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古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第1回] 「流鏑馬に不思議な力あり」

 
 2016年4月17日。鶴岡八幡宮にて。 

 その日は朝から嵐で、流鏑馬の中止が予想されました。それが直前になって雲が切れ、太陽が出てきた。それこそ晴れて開催、ということになりました。
 流鏑馬は神事。なにか不思議な力を感じました。

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 朝までの雨が新緑に残り、それがキラキラと太陽の光を反射している。
 その光の中、人馬が突然現れ風のように通り過ぎていく。
 流鏑馬を観に集まった人たちの「わー」という歓声に、いま行われたことをやっと認識する。
 その瞬間にはもう、ずっと向こうの方にその馬と人は行ってしまっている。
 馬の駆ける音と矢を射る音が余韻として残る。人々のざわめきと安堵感。
 また、にわかに緊張感が走る。人馬が来る。
 今度は写真を撮った。

 こちらの構えを試されているような気になりました。気剣体が一致しているかどうか、を。流鏑馬の撮影は、いつも「立ち合い」をしているようです。

(この連載は毎週火曜日に更新予定です)

古田 亘(ふるたわたる)
1971年、静岡市生まれ。制作会社にて様々なメディアコンテンツのプロデュース、ディレクションを手がけ、2001年に独立。浅野忠信初監督作品「トーリ」(’04年)のプロデュースや、サーフドキュメンタリー映画「アドア」(’07年)の監督として注目を集めた。テレビ番組、舞台演劇、映画などの写真、デザイン、映像演出を数多く手掛ける。2020年7月、写真集「YABUSAME」を刊行。神奈川県葉山町在住。
https://www.watarufuruta.com

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