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クリティカルシンキング(批判的思考)

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こうして人間は他人を非合理に理解する「批判的思考」+13

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+11,+12) 前回は、ケリーの立方体を用いた原因帰属の方法を説明しました。ケリーの立方体は、帰属する相手をよく知っている必要があります。しかし相手の情報を知らない場面で原因帰属を行う場面もでてくるでしょう。 今回は、そんな場面に役立つ割引と割増の原理についてです。 この失敗の原因は何だろう?たとえば、「クレヨンしんちゃん」に登場する秀才のカザマくんを例に出しましょう。カザマくんは塾のテストでいつも高得点をはじき出し

もし他人の行動原因が知りたくなったらこれを軸に考える「批判的思考」+12

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+11) 前回までで、原因推測の原則について説明しました。必要原因や十分原因、一致法や差異法などです。 ここからは、他人の行動を理解するために必要な「原因の帰属」について解説していきます。他人の行動の原因を判断するときに、気をつけるべき点について考えていきましょう。 こんな問題が起きたときの原因はなんだろう?因果関係は、なにも必要原因や十分原因だけを考えれば良いわけではありません。その原因が、内的か外的かも重要な区分の

この合わせ技なら高確率で因果関係を読み取れる「批判的思考」+11

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+1,+2,+3,+4,+5,+6,+7,+8,+9,+10) 前回は、因果関係を決定する方法の1つ、一致法を解説しました。今回は、「一致と差異の併用法」ついて解説していきます。 一致と差異の違いとは一致法の使い方を振り返りつつ、一致と差異の違いを考えてみましょう。 一致法とは、似たような出来事Aと出来事Bが起きたときに仮説として立てられる原因が同じXだった場合、2つの出来事の原因をXだと考える手法です。(例:集団食中毒)

考えるときにこれを見落とすから騙されやすくなる「批判的思考」+9

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+1,+2,+3,+4,+5,+6,+7,+8) 前回は原因推測の落とし穴の1つ、「平均方向への回帰」を説明しました。今回は、前-後論法を使うときの注意点としての「欠落したケース」について説明します。 こんな落とし文句には気をつけるたとえば、「1ヶ月続けただけで効果絶大!話題のダイエットグッズが今なら半額セール中!」と書かれたチラシを「クレヨンしんちゃん」のしんちゃんのお母さんが見たとしましょう。 みさえは、「あら…これなら痩

人間誰しも伸び続けるのが不可能な理由「批判的思考」+08

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+1,+2,+3,+4,+5,+6,+7) 前回は原因推測の落とし穴の1つ、「前-後論法」について説明しました。今回は、「平均方向への回帰」について説明していきます。 こんな因果関係はまちがっているドラえもんに登場するのび太くんが、テストで赤点を取ったします。のび太くんのお母さんは怒鳴りますね。そしてのび太くんは反省して、次回は勉強してからテストに臨み、高得点を叩き出しました。 するとお母さんは、のび太くんを褒めちぎります。気

スピリチュアルな思考に騙されず考える方法「批判的思考」+7

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+1,+2,+3,+4,+5,+6) 前回は原因推測の落とし穴の1つ、「相関の錯覚」について説明しました。今回は、「前-後論法」について説明していきます。 こんな前-後論法には気をつけるたとえば、2020年の東京都知事でAさんが知事に決まり、2年経ったとしましょう。そのときAさんはこう主張します。 「わたしが知事に就任したため、プラスチック袋の使用が減り、環境問題が改善しました!」 数字で確認しても、Aさんが就任してからスー

因果関係を推測するときに見落とすと騙される大事な基準「批判的思考」+5

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+1,+2,+3,+4) 前回と前々回で因果関係を決定する基準である「共変関係」と「時間的順序関係」を説明しました。この2つが揃っていれば原因として使えそうな気もしますが、もう1つ考慮しなければいけない基準があります。 それが「第3変数」。これが難所なので、きっちり理解しておきたいところです。 こんなときに第3変数をチェックする共変関係もあり、時間的な順序も合理的に問題がなければ、それは原因として考えられます。しかし、共変関係

鶏が先か卵が先か問題に戸惑う諸君へのアドバイス「批判的思考」+4

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+1,+2,+3) 前回は因果関係を決定する基準の1つ、共変関係について説明しました。今回は、2つ目の基準である時間的順序関係について説明していきます。 時間軸が論理的かを把握する前回と同様、クレヨンしんちゃんの家族を例に出してみましょう。しんちゃんが部屋を散らかすほど、みさえの怒りも増えていき、両者は共変関係にあると言いました。 では時間的な順序はどうでしょうか? みさえは、しんちゃんが部屋を散らかしたから怒っていますね。

共変関係がどうやって因果関係を決定するか?「批判的思考」+3

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+1,+2) 前回までで、原因を適切に推測するのがむずかしい理由を説明しました。 では、因果関係を上手に推測するにはどうすればいいのでしょうか。1つのやり方として、因果を読み取るための明確なモノサシを用意するのがいいでしょう。そのモノサシに当てはまっていれば、因果関係が正しいと考えればいいのです。 因果関係の決定に使えるそのようなモノサシは、大きく分けて3つあります。今回はその1つの「共変関係」について説明していきます。 出

まちがった原因に騙されやすい人の特徴がこちら「批判的思考」+2

クリティカルシンキングの続きです。(+1,) 前回で原因とは何かを説明し、必要原因と十分原因の違いを説明しました。出来事が起こる原因は、無数の必要原因が組み合わさって起こります。しかしすべての必要原因を把握するのはむずかしく、ほんとうに必要な原因を結果と無関係に結びつけがち。 この考え方は言い換えれば、ぼくたちは無数の必要原因のいくつかをピックアップして、それを大きな要因とみなしている傾向にあります。 ここでは、明らかにおかしい原因推測をしてしまう理由について説明してい

どうやって正確な原因を把握するのか「批判的思考」+1

クリティカルシンキングについて、自分なりにまとめておきたいなぁ〜と思っていたので、この機会にまとめます。良質な思考ができるようになれば、それだけ人生の彩りも変わりますし、やりたいことをたくさんできるようになるはずです。 しかも幸運なことに、クリティカルシンキングは技術であり、後天的に習得が可能です。このスキルは早い時期から養っておきたいので、しっかりまとめていきたいと思っております。 どんな場面でも、良質な思考は必要ですからね。 なぜ物事の原因を考えるのか? クリティ