移住先で猫を飼い始めた話 ー敦賀と猫ー
毎年2月22日はにゃんにゃんにゃんで猫の日。今年さらに2022年ということで「スーパー猫の日」だそうだ。
せっかくの「スーパー猫の日」にちなんで、昨年8月に家族になった我が家の猫のこと、そして敦賀と猫のことについて書きたいと思う。
「くらやみからネコがとび出してきた!」
我が家の猫と出会った日。この日は、福井市から知人とその友人(初対面)が数名、敦賀に来てくれていた。
普段なら、馴染みの飲み屋さんなどでお酒を交え、初めましての緊張を紛らわせながらお話をするところ。しかしちょうどその頃、飲食店は県独自の緊急事態宣言の発令による営業時間の制限を受けていた。福井からはるばるみんながやってきた時にはもう店じまいの時間だった。
自宅で話をするにはまだまだ距離感が掴めない。
苦肉の策として、敦賀案内を口実に夜の散歩を提案した。この時はまさか猫と出会うことになるなんて思いもよらなかった。
向かったのは、金ヶ崎緑地。途中コンビニを経由しつつ、とりあえず自己紹介なんかをそれぞれしながら港の方へと向かっていく。夜風が気持ちよかった。
歩くこと25分ほど。ようやく目的地に到着。金ヶ崎緑地の駐車場に差し掛かったