワークスから定期的にメルマガが届いていたが、その中の1通で私のその後は大きく変化し、この記事を書くまでに至っている。

その頃コロナの影響で、旅行関連やこども向けイベント関連の仕事が、パタっとなくなってしばらく経っていた上に、出歩く機会も減っていた私にとって、絶好のタイミングだった。
ライティングは、元々デザイナーにとって必要不可欠なものだったので、改めて学んでおいて損はないと思い、即申し込んだ。

デザイナーにとってのコピーライティング

デザイナーとライターの関係は、監督と脚本家のようなもので、ライターがストーリーを描き、それをカタチにしていくのがデザイナーの役目だ。

そもそもデザイナーにとってのコピーは、写真やイラスト同様に素材として受け取ることがほとんど。ディレクションから携われば別だが、デザインのみを請け負う場合は、コピーは支給されることが大半だった。

例1:支給されたコピーからデザインを考える

同じマンションの広告でも、支給されるコピーでデザインのテイストも変わってくる。クライアントの意向でビジュアルは掲載できないが、実際制作したチラシの内容を紹介する。

〈Aバージョン〉
コンセプト:商店街が近いことを訴求したい。
メインコピー:ショッピングストリートのまん中に!
デザイン:老若男女のイラストやアイコンを使い、楽しげなマップをメインビジュアルとし、横位置にすることで商店街のボリューム感を伝えた。

〈Bバージョン〉
コンセプト:魅力的な近隣施設を紹介したい。
メインコピー:on foot の快適〜リズミカルなライフストーリーが始まる予感…〜
デザイン:時計をイメージさせるレイアウトをベースに、コラムを添え、日々の何気ない行動と近隣施設がリンクすることをイメージできるようなデザインとした。

〈Cバージョン〉
コンセプト:中心部へのアクセスのよさと、マンションならではの眺望を訴求したい。
メインコピー:きらめく都心の輝きを指定席で楽しむ
デザイン:都会感を伝えるべく部屋から見える夜景ビジュアルをメインにデザインをした。

この案件は、クライアントもライターも女性で、打ち合わせから楽しかった。ところが、この案件で印刷後ミスが見つかり、そのペナルティを私が受けたことがある。原因を探してみると、ライターから支給されたコピーにミスがあったことが判明した。
この時、ライターが書くコピーを信じ切っていたことが、私のミスといえばミス。というのも、プロのライターに指摘できるような、ライティングスキルの裏付けがなかったため、当時は、逆にもらったものをいじらないようにしていたことが原因だろう。

例2:デザインに必要なコピーを考える

これまでも自分でコピーを考えることはあったが、いわゆる本文ではなく、ビジュアルと連動する部分のコピーがほとんどだった。

以前私が応募したパッケージデザインを、紹介しよう。
応募したのは、東北経済産業局が実施している「おいしい東北パッケージデザイン展」。東北の生産者と全国のデザイナーをつなぎ、実際に商品化することを目的としているコンテストである。

①ネーミングを提案したパッケージ
青森の「ねぶた漬け」を贈答用として新しい販路を見い出したいという要望に対し、手に取るターゲットを明確にするため、ストレートな商品名を提案した。(奨励賞受賞)

https://thk-package-design2021.go.jp/wp-content/uploads/2021/09/2018.pdf

②特徴を伝えるパッケージ
舞茸の持つ「食感のメリハリ」という特徴を、雪景色の静寂の中で音を感じられるようなコピーを添えた。(入選)

https://thk-package-design2021.go.jp/wp-content/uploads/2021/09/2020.pdf

③特徴を伝えるパッケージ
福島県の道の駅で販売するということで、新規性を要望されていたため、方言で話すキャラクターを用い、様々なセリフを添えた。表には真面目なコピーを、裏面にはちょっと毒のあるコピーでユーモアを加えた。ターゲットが30〜40代男性だったので、コレクションするためのアイデアとして、家族のペルソナを設定し、デザイン違いのパッケージを提案した。(入選)

https://thk-package-design2021.go.jp/wp-content/uploads/2021/09/2020.pdf

このように、ビジュアルだけでは伝え切れないコンセプトを、言葉なら伝えられる。
パッケージでは特に顕著だが、その言葉も美しくなくてはならないし、消費者へ刺さるものでなければならない。視覚的に捉えられるよう、少ない言葉で多くを伝える必要もある。

学んだメリット


私が受講した「クラウドカレッジ」の「WEBライターコース」は、基本的なことを押さえつつも実践的なものだった。それまでは、感覚でしか考えられていなかった本文のコピーも、学んだ知識を使うことによって、提案・指摘もしやすくなった。「WEBライターコース」とは言え、クライアントとユーザーがいることに変わりはなく、紙媒体だとしても私の仕事では十分通用している。

「コピーも一緒に考えて欲しい」という要望に対しても、今では躊躇なく請け負うことができるようになった。現在「ビズアシスタント」でお世話になっているクライアントからは、「DMをただのチラシではなく、お客さまに読み物として受け取ってもらえるものにしたい」という要望があった。ほぼ見出しだけの支給だったテキストに、リード文や本文を添えて提案したところ、大変喜んでいただけた。

