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トレーニング前のウォームアップ その❸アクティベーション

今回も前回に引き続きウォームアップの一連の流れで実施する内容について綴ってみます。
前回は、その❷モビリティドリルでした。
まだ頭の中にある内容をうまく言語化する能力が低いようにも感じます。が、何事も継続する事が大事にだと思うので引き続き拙く綴っていきます。
と、言いつつなんと前回の投稿から一年以上も経過してしまいました。
ま!未だ読者も皆無に等しいので気にせず改めて頑張っていきたいと思います。

まずアクティベーションについて簡潔に説明すると、

「疲労を引き起こさない程度に筋収縮を行うことでその後のメインとなる運動(競技、ストレングストレーニング)での筋の発揮張力が増加する」というものです。

メカニズムとしては筋収縮の際に必要なCa +(カルシウムイオン)に対する筋の感受性が増す。ということで起こるとされています。

それによってその後のスクワットなどで筋出力が向上するというものですが
勿論、SQ1RMが10kg、20kg上がった!といった劇的な向上はしません。
あくまでほんの%程度と考えるべきでしょう。
例えばスクワット実施前に股関節周りの筋群(小臀筋、中臀筋、大臀筋)をアクティベートする事でヒップエクステンションの出力が向上すると考えられます。

その他にもコア筋群をアクチィベート(プランク、サイドプランク等)する事でコア筋群の出力が向上→コアの安定性向上→スクワットなどのフリーウェイト実施時における体幹の剛性向上→傷害予防&スクワットの重量向上。とまぁ大雑把に言えばこのような流れでしょうか。

私が実際にアスリートに実施しているトレーニングでは基本的に(アスリートが怪我していない場合など)フリーウェイトを実施してもらうのでコア、下半身、上半身のアクティベーションを行います。と言うよりモビリティドリルの最後に自然とアクティベートされるような配列になっています。
具体的に例をあげれば、インチワームの際にヘソをなるべく地面に近づけるイメージで手をバンザイ姿勢まで足から離していきます。そうする事で自然と、主に矢状面上のAnterior core(腹直筋など)に負荷がかかります。(インチワームはハムストリングスのモビリティドリルという面でも同時に活用できるので便利です)

私が実際に用いているActivation drillの一例↓

・インチワーム
・クラムシェル
・ヒップアブダクション
・オーバーヘッドスクワット


また、反対にトレーニングで使う主働筋とは逆の作用を持つ拮抗筋をアクティベートすることでパフォーマンスが上がることも考えられます。

「え、トレーニングや競技練習で主に使う筋肉と逆の筋肉に刺激入れて意味あるの?」と思った人もいるかのしれません。

●拮抗筋が活性することで主働筋が活動しやすくなる


例えば野球のピッチャーが投球練習を行うとき、投球時には肩の内旋動作が強調されます。ボールを投げた後、内旋方向に向かう肩をブレーキ(制動)するために肩甲骨に付着している外旋作用をもつ回旋筋腱板(ローテーターカフ)が働きます。
主働筋が強く、拮抗筋が弱っていた場合、内旋方向に力を発揮しすぎて身体を怪我させないよう脳が出力をセーブするよう力発揮を抑制する働きがあります。
そのため、拮抗筋をアクティベートすることで弱っていた、または活性していなかった拮抗筋が活動しやすくなり、ブレーキ時に発揮できる出力が向上して主働筋が働きやすくなりパフォーマンスが向上する。といったものです。

ただ、筋が萎縮して弱っている場合はそもそも投球練習自体をストップして、回旋筋腱板の筋力強化のトレーニングを行うことが必須でしょうが。

特に、オーバーヘッド競技(野球のピッチャー、テニス)のアスリートはローテーターカフの筋群が萎縮を通り越して「陥没」してしまっている選手もたまにみます。

確かに野球の投球もテニスのサーブも腕を大きく伸ばした状態で肩の伸展、内旋動作が起こるためその分、動作の最後にブレーキをかける役割のローテーターカフに大きな負担がかかります。しかもローテーターカフは小さな筋群です。それを練習中に何百回とするんですからオーバーユースを引き起こしていると容易に考えられます。

皮肉なことに「陥没」してしまっているアスリートほど一生懸命に努力する頑張り屋である傾向が多いように感じます。

そのようなケガを予防するためにも(または頑張った努力を無駄にしないためにも)拮抗筋のアクティベーションだけでなく、ストレングストレーニングに拮抗筋を鍛えるエクササイズを組み込むことも重要になってきます。

指導中の経験で面白いな〜と思ったことがありました。
ボクシングの選手がサンドバックを打っている時に利き腕側の肩甲骨が痛むと訴えてきた時があり、観てみるとローテーターカフが萎縮していたことがありました。
意外だな〜。と思いながらも冷静に考えてみるとボクシングでは高速で打ち出したパンチを高速で引き戻します。なるべく早く連続でパンチを連打する為に素早く引き戻したり、カウンターを警戒して素早くガードポジションを作るためです。
確かに素早く引き戻す際には腕を引く「プル動作」が強調されますがプル動作にもローテーターカフは関与するためオーバーユースとなっていたと考えられます。

その以降、私はボクシングのトレーニングメニューにはローテーターカフを強化するためのエクササイズを導入しており、今ではもう選手たちから肩甲骨あたりの痛みを聞くことはありません(萎縮もありません)。※ローテーターカフを強化することで腕を素早く引き戻すという効果も多少狙っています。

話は脱線しましたが、ウォーミングアップに主働筋・拮抗筋のアクティベーションを導入することでトレーニングだけでなく、練習での力発揮能力を一時的に数%引き上げることが可能となり、パフォーマンスの向上に寄与するものと考えられます。

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