古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第6回] 「立原正秋」
あなたが帰ってこないことは分かっています。
という妻が主人公のお話「流鏑馬」。立原正秋の作品です。
その大きな鎌倉の屋敷には夫の両親がいて夫の弟がいる。屋敷を切り盛りし、皆の食事も作るのは妻である。それは夫がいるとかいないとか関係ない、変わらない彼女の仕事であった。
弟は流鏑馬をやる。伝統的な装束で馬を馳せ矢を射る姿は、彼女が育ってきた世界では見られなかった男の姿だった。
彼女の裡(うち)にはいつしか弟の姿があった。。。
「儀式と制約のうちに己をおくことで自らの青春に厳しさ