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認知症は「見た目ではわかりにくい」脳の病気!

認知症の方は、見た目では健康に見えることもしばしばあります。

もちろん、認知症の種類によっては身体に症状が出る方もいらっしゃいますが、
ここでは「見た目ではわかりにくい」をテーマにお話しします。

そもそも認知症とはどういう病気?

簡単にいうと、
正常に脳が働かなくなったことで、「覚えること」「話すこと」「計画を立てること」などのさまざまな機能が障害されてしまった状態のこと。

認知症とは、「脳の病気」なのです。
では、どうしていろいろな症状が出てしまうのでしょうか?

脳は「左・右・前・後ろ・内側」のいろいろな場所で
それぞれ全く違う働きをしています。
例えば「言葉を話したり理解すること」は、脳の左側の働きで支えられています!

そして認知症では、脳のある部分が縮んでしまう(脳萎縮)ことによって
いろいろな症状が起こるのです。
認知症の種類によっては、縮む部分が決まっているものもありますが
認知症では「脳全体」が縮んでしまうのです。

認知症はなぜ「わかりにくい」?

たとえば、脳梗塞になり手足を動かすことができなくなった方がいますよね。
いわゆる「麻痺」が起きていてる状態です。

私たちは、麻痺をもつ方に、こんなこと言いません。
 「なんで前みたいに歩けないの?」
 「頑張って動かしなさい!」

これは見ただけで「動かせない」ことがすぐにわかるからです。

ですが、認知症の方にはどうでしょうか?

見た目は健康そうなのに、
 ・何度も何度も同じことを話す
 ・話している内容がめちゃくちゃ
 ・料理が段取り良くできない 
日常生活でこのようなことが頻繁に起こるのです。

認知症の方は、決して悪気があるわけではありません。
「今まで普通にやっていたことが、なぜかできない」と思っているのです。

でも、一緒に暮らしていたご家族は驚きますよね。
 「麻痺とかはなくて健康そうなのに、どうしてできないの?」
 「覚える気がないんじゃないの?」
 「やる気がないなら私がやるから!」
このように思ってしまい、つい言ってしまうのではないでしょうか。

「見た目は健康そう」と「できていたことができなくなった」
この大きなギャップが、認知症のわかりにくさに繋がっているのです。

(骨折した方とうつ病の方。昔より理解が進んできたと言っても
骨折と比べると、「見た目でわからない」うつ病は理解されにくいですよね。)

そして、人間の脳は「わからないもの」=「怖いもの」と感じてしまい
遠ざけたり、攻撃したりしてしまうのです。

認知症の方の理解者になろう

残念ながら、認知症の方の中には
ご家族や周囲の人からつらい言葉を向けられる方も少なくありません。

認知症の方は、「何もわからなくなった人」ではないのです。
感情もプライドも、鮮明に色鮮やかに残っています!

私たちと同じように、怒られれば傷つき、
行動を制限されれば無気力に感じ、徐々に生きる気力が失われてしまいます。

認知症の方の理解者になる第一歩は「認知症を知ること」。
知ることができたその先に「理解」の道が待っています。

どうしてこのような症状が起きるのか、メカニズムを知っていれば
それに寄り添った接し方をすることができます。

「見た目ではわかりにくい」からこそ、理解されにくい認知症。
認知症の本人は、いつでも理解してくれる人を求めています。
(もちろん、まずは心を整理する時間も十分にとってください。
認知症の診断を受けると、本人もご家族も混乱することと思います。)

今後は、認知症の細かい種類や、日常生活でどんなことが起こりやすいのか
そのメカニズムは何なのか、対応の方法など
みなさまと一緒に考えていきたいと思います。



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