街の影響を受けながら過ごす日々
2021年5月に産んだ息子もまもなく10ヶ月になる。
保育園で困らないよう1日1回哺乳瓶でミルクを飲む他は母乳で育っていた乳児も、もう1日3回もご飯を食べている。
ヒヤヒヤすることは増えてきたが、"赤ちゃんらしい手間"が少しずつかからなくなってきたのだ。
少しくらいは夫に任せてでかけてもいい気がする。
一人で映画館や美術館、ギャラリーに行き、ハッとする瞬間がたまらなく好きだ。
脳にシワが入るのではなく、体を巡る血の温度が一瞬上がるようなかんじ。
自分の創作や生き方の刺激になるような、そんな体験。
だけど、コロナ禍での妊娠出産育児だったからすっかり引きこもり癖がついてしまった。
また、息子は4月から保育園に入るのだが実はちょっと寂しい私がいる。
「いいものに見たり、触れることも仕事のうちだぞ」
「感性に蜘蛛の巣がはったままの状態をヨシとするのか」
「作家より母という自分で満足なのか?」
などと自分に問い詰めたところ
「いまはしばらく、子供とベトベト過ごします」と結論がでた。
保育園に行き始めたら、ちゃんとしようと思う。
今はまだ町中に貼ってある美術館や映画館の告知ポスターを
「まあ、いつか観に行くでしょう」なんて思って流し見をしながら子供と散歩している。
そんなことでも行動が変化したことで無意識に情報って入ってくるんだなと驚いたことがある。
ある日、4月からの保育園生活、すなわち早起きに向けて、逗子市立図書館で早起きに関する本を探していた。
検索をしたので大体の場所の検討はついているので該当する本棚をジロジロしていたところ、なぜか早起きとは関係のない松浦弥太郎さんの本に目が釘付けになった。
松浦さんの本達や彼が編集長をしていた頃の暮しの手帖を何度も読んできたことがある。
さっぱりしていて、かんじがいい人だなという印象はあるものの、熱烈なファンではない。
子供の絵本をいっぱい借りているのであと一冊しか借りられない。
今日は早起きの本を借りたいのだし、そのほんは見つけられた。
なのに全然関係のない、内容も知らない松浦弥太郎さんの本を読みたくなった。
なんでだかわからないけれど、「まあ、今日のところはこの松浦弥太郎さんの本を借りよう」ということにした。
後日、この本を無性に手に取りたくなった理由がわかったのでお知らせする。
それは、逗子唯一の映画館シネマアミーゴで松浦弥太郎さんが初監督をした映画「場所はいつも旅先だった」を上映していて、そのポスターを目にしていたからだった。逗子のスズキヤの駐車場近くにシネマアミーゴの告知ブースがあるのだが、週に何回も目にしている。
映画館とか美術館でなにやってるのかななんて思ってポスターを眺めつつ、日々のあれこれでその情報は失われてしまっていたと思いきや、
自分の知らないところで残っていることに関心。
同時に、子供を溺愛しつつも、意外とお一人様時間を熱望しているのかもしれないなと気づいた。
シネマアミーゴはいい映画ばかりを扱っている。雰囲気もいい。なにより近所というのがいい。
自分の住まう界隈に良質なカルチャーが根付いているというのはありがたいことだとつくづく思った。
自転車で行ける距離にいい美術館(神奈川県立美術館葉山)があるのも、いい。
海と山が身近であることも、いい。
子供と毎日散歩していて改めて思う。
逗子・葉山っていい街だなぁと。
たった数年の移住者でしかない自分がいうのもなんだけど。
暮らす街のあり方は、無意識下に大きく影響すると感じた。
かわいい我が子も、この街の風や文化に包まれておおらかに育ってほしいものだ。
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