シェア
妖怪きなこ爺
2021年6月8日 01:21
20歳のちょうど今ぐらいの季節に僕は上京した。時の流れは早いものであれからもう14年経ってしまった。下高井戸駅を降りて5分ほど歩いたところにあるアパートが僕の住処だった。甲州街道と京王線に挟まれたその木造アパートは、とてもレトロで、汚くて、良い意味でも悪い意味でも味があった。六畳一間の和室はイグサの香りが懐かしくて、僕は気に入っていた。部屋には布団が一組と、コタツテーブルと、座椅子と、ブラ
2020年12月4日 20:09
うだるような暑さに目を覚ます。昼過ぎに起きる怠惰な生活にため息を一つ。あぁ今日は8月15日か。起きてから一通りの準備を済ませると僕は護国神社へ向かった。毎年、終戦記念日のあたりで欠かさずにお参りをしている。理由はただ一つ。亡くなった祖母が毎年行っていたから、その想いを切らせたくないから、僕の中の恒例行事。どこまでも続くような、澄みきった青空だった。空を揺蕩う白雲を眺めていると改めて平和のあ