写真集「YABUSAME」編集部

TYPHOON BOOKS JAPANから刊行された写真集「YABUSAME」の編集部です。このnoteでは、電子書店などでご紹介できない本書の制作背景や著者からのメッセージ、「流鏑馬」の様々な話題をお届けいたします。https://typhoonbooksjapan.com

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    マガジン

    • 古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。

      写真集「YABUSAME TAKEDA-RYU + WATARU FURUTA」ができるまでと、これから未来にどう活動していくのか。写真集にまつわるいろいろなことを書いていきたいと思います。

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    古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第12回] 「極意の全速力」

    流鏑馬の馬場は200メートル強。的は3つ。 スタート地点からゴール地点まで馬を全速力で走らせ、馬上から3つの的を射抜く。馬の走る方向に向かって左手が的、右手には観客がたくさん。馬の息遣いまで聞こえるほど、案外近くで疾走を体験することができます。 馬が走り抜けたときに、砂が少し飛んでくるくらいの迫力。観る、というより体験する感じです。馬場は思ったよりもこんもりと砂が盛られていて、歩くと靴が沈み込むくらい。歩けるけど、走るのは大変だと思います、人間は。そんな柔らかな足場を馬が

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      • 古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第11回] 「ギャップ萌え」

        2019年10月27日、神奈川県庁前 日本大通。 その昔、武士は毎朝お城に通っていた。現代の朝の通勤ラッシュのように、城に向かう石階段は武士で混んでいたのだろうか。馬で来る人は、今の自転車置き場のような場所に馬を繋いだのだろうか。 今まさに現代のお城であるお役所の前を、馬に乗った武士が通る。ビルの谷間に響く馬の蹄の音。「ギャップ萌え」という言葉がありますが、これがソレです。 今回流鏑馬を行うこの場所は、日本大通りといって普段は車や人が往来する普通の道です。ここを一週間通

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        • 古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第10回] 「天長地久」

          2019年10月27日、神奈川県庁前 日本大通。 宇宙が永遠であるという証拠はない。人間が死ぬことに疑いがない。時間は過去から脈々と続いていて、それを僕らはどんどん忘れていく。 宇宙の果てを距離があるものだと考えていたけれど、実は時間と距離の関係は一緒に考えなくてはならないのかもしれない。さらに記憶も仲間なのかも。 流鏑馬神事の冒頭で行われる儀式の中に「天長地久の式」がある。師範が矢を大空に、そして大地に放つ姿勢をとる。 大きな空の下に僕らはいて、大きな大地の上に僕ら

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          • 古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第9回] 「美しく儚いもの」

            2019年10月20日、京都上賀茂神社。 京都で流鏑馬を観る、ということはやっぱり格別だと感じました。自然に巻き起こるタイムスリップ感。場所は上賀茂神社。 明治神宮よりも緑が少し薄く、境内を流れる川はゆったりとしています。ゆるく流れる午前中の風の中、馬と射手が慣らしの走行をしている。きっと千年前もこんな風景があって、それを観ている私のような存在があったのだろう。 午後、本番が始まる。諸役や射手たちを率いて先頭で歩く神職たちの真っ白な直衣がまぶしい。行列が馬場に入ると、神

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          • 古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。
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            古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第8回] 「笠懸(かさがけ)」

            2019年10月20日、京都上賀茂神社。 毎年10月の第三日曜日に行われる恒例の笠懸(かさがけ)神事です。 笠懸とは往復で的を狙う行事。通常の流鏑馬は一方通行で三つの的を狙いますが、笠懸では復りも狙います。さらに復りは難度が上がって(いるように見えます。こちらからは。)、地上近くに設置された的を馬上から斜め左下を狙って射ます。さらにこの復路の的は二回りくらい小さめ。 元々、千年くらい前には盛んに行われてきたという笠懸。より実戦に近い雰囲気です。というのも「笠懸」という言

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            古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第7回] 「侍の凄さ」

            2019年5月1日 東京・明治神宮。 あさ9時。原宿に位置するこの広大な神社は、ここが東京ということを忘れるくらいに緑が豊かで空気が澄んでいる。この日はここで、新しい天皇の御即位をお祝いする神事として流鏑馬が行われる。 すでに射手たちは朝礼を済ませ道具をあらため、準備運動を行なっている。 少し経つと大きな箱形のトラックが何台か到着。馬が降りてくる。 スタッフたちは皆、ちょっと笑顔になる。 馬は到着すると係の人たちに拭かれたり、声をかけられたり、水をもらったり、すごく可愛

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            古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第6回] 「立原正秋」

            あなたが帰ってこないことは分かっています。 という妻が主人公のお話「流鏑馬」。立原正秋の作品です。 その大きな鎌倉の屋敷には夫の両親がいて夫の弟がいる。屋敷を切り盛りし、皆の食事も作るのは妻である。それは夫がいるとかいないとか関係ない、変わらない彼女の仕事であった。 弟は流鏑馬をやる。伝統的な装束で馬を馳せ矢を射る姿は、彼女が育ってきた世界では見られなかった男の姿だった。 彼女の裡(うち)にはいつしか弟の姿があった。。。 「儀式と制約のうちに己をおくことで自らの青春に厳しさ

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            古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第5回] 「白い罌粟(けし)」

            立原正秋という作家が好きだ。 彼の「白い罌粟(けし)」という作品が好きだ。 あやしく、美しい男がいて、その男に狂おしいほどに惹かれてしまう。 その人に褒めてもらいたい、その人に言葉だけでもかけてもらいたい、 そんなことを考える自分に恥じ苛立つ。そしてその人に嫉妬を覚える。 その人の仕事は分からない。優雅な気品はどこから来るのか。 自分の人生はどうだ。こういう男になりたかった。 読んでいると僕の価値観と目の前の景色が緩やかにグニャっとよじれます。 その人が書いた作品で「流鏑馬

