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salt_5
人生最期のとき
もうすぐ自分の人生が終わるという夢を見たことがありますか。
私は見たことがあります。
状況はよく分からないけど、自分が余命6ヶ月だということは知っていて、いろんなところをふらついているんです。
最後にたどり着いた場所には、後ろは都会なんだけど、目の前は水の風景が広がっている。
どこかで見たことがあるこの光景……
そうだ、あそこだ。
もう10年以上前のこと、海外ボランティアに行き、その後、一人でいろんなことを考えながら、バックパッカーとして旅行しました。アメリカ、カナダ、メキシコ3か国を1か月程。
人生とは何か、幸せとは何か、私の使命とは何か。
様々な人種・仕事・生活スタイルを見ながら、自分の人生と向き合った旅をしていたように思います。
その旅の最後の日。
シアトルの船上から夕景を見ました。本当に美しかった。
ああ、そうだ。この光景だ。
その時に見た景色が、最期をむかえた私の目の前に広がっていたのです。
今、思うと、何かあるたびにその景色を思い出すので、自分と向き合った旅の中で、一番心に焼き付いていた景色なのかもしれません。
夢の中で、
「ああ、いい人生だったな。満足した人生だったな」
シアトルの海を見つめながら思うんです。
これから死んでゆくのに、悲しいとか、怖いとか、そういう気持ちはまったくなく、とっても穏やかな気持ちなんです。
その時の私は、自分の人生をそういう風に感じていたのだと思います。
そう思い続けて、これからも生きていきたい。
10年以上前に見た夢なのに、唯一忘れられない夢の話。私にとって海は人生を見つめる場所なのかもしれない。
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