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業務用モニターサイズ論から、私のリフレッシュ下手を見つめなおした

こんにちは、ユキッ先生です。

貯金を食いつぶして月・水・金・土の晩酌をしているので、そろそろ本腰入れないといけません。読んでる人もすでにもう飽きたと思いますが、「2兆円か9000万円が欲しい」という心の声は、飽きもせず言語化していくつもりなので、そういう人だと諦めて、ひきつづきよろしくお願い申し上げます。

今回は、土曜の晩酌中に、下戸の夫相手に話したことをまとめてみます。
キャリアに関する経験が全然違うのに、こういう話にもうまいことリアクションをくれるので、下戸だけどいい夫です。

2社めの教訓「仕事で使うモニターはデカくあれ」

2社めはゲーム開発だったので、職場で使用するパソコンは基本的にデスクトップ型でした。ノートパソコンはあくまでも2台め以降に貸与されるもの、会議や出張のときに必要なもの、という位置づけです。デスク据え置きPCは、性能がタフであることが第一で、機材は個人の希望に応じて対応できるよう、潤沢に用意されていました。私自身も、希望してデュアルモニター環境にしていました。
とにかく「開発機材をケチらない」のが、あの業種(あの会社)の特徴です。

対照的に、1社めのときは貸与されるのはノートPC1台で、口頭連絡と紙の文化。ザ・中小企業です。電話で会議が中断することもしょっちゅうだし(そもそも仕事用携帯を貸与されている人と私用携帯を仕事に使っている人が混在していたし)。私が在籍した当時は、仕事の進めかたについては組織的マネジメントがほぼされていなくて、ほとんど個人の裁量といえば裁量、属人的といえば属人的。もっぺん繰り返すけど、ザ・中小企業でした。
そして、この前久々に訪問したときも、おおむね当時から進化している印象はなく。もうすぐ定年を迎えるであろう、お世話になった先輩方が、ノートPC1台で仕事をしているんです。

在宅勤務で実感しているかたも多いのではと推測しますが、そもそもノートPC1台って長時間の仕事に向いていない。工夫しないと姿勢にも目にもよろしくないですよね。

私が在宅勤務になったときに真っ先に準備したのは、専用の昇降式デスクとサイドワゴン、オフィスチェアです。チェックしてみると当時よりもリーズナブルになっていて、いまでは3~4万円で揃えられるみたいです。

また、自宅ベースで仕事を始めるとき、取り急ぎ買ったのが、27インチモニターです。ノートPCに接続して、2つのディスプレイを駆使しいていますが、とりあえず肩こりとそこから来る頭痛からは解放されました。

日がな新聞を読む天下り社員を呪っていた新入社員時代

会社員時代の在宅勤務と、現在の自宅ベースの働きかたで分かったのが、私の場合、「オフィスにいる時間、常に身体が緊張気味だった」ということです。過緊張、という語句もあるんですね。それに近い気がする。
実はこれって、私が会社員になって以降、自分自身にかけてきた呪いの裏返しでもあるんです。

入社当時、会社には「働いてないおじさん」がたくさんいました。当時の放送局にはある意味余裕があって、株主でもある大手新聞社や、電波行政管轄官庁の天下り先でもあったのです。

人目に付きにくい部署の部屋で、いちばん大きなデスクに座っていたおじさんは、本当に、日がな新聞を読んでいました。番組現場以外のオフィスでも、おもに動ける人材は若手社員と契約社員で、シニア社員になると、しょっちゅう喫煙室にいたり忽然とデスクから消えてしまっていたり、毎日の勤務時間の半分以上を持て余しているようにさえ見える。

若かりし日の私は、そういった人々を猛烈に恨んでいました。朝晩なく働くなかで、「私は絶対にああはならない、なりたくない」という気持ちが起こるのは当然で、事実、目先のタスクが溢れかえる日常に埋もれ、基本的には「職場での息抜き下手」になっていったわけです。

デカいモニターで堂々私用ネットをできる人・できない人の違いって

それでも最初の職場では、ノートPCでネットサーフィンをするのは数少ない息抜き方法のひとつでした。特に夜の時間帯になると集中力が枯渇してしまい、mixiに絶望&妄想日記を書いたり、ストレスからECサイトで服を爆買いしていました。20代っぽい行動だよね。

