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朝井リョウ『スター』を読んで思うSexy Zoneのこと

新時代の"スター"は誰だ。

そんな煽り文がついているのが、朝井リョウさんの『スター』です。

朝井リョウさんといえば、ご自身のラジオで「けんてぃーみ」というコーナーを設けたり、勝利くんの出演した『世にも奇妙な君物語』の原作者だったりと、Sexy Zoneのファンの方には馴染み深い作家だと思います(たぶん)。

私自身はSexy Zoneのファン歴より朝井リョウ作品読者歴の方が長いもので、「朝井リョウ作品をセクラバさんにおすすめしたい!」という立ち位置で今回は書き進めます。

作品のあらすじはこちら。

新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した尚吾と紘。 ふたりは大学卒業後、名監督への弟子入りとYouTubeでの発信という真逆の道を選ぶ。 受賞歴、再生回数、完成度、利益、受け手の反応―― プロとアマチュアの境界線なき今、作品の質や価値は何をもって測られるのか。
(公式サイトより)

主人公は映画監督の卵と映像クリエイターなので、一見アイドルとは関係ありません。ですが、作品の質や価値は何で測られるのか、国民的スターはもう生まれないのか、新時代に何を目指したらいいのか……そんな問いかけは、アイドル、そしてアイドルを応援するファンにも刺さるのではないでしょうか?

これは私の解釈ですが、『スター』には「たった一つの星がない時代だけど星形をきれいに描くことを目指して頑張ってきた時間は無駄じゃない」というメッセージが込められていると思います。

「10年やってきた強みがある」と、最近のSexy Zoneのインタビューでよく聞きます。そんなインタビューや少しずつ買い集めている過去の映像を見ると、私は『スター』を思い出します。

泥まみれだったかもしれない。正しいと感じられないときがあったかもしれない。それでも10年やってきて、星に向かって手を伸ばしてきたことは無駄じゃない。『スター』はそう思わせてくれる作品です。

もちろんただ頑張っていればいいわけじゃない。それはそうです。求められた結果を出さないといけないときもある。以前勝利くんがVICTORY ROADSで「成功体験があるとまた夢に挑戦する足場になる」と話していました。より前に進むためにも、成功体験は必要です。

ただ、何が正解で何が一番か分からない時代に、どんなものを作ればいいのか。ファンはどう応援したらいいのか。そんなことに悩んでふと足が止まったときに、この本を読んでいただきたいです。

きっとSexy Zoneとセクラバだけじゃない。夢を追いかける人たち、そしてそんな人たちを応援している人たちには、何かを思わせてくれる一冊だと思います。

以下はこの本を読んだ方にしか伝わらない表現ですが……。

私はジャニーズにもテレビにも、ほとんど関わりなく生活していました。『スター』の言葉を借りるなら、Sexy Zoneの作品が「想定していた相手」ではない。

それでも初めて見たライブ映像で感動し、今では5人を応援しています。

素晴らしいものは、自然と越境していく。

『スター』の最後に書いてある一文は本当なんだと、自分の体験から思います。

ただ一つ付け加えるなら、私がSexy Zoneに出会えたのは友人のセクラバのおかげです。「自然と」は出会えなかったかもしれない。小さな越境を生むのは、ファン一人一人なのかもしれませんね。

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