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塵箱の中の小説

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とりあえず書いた小説をアップしてます。主に私小説です。本来ならゴミ箱に捨てるような駄文ですが、読んでみていただけると嬉しいです。はい。
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2020年7月の記事一覧

里子の話。

何の気なしにあることを思い出すことがある。何かを思い出すと、頭はそのことをより思い出そうと働く。そして、それをだんだん思い出していくうちに、なぜそれを急に思い出したのかは忘れてしまう。

さっき丁度そんなことがあった。10年ほど前に東京で仕事をしていた頃の話だ。

当時の僕はマネージャーとして、20人くらいの飛び込み営業アルバイトのリーダーをしていた。そのバイトの中に大和里子(おおわさとこ)と言う

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蛍火は雨に溶けて

理由はひとつもなかった。ただ何となく、本当に何となく僕は病院に寄ったのだった。

お決まりの朝寝坊をかましてしまい、今からだと予備校の一限には間に合わない。別に誰に咎められるわけでもないのだが、僕はいつもの気まぐれで一限をさぼり、祖父の「ジジ」が入院している病院に寄ることにした。

ジジは末期の喉頭癌だ。どうやらもう長くはないらしい。ちょうど1週間ほど前に危篤状態になり、家族総出で病院に向かったの

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