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鶏が先か卵が先か問題に戸惑う諸君へのアドバイス「批判的思考」+4

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+1,+2,+3

前回は因果関係を決定する基準の1つ、共変関係について説明しました。今回は、2つ目の基準である時間的順序関係について説明していきます。

時間軸が論理的かを把握する

前回と同様、クレヨンしんちゃんの家族を例に出してみましょう。しんちゃんが部屋を散らかすほど、みさえの怒りも増えていき、両者は共変関係にあると言いました。

では時間的な順序はどうでしょうか?

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みさえは、しんちゃんが部屋を散らかしたから怒っていますね。時間的な順序を観察すれば、因果関係がよくわかります。日常生活でも馴染みある話なので疑う余地はありません。

みさえが怒ったから、しんちゃんが部屋を散らかしたのであれば、それはまた別の話になります。

時間的な順序が複雑なケース

日常的な例に出てくる因果関係は、直感的でわかりやすいので迷いません。しかし時間的順序が関係しているのか、していないのかわからない問いも登場します。

たとえば、「プロテインを飲んでいる小学生は、飲まない小学生よりも学力が高い傾向にある!」という主張が流れてきたとします。

もしこの話を時間的な順序で考えるのであれば、①プロテインを飲んでいる→②学力が高くなる、と考えられるでしょう。プロテインと学力は共変していますし、時間的にもプロテインの摂取は前なのですから。

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しかし実際には、時間的な順序に別の可能性が生まれています。

たとえば、そもそも知能指数が高い小学生ほど、プロテインの必要性に気づいて飲み始めているのかもしれませんし、知能の高い親ならば子どもにプロテインを飲ませようとするかもしれません。

要するに、プロテインを飲んだから結果として頭が良いのか、そもそも頭がよいからプロテインを飲んでいるのか、どちらも可能性として有り得るのです。

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にわとりが先か卵が先か?

プロテインの話のように、直感的に考えやすい因果関係がそのまま正解と言えない話は多々あります。このような例を「にわとりが先か卵が先か」と言ったりしますね。

因果関係を推測する上で、時間的な順序関係は大きなカギになります。しかし原因と結果がほんとうに時間軸で正しいのか、原因が先行している可能性はないのか、論理的に検証する必要があるのです。

ちなみに、共変関係だけで因果関係を特定できないのもプロテインの例でわかるようになります。共変関係は因果関係を示す1つのシグナルなだけで、それ自体が原因の証拠になるわけではないのです。

まとめ

時間的な順序関係を疑うクセがつくと、ネットメディアの煽り記事に騙されにくくなりますし、ノイズまみれの情報に触れづらくなるメリットがあります。

【考えてみよう】
ゲームをやる時間が長い子どもほど、学校の成績が良い傾向があるとわかった。一般では、ゲームを行うことでアイデアが浮かびやすくなり創造性が高まるから、と解釈されている。出来事の時間的順序と因果関係で、この理由以外に考えられる可能性を考えてみよう。

動画の解説はこちら↓↓↓

クリティカルシンキング「因果関係を決定する基準:時間的順序関係」+4の解説

読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。