クラウドカレッジ:クラウドワークスが運営する『誰もが「働く」について考え、学び、実践できる場』
ビズアシスタント:クラウドワークスの豊富なデータベースの中から、最適な人を提案するオンラインアシスタントサービス

引用:クラウドカレッジ・ビズアシスタント

また“逆輸入”の機会も多い。ライターとして関わるクライアントやコミュニティで、デザインスキルが役に立ち、案件を受注することも。
ライティングのクライアントから、ロゴと名刺を依頼されたり、所属しているWEBライター向けのオンラインコミュニティ「ライターゼミ」のロゴやグッズのデザインを依頼されたりもしている。

https://crowdcollege.crowdworks.jp/writer_seminar
https://suzuri.jp/tkenshiro

絶賛準備中の「ライターゼミ」オウンドメディア「ライターBOX」のロゴや、ヘッダーなどのデザイン周りも担当させていただいている上に、投票の結果、提案したキャッチコピーも採用された。デザインだけでなく、コピーでも貢献できたのが本当に嬉しい。

https://twitter.com/writer_box52

そして、何より「文章を書くことが楽しい」と、自分で知ることができたことが大きい。
「好きなこと=苦なく続けられるもの」
きっと今後も長く楽しく、仕事として続けていけるだろうと思うと、嬉しくて仕方がない。

ちょうどいいクラウドカレッジ


ライティングを学ぶきっかけとなった、クラウドカレッジ の「WEBライターコース」。クラウドワークス公式WEBライター検定2級合格を目指すカリキュラムで、ギリギリだがなんとか一発で合格した。

その後「デザインとライター、どちらも本業と言えるようにしたい」と1年ほど活動したが、不慣れなことに触れることも多く、目の前のことをこなすだけで精一杯だった。

そんなふっと力が抜けた頃、またそのタイミングが訪れた。2022年1月「さらにスキルアップがしたい」と、クラウドワークス公式WEBライター検定1級合格を目指す「WEBライターコースPRO」を受講。
ライターとしてのスキルはまだまだだったが、「WEBライターコース」のメンターを務めるひかりんさんと実際会う機会をいただき、その時背中を押していただいた。(いや、調子に乗ったのだろう。)

ひかりんさんが素敵に書いてくださった、私のインタビュー記事はコチラ。

https://crowdcollege.crowdworks.jp/4weeks/writer_application

クラウドワークスが運営するクラウドカレッジには、私がライティングを学ぶきっかけとなったように「まずは基礎を身に付けたい」という、スタートに寄り添ってくれるものから、よりクライアントのためになる「プロとしてのスキルを身に付けるもの」まで、多彩なラインナップが揃っている。

そして、ライティングに携わってみると、ライターにとってもデザインスキルは欠かせないことを知ることができた。記事にはビジュアルが必要なことも多く、文中にただ画像を入れるより、その画像にテキストが載っている方が説得力が増す時もあり、よりオリジナリティーを出すにはデザインスキルは欠かせないだろう。

個人的には、「バナー作成コース」や満を辞してスタートする「一眼・ミラーレスカメラ入門コース」などは、即戦力として期待ができると思っている。
ちなみに写真に関しては、実妹がカメラマンをしていることもあり、甘えて学ぶのを怠けてきた。最近そのツケを感じているところだが、大学でも学んだのに身につかなかったので、半ば諦めてもいる。

https://crowdcollege.crowdworks.jp/4weeks/banner_application
https://crowdcollege.crowdworks.jp/4weeks/camera_DSLR

「こんなコースがあればなぁ」という、まさにかゆいところに手が届くクラウドカレッジのラインナップは、とにかくかなりお手頃!!これまで「受けたい」と思ったデザインやライターの講座は、受講費が10万を超えるものも珍しくなかった。

そして、私のように地方に住む人間にとって、オンライン講座であることは必須だが、お手頃なものは、動画を観るだけのものが多い。そのため、挫折も多い。ところが、クラウドカレッジは週に1回程度のオンラインイベントが用意されているため、ライターとして活躍する講師やメンター、また同じ志をもつ仲間と交流できることが何より効果的だった。私にとっては、モチベーション維持や不安解消に大いに役立ったからだ。そんな点も「ちょうどいい」理由だ。


手に入れた新しい目標


デザイナーにとってのライティング、そしてライティングを学ぶメリット、お手頃に学べる場所を紹介してきた。
結果、デザイナーにとってライティングを学ぶことは、メリットしかないと思っている。

新しい肩書きが増えた今、新しい目標もできた。それは、
「自分の文章が載っているブックデザインがしたい」
これまでさまざまなデザインをしてきたが、いまだブックデザインの経験はない。
そのためにも、グラフィックデザイン・ライティングどちらも常にインプットとアウトプットを続けていきたい。

今回、実は1級合格とはならなかった。今回の合格者は2名のみで、いまだ11名しか獲得できていない超難関バッジだとはわかっているが、また力をつけてリベンジしたい。
その前に次のステップとして、私の周りの変な…いや、おもしろい人たちを紹介したいという想いと、記事を書く機会を増やすために、取材ライティングコースを受講中だ。

まだまだ、学ぶことはたくさんあり、今はそれが楽しくて仕方がない。(ただ1日を30時間くらいにして欲しい)
ライター2年目の今年は、どんな成長ができるか楽しみである。


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