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            古田 亘さんがラジオ番組に出演しました。

            「YABUSAME」の作者、古田亘さんが7月28日に「湘南ビーチFM」の人気番組「DAILY ZUSHI HAYAMA」にご出演。番組パーソナリティの森川いつみさんをお相手に「YABUSAME」の撮影秘話などを詳しくお話しいたしました。関係者さまのご許可をいただき、内容をこちらに再録させていただきます。 衝撃的だった、流鏑馬との出会い 森川いつみ(以下、M) : 写真家でアートディレクターでいらっしゃいます、古田亘さんです。以前ご出演いただいてから、もう5年ですね。古田さん

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            古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第4回] 「猛スピード疾走の前」

             鎌倉 鶴岡八幡宮 研修道場前にて。続き。  ここの葉っぱは食べていいの? というこちらの問いに対して、なんで? という、答えにならない返答をしてきます。  けっこう食べちゃってから係の人に、こら、ダメ! とか言われて止めました。  やっぱりダメじゃん。今度は目を合わせてくれなかった。  ゆっくりした時間が流れていた。  この人(いや、馬)はこれからあの馬場を猛スピードで走るんだよね。  いまこんなカワイイけど、大丈夫なんだろうか。  馬がおしっこをした。 (この連載

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            古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第3回] 「非日常な馬の存在」

             鎌倉 鶴岡八幡宮 研修道場前にて。  鶴岡八幡宮に剣道や弓道の稽古をする研修道場というところがある。  八幡さまの正面に向かって右端の方の木々が覆い茂っているところにポツリと存在する。ここは馴染みがあり、そこに行くまでの道も含めてよく知っている。  そこにその日、馬がいた。  馬が三頭、林の脇に繋がれていた。  僕はちょっとギョッとした。彼らの存在は明らかに非日常なのだ。  カメラを持っている僕を一瞥すると、フンといって目を伏せ、目の前の葉を食べ始めた。むしゃむしゃやり

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            「流鏑馬」って何? 知っているようで知らなかったこと。

             写真集「YABUSAME」は、もちろん「流鏑馬(やぶさめ)」のこと。ですが、その由来をきちんと説明するのは難しいですよね。 ルーツ「流鏑馬(やぶさめ)」とは、疾駆する馬上から左横に置かれた3つの的を射る神事です。6世紀に欽明天皇が現在の大分県・宇佐神宮において矢馳馬(やばせめ)として3つの的を射らせたことにルーツがあるとされており、平安時代には、宇多天皇が弓馬を極めた源能有(みなもとのよしあり)に命じて「弓馬の礼法」を定めさせました。  1187年、天下平定を記念し神事

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            古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第2回] 「カッコイイの代名詞」

             京都 上賀茂神社にて。  射手が的を射抜く姿を、姫たちはこっそりと、でもじっくりとみつめてみんなでキャーキャー言っていた。。。今から1000年くらい前に。  源氏物語に出てくる源氏の家はすごく大きいんですが、そこには馬場がありました。宴会になるとイケメンが集まって音楽を演奏したりYABUSAMEをしていた。  なんでかと言うと、源氏の家には美人がいっぱいいたから。  まあそれはいいとして、とにかくニッポンのカッコイイの代名詞「YABUSAME」。  僕は大昔の姫たちの気

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            古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第1回] 「流鏑馬に不思議な力あり」

               2016年4月17日。鶴岡八幡宮にて。   その日は朝から嵐で、流鏑馬の中止が予想されました。それが直前になって雲が切れ、太陽が出てきた。それこそ晴れて開催、ということになりました。  流鏑馬は神事。なにか不思議な力を感じました。  朝までの雨が新緑に残り、それがキラキラと太陽の光を反射している。  その光の中、人馬が突然現れ風のように通り過ぎていく。  流鏑馬を観に集まった人たちの「わー」という歓声に、いま行われたことをやっと認識する。  その瞬間にはもう、ずっと

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            「YABUSAME」の作者、古田 亘さんについて

            古田 亘(ふるたわたる)さんについてご紹介いたします。古田さんは写真家であり、アートディレクターでもあります。 履歴1971年、静岡市生まれ。CICカナダ国際大学を卒業後、コンピュータ会社の株式会社SCSKに就職したそうです。そこで営業・宣伝の仕事にたずさわり、映像制作会社へ転職。様々なメディアコンテンツのプロデュースやディレクションを経験したのち、2001年に独立しました。 プロデュース / ディレクションキャリア初期には、浅野忠信さんが初めて監督したオムニバスドラマ「

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            静寂な真っ黒な世界を一対の馬と人とが走っていく、流鏑馬。その比類なき美に迫る、初めてのフォトストーリー : 「YABUSAME」を電子書籍で発売。

            写真家・古田亘さんの新作写真集「YABUSAME」を刊行いたしました。全国4か所での流鏑馬神事を彼が取材し、迫真の描写力でまとめあげた、珍しいフォトストーリーです。 この本について国内外のスピリチュアルな風景を撮影したり、映画やテレビ、舞台演劇などの撮影を手掛けている古田さん。もともと日本の武道にも興味を持っており、あるきっかけで2016年4月に鶴岡八幡宮の鎌倉まつりで行われる流鏑馬(やぶさめ)神事を見る機会を得て、すっかり流鏑馬の虜になったと言います。 その時に夢中で撮

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