マガジンのカバー画像

〔短編集〕細胞膜を超えて

8
宇宙構造をテーマにしたSF短編集
運営しているクリエイター

#ss

細胞膜を超えて

細胞膜を超えて

河川敷に腰掛ける中学生2人
A「あんた塾は」
B「さぼり」
A「殺されんじゃん」
B「それな」

B「宇宙ってどこまであると思う」
A「どこまでも」
B「考えろよ」
A「考えたよ、ないんじゃない?境なんて」
B「あるだろ」
A「なんでわかんだよ」
B「ないとも言い切れないだろ」
A「…うん…?何急に」
B「いや、そういう本読んだんだよ」
A「宇宙の本?」
B「そんなかんじ、宇宙の真理、てきな」
A

もっとみる
鞴

お兄ちゃんがおかしくなったのは13年前です。当時私は11で、お兄ちゃんは14でした。当時の私には得体の知れない中学校とかいう世界でお兄ちゃんは毎日ぶたれたり蹴られたりしたそうです。
それからお兄ちゃんは心がおかしくなってしまいました。味がしぃへんのですって。何食べても。ニコニコしてお外でいっしょに遊んでくれた兄ちゃんはもう戻ってこぉへんのですって。
お兄ちゃんはお兄ちゃんの宇宙に閉じこもってしまっ

もっとみる

インターバル

A「宇宙五分前誕生説ってしってる?」

[点灯]

B「ん〜ん、なにそれ」

A「私たちの住む世界は何億年も前に生まれてその過程に私たちがいるんじゃなくて、私たちは五分前に歴史という設定をもって今この配置に置かれて、よーいっはい!ってカチンコ鳴らしたみたいに世界が始まったって説」

B「へぇ…」

A「つまんない?」

B「いや、ごめん。そういうわけじゃないけど。中々身体が起きなくて。」

A「外

もっとみる

wonderland

A「寒いわ〜」(肩をあげて寒がる)

B「そおね」

A「なんで遅刻するかな〜てかお前寒くないの?」

B「普通」

A「なんだよずるいなぁ」

B「なんでよ」

A「もういいからさ、なんか気の紛れる話ししてよ」

B「えぇ…じゃあさ、」

A「お!なに?!」(自分の腕を強くこすりながら勢いよく顔をむける)

B「私夢に感覚があるんだけどさ」

A「夢に感覚がある?」

B「うん。それいっても誰に

もっとみる

悪魔の証明

悪魔「悪魔の存在を信じますか」
女「信じません」
悪魔「では幽霊は」
女「信じます」
悪魔「なぜですか」
女「幽霊はみんなが見たと言います。悪魔の目撃証言はありません」
悪魔「悪魔の目撃証言があれば存在をみとめますか」
女「みとめません」
悪魔「なぜですが」
女「そもそも幽霊もみとめてはいません。わたしはみてません」
悪魔「でもさきほど幽霊の存在を信じると」
女「信じますが認めません私はひとからの

もっとみる

お役御免☆

悪魔「貴方の願いを3つかなえましょう」
女「本当ですか?!」
悪魔「えぇ本当です。さぁなんでも言ってみなさい」
女「そのまえに」
悪魔「なんでしょう」
女「叶えて貰ったときの代償はなんですか?」
悪魔「ああ!それをお伝えし忘れていましたね!失礼しました。私がいただくのは貴方の魂です」
女「魂!?では叶えて貰っても意味がないじゃないですか」
悪魔「ご安心ください。魂をいただくのは本来の寿命の少し前で

もっとみる