『塀の中の教室を読んで』
評価するなどおこがましいくらい、誰もが読むべき価値のある本…というのはその通りだけど、筆者はそんなの望んでいない。
誰もが読んで欲しいけど、それぞれが答えを出す時に参考になればと願うからこそ、どう思われても良いからと自らを奮い立たせながら、不安と自信の狭間で書き上げた本だと思う。
教育者として専門知識を身につけ自信満々になりたいだけなら、読まない方がいいと思う。そんなもの載ってない。かといって、色んな答えがあるからと、多角的な意見を知っておきたいだけの人も読まない方がいい。この本はそれでも自分の意見を言って、ぶつけ合うことに意味を与える本でもあるから、不安になるだけだと思う。
だからこそ、そんな人達にも読んで、正解の不確かさを理解しながら、正解と信じて答えを出す矛盾を身をもって示すことが、教育の基本姿勢であり、学びの基本だと思い知らされると思う。
そういう意味で、経営や芸術、色んな分野においての基礎であり、最先端を歩くための思想書にも近いかも知れない。
でも、全く難しいことは書かれていない。中学生でもきっと読めると思う。
テストの時間中、『正解を教えて』と言う受験者がいたらどう思うだろう?
きっとバカなことをいうなと言われるだろう。
でも、そんなセリフだらけなのが今の世の中で、それくらい『敷かれたレールを歩く不自由さ』と『決められた人生を歩まない自由さ』の狭間で不安になり、いいとこ取りの人生が幸せと勘違いする人でいっぱい溢れている。
人生は悩みと苦しみの連続と言われるが、だからといって、人生は不幸せの連続ではない。
疑問が壁になるから悩むのであり、壁を乗り越えるのはしんどいから苦しいのは当たり前だからそう言ってるだけで、楽しい人生を追い求められる事が幸せなんだと思う。それが辛くなるのはそもそも不自然で、辛くならないように助け合うために人は繋がる。だからこそ、愛することもあるし、憎むこともある。その2つは表裏一体。つまり、同じ事からでてる感情だから、都合良く選ぶ事なんてできるわけもない。その営みの結果、絆が出来るように思う。
結果がどうなるかなんて予想が出来ないけれど、前に進んでる人と言う表現は、最近かっこよく使われる。
でも、あまりかっこよくはないし、実はさほどいいもんでもない。落ちないくらいの汚れがついてるし、傷だらけだし、恨まれたり憎まれたりする事も多い。
ただ、文字通り冷静と情熱を大事にしているから、汚れてるだけではないし、嫌われてばかりでもない。意外と話してみると普通のことを言ってるだけだったりする。
いつでも普通じゃないタイミングでアクセルを踏み込む覚悟があるだけな気がする。その姿は一見、無鉄砲に見えるかもしれないし、平気に見えるかも知れないが、踏み込む前に散々不安と向き合ってただけで、踏み込むときに吹っ切れてるだけなんだと思う。
踏み込むときに悩む人こそ、それこそ何も考えてないだけなんじゃないかなと思う。
良くも悪くも、そこに自己顕示欲がどこまであるかが、規模の大きさに関わるのかも知れない。
筆者の後書きに、家族の日常の姿が書かれている。願いは多分、それしかない。なんだかんだで、自分の幸せを追い求めるのが1番正しいと解っているから、他者もやってくれないと困るのだ。
普通でありたいが故に、普通じゃないことをやっちゃうことになった男の姿がここには書かれている。
たぶん、人生を歩むとは、そういうことだと思う。
ブランキージェットシティの曲『CAMARO 』の出だしにこんな歌詞がある。
『生まれたのが地球で 偶然出会った友だち 恋に落ち 偶然死んでゆく』
この本はこの曲『CAMARO 』の歌詞そのもののようにも思えるくらい、むちゃくちゃいいね、この『へいなか』ってやつ。
書けば書くほど、悔しいくらい薄っぺらくなるのが非常に不愉快だから、へいなかに文句言ってやろうと思う。
そして、世の教育者にも筆者の代わりにお願いしたい。
俺じゃ宣伝にならないレビューにしかならんから、その肩書きでこの本を宣伝しまくってくれ。頼むから。
今、充実して余裕があるのは、きっと僕らはラッキーだから。
僕らは自分の努力が薄っぺらくなるくらい、ものすごく運が良い。
もっと努力してもどうにもならない人がいるし、彼らの努力は小さく見えても、彼らにはとてつもなく巨大だから、彼らはもっと努力しているんだから、そりゃあ力尽きるのも早いことを知らなければいけない。同情しながら、厳しい態度も辞さない。そういう対等に向き合う姿勢が、人間の品位であり敬意であり、尊重するという行為だと思う。
そろそろ小っ恥ずかしくなってきたから、言い訳をしておくが、僕も不運だから、これでも頑張った。
こんな褒めてんのかよく解んないレビューだけど、許してね。
あ、悪いところをあげるとしたら、もちょっと自慢話して欲しかったな(´∀`)
気持ちわかるけど、謙虚すぎるんですよ、この人。
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