さてその後、転職して、モニターがデカくなりました。異業種転職で、みんなが知っていることも知らない…という負い目もありました。そしてたぶん誰もそこまで気にして見ていないし、企画という職業柄、リファレンスとして他社や流行りの娯楽コンテンツやサービスをチェックすることだってある程度必要なぐらいなのですが、誰に何かを言われたわけでもないのに、私はどうにも私用ネットができない心境に陥ってしまいまいた(携帯ではしょっちゅうツイートとかしていたけど)。

これはアサインされたチームの仕事の進め方や雰囲気にもよるんですが、コミュニケーションはメールやチャットベースだし、周りは終始カタカタカタカタやっている人が多い。常に誰かが会話していた1社めと真逆で、しゃべり声はむしろ目立つぐらいの、徹底したデスクワーク空間。職場の健康指導で「1時間に5分は休憩」などとは言われるものの、リフレッシュ目的で席を立つタイミングがよくわからず、気づけば数時間、デスクにかじりついてとにかくタスクをこなしている、というタイプの人になっていました。

さらに産後、時短勤務として復帰すると、残業できないプレッシャーが加わって、その傾向は強くなっていましたね。

ただ、同年代の社員でも堂々と勤務時間中に趣味のYouTube観たりできる人だっているわけです。2社めは一定時間以内の残業代は出ない制度だったけど、そいういう人が正直羨ましかったです。同じ年代の子どもがいるはずなんだけどなあ。お迎え担当じゃなかったんだなあと。

ちなみにこの話を晩酌しながら夫に聞いてもらったところ、「それはユッキーが真面目すぎでは。あと世代差もあると思うわ。ウチの職場では、若い子ほどそういう‟公私の線引き”を職場でしてないと思う」と言われました。
なるほど、そうなのかな。要は「業務上のヒントにもなるから、業務外のことに時間を使っている」と周囲にもセルフプレゼンテーションできさえすれば問題ないのかもしれません。私はただただそれが下手。いま流行りの、「心理的安全性」を構築できてない(だからこそ晩酌が癒し)。

そんな意見交換を経て、「メンタルを保つうえで勤務時間中に必要なバッファ」って、どれくらいなのかを、定性的・定量的に計る指標が欲しくなりました。

古巣訪問で、シニア社員がノートPCに向かっているのを見て葛藤した

現場タスクを一緒に回していた、希少な後輩が総務部署にいたのもびっくりしたのですが、私がいまこのオフィスで総務担当になったら、「在席率の高いデスクワーク部署の社員、特にシニアには、26インチ以上のモニターを貸与するのにな」と、正直感じました。

スマホ向けゲームを10年作っていたので心から思うんですけど、業務上必要であっても、小さいモニターを使い続けることには、年齢的限界を感じるんです。老眼とか肩・腰への負担を想定すると、40代は実はかなり高い壁です(余談ですが、妊娠期のアプリゲームのチェック業務は、気分が悪すぎてやはり完全に無理だった)。

モニターを貸与したくなったのは、一つには健康上の配慮であり、もう一つには、業務以外でのPC使用時間が周囲に見えやすくなって、組織内の自浄作用が働くことを期待したからです。

ですが、この一連の話を夫にも聞いてもらいながら、40代になってから会社の所属を離れてしまった私は、考えを改めました。実際、私が若い頃にお世話になった先輩方の、現役世代の頃の組織への貢献度も知っているし。目先のタスクに溺れてメンタルやられちゃいがちな若手への影響を考慮すると、「たとえ将来パフォーマンスが落ちる時期が来ても、その組織に居てもいいよ」というメッセージを孕んだ、もしかしたら必要な「組織のバッファ」なのかもしれない。もっとも、重要なのは「許容する落ち幅」をどう設定するかなんですけども。

モニターサイズがどうであれ、結局遊ぶ人は遊ぶし。それにこだわってしまうのは、むしろ「職場で遊んだり、気を抜いたりする姿を見せない」という規律を厳しく内在化してしまった、私の認知の歪みのような気もしました。転職理由の遠因でもあるなあ。おそらく自分が期待している水準より、自分はもともとポンコツだったんですよ。

まあ、余裕がある人が余裕のない人に手を差し伸べて助けあうのが組織の理想ではあることは間違いないのですが、「老い」という点を自身の身近に感じ始めた私としては、非常に難しいところです。

おしまい。


写真 / 大阪・犬鳴山温泉の旅館(2019年)

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