マガジンのカバー画像

本と私

3
読んだ本の感想をまとめています。
運営しているクリエイター

#わたしの本棚

今日が来ること それは大いなる喜び 『少女ポリアンナ』を読んで

今日が来ること それは大いなる喜び 『少女ポリアンナ』を読んで

先日読んだ本の中で、こんな台詞がありました。

一見なんてことのない少女の台詞が、この春、私の頭の中で鳴り続けているのです。

昨日がどんな日であれ、今日が来ること。
昨日という日が過去になり、新しい今日という日が訪れたこと。
これはどんな意味を持つのでしょうか……

最近私はこんなことを考えるようになりました。
私の半生は、捉え方次第で、喜劇とも悲劇とも言えると。

たとえば病気になったこと。

もっとみる
『聞きたくて』 〜川端康成『雪国』を読んで詩を綴る〜

『聞きたくて』 〜川端康成『雪国』を読んで詩を綴る〜

『聞きたくて』

聞こえぬ声が聞きたくて
静寂の中ひとり耳傾ける

音のない部屋の中で
いつか読んだ小説の
知らない誰かの言葉が
体の内側で微かに響く

波頭のように
微風のように
花の上で休んでいた蝶のように

そしてするりと手の中からすり抜けて
また外の世界へと溶けてなくなる

その声の木霊を追いかけて
窓からこぼれる淡い夕日の中
ひとりその日を待ち侘びる

昨年、川端康成『雪国』を読み、いた

もっとみる