宙になげる
ぼうっと天井を眺める、時刻は12時30分
遮光カーテンの隙間から見える空は灰色で、まるで梅雨のような日が数日続いてるな、なんて漠然と思った
身体が重い、昨晩も、昨晩というか今朝までただただスマホを眺めていたからだろうか
物事が思った通りにいかないと癇癪を起こしてしまうこと、ひとつのことにばかり夢中になってほかが手をつけられないこと、荒れきった部屋
なにもかもが重くて、浅くて、ぬかるんでいる
生活をすること、お金を稼ぐこと、人を大切にすること、愛すること、愛されること
人間の営みのひとつひとつが、重くのしかかる
目を逸らし、夜を延ばしても、必ずのしかかる
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重い身体を起こして、いつだった床に落ちた髪の毛を踏まないように洗面所に向かう
やたら眩しい白い光をつけて、鏡を見ると、もう二十数年共にしているのに、いまだに嫌気がさす顔と向かい合う
贅肉が乗った腹、丸い背中、曲がった口、すべてが疎ましい
可愛いあの子は、自分の姿を鏡で見ても、こんな惨めな気持ちにはならないのだろうか
大学で同世代の波に飲まれても、嘲笑われているような気分にもならないのだろうか
くだらない、ヒトの入れ物ひとつでこんな気持ちになる
せめてもの化粧をして家出る
外に出るともう17時を過ぎていた
相変わらず灰色の空と、冬の痛みが頬にあたる
程よく人間がいる喫茶店に行き、本を開く
ノイズキャンセリングをしたヘッドホンから音楽を流すことで、人の存在を感じながらもひとりの世界に入る
疎ましい、視線も、身体も、何もかも
うるさくて、重くて、どうしようもない
身体を持つということは、こんなにも
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