【おすすめ本】夏のバイトは狂言誘拐!?関門海峡を舞台にしたコメディタッチのミステリー!『もう誘拐なんてしない』東川篤哉
笑いつつも本格的なトリックも楽しめるミステリーを紹介します!
本書の紹介
東川篤哉さんの『もう誘拐なんてしない』です!
嵐の大野さん主演でフジテレビで連続ドラマ化もされています!
大学生・翔太郎が出会ったセーラー服の美少女・絵里香は暴力団組長の娘。
妹の手術費用を工面したい彼女のために、翔太郎は誘拐事件を自作自演して身代金を奪う“狂言誘拐”を計画する。
ところが、次から次へと事件が重なり、事態は予期せぬ方向へ…。
いまいち頼りない極道パパ・周五郎、「組長よりもヤクザらしい」姉の皐月ら、個性豊かな花園組の面々が繰り広げるドタバタ事件の結末は?
関門海峡を舞台にした青春コメディ&ミステリ。
笑いのツボにハマること必至!
成り行きで狂言誘拐をする事になる主人公
狂言誘拐をテーマにしたドダバタコメディ風のミステリーです!
主人公の翔太郎は大学の夏休みにタコ焼き屋台のバイト中、強面の男に追われている女子高生・絵里香を成り行きで助けます。
そして、更に成り行きでその女子高生を病院まで連れていったところ、その女子高生が暴力団花園組の組長の娘である事、そして義理の妹が難病に掛かっている事を知ります。
義理の妹は、暴力団組長の元から逃げだした奥さんの娘のため資金の援助は見込めない。
そこで二人は、翔太郎の大学の先輩も巻き込み、暴力団組長から手術費を手に入れる為、狂言誘拐を行う事を企てます!
マンガのような個性豊なキャラクター達
ストーリーも若干マンガ的ですが、登場人物は輪をかけてマンガ的なキャラクターばかりです!
本作は大きく二つの視点で物語が進みます。
1つ目は当然、主人公である翔太郎と絵里香、そして先輩ら3人の狂言誘拐組。
2つ目は狂言誘拐をされる立場にある周五郎を始めとした花園組です。
特に花園組は、暴力団でありながらどこか頼りない面々が多くかなりコメディチックに描かれています。
しかも、序盤の方で、周五郎は別れた奥さんとよりを戻すので手術費を出そうとしていると、読者目線からすると狂言誘拐すら必要ないのが分かるので、狂言誘拐がどこに着地するのかというとドキドキがあります。
終始ドタバタな誘拐劇と散りばめられた伏線!
物語の大半を占めるのが狂言誘拐ですが、その中で殺人事件が発生したり失踪事件が発生したりとミステリーとしての話が続きます。
頼りない主人公の翔太郎と、頼りない暴力団の花園組の面々のお陰で、あまり緊張感が少ない雰囲気で物語が進みますが、その中でも上手く伏線が隠されています!
トリック自体は狂言誘拐という設定を上手く利用したかなり大掛かりなものなので、ミステリーとしてもかなり面白い物となっています!
ミステリーとしては本格ですが、所々でマンガ的なギャグシーンが挟まれるので笑いを堪えるのが難しいですが、しっかりと伏線を隠しているので侮れません。
ちなみに最後の最後の方で登場する『怪人ワカメ男』の登場シーンは、緊迫した状況も相まって噴き出してしまいました。。。笑
ちょっと青春物っぽく終わるラストで、ページ数もそこまで多くないので気軽に本格ミステリーを楽しめる作品なので、是非手にとってみてください!
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