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幸せな世界の後ろの影は。

あのとき彼女との出会いで幸せになることができた。
その感情は今 別の人と幸せを感じている。

永遠の愛を誓ったはずなのに
いまはあのときの感情はウソのように
消えてしまっている。

幸せという明るい世界からつくりだされた
影の世界とは表裏一体なのだ
しかし愚かなものでその一途な感情は
前にしか向けることができなかった。

大勢のまえで盛大に行った披露宴。
祝福され幸せな家庭を築くことに
疑いはなかった。

子宝にも恵まれ順風満帆と思われた夫婦生活は
夏の夕暮れのように少しずつ少しずつ気付けば
暗闇の世界を作り出すように。
壊れていったのだ。

子どもを授かってすぐは会話もあり、
ふたりで育児に家事、仕事を両立していた。
豊かなくらしとは言えなかったが
充実していた。

時が経つにつれ
仕方のないことだとわかっていたが、
妻の優先順位は絶対的にこどもが優先になり
夫婦の営みは最初からなかったかのように
なくなり、娘が幼稚園に入る頃には
最低限の会話しかなくなっていた。

修復の兆しはなかった。
小学校に上がる頃には会話らしい
会話はなくなり、
わたしは同居人、若しくはATMと化していた。

プライベートでは居場所がなく
肩身の狭い思いをしていたので
職場こそ唯一の居場所になっていた。

干渉されないので同僚たちと
飲みに行くこともできたし
その息抜きがあったことで
10年近く夫婦生活を続けることが
できたのかもしれない。

そんな中、時を同じくして先輩だったが
年齢は同じくらいの同僚である女性と
仕事帰りにふたりで飲みにいくことになった。
職場では複数で飲みに行くことはあっても
ふたりでというのがあまりなかった。
なんとなくタイミングがあったのだ。

年齢が近いこともあって職場でも
タメ口で話していたし、
スタイルのよさとクールな外見が
なんともミステリアスな雰囲気に
好感をもっていた。

時間はかからなかった。
なんとなくふたりで会う時間が増え、
人には相談しづらいような家庭の話も
自然と彼女にはしていた。

事情を理解してくれた上で
交際することになった。
家庭のあるわたしと
不倫という関係ではあったが
彼女との交際は順調だった。


そのときには夫婦の仲は冷めきっており
修復に向けた動きもなく双方諦めていた。

こちらから離婚の話は持ちかけ
すべてを打ちあけた。
そんなに驚く素振りもなかった。

親権のことや金銭的な話など
別れに向けて
事務的に進んでいったのだ。

彼女にはだいぶ待たせてしまったが
すべて整理し終わった上でプロポーズした。
おそらくだが快く了承してくれたとおもう。

肩の荷が降りたように感じた。
盛大に行った披露宴のときような
感情はなかったが
違う性質の幸せを感じることができたのだ。

ただ明るく照らす世界の後ろ側には
片親にしてしまった娘がいる事実と未来を
重く受け止めなければならない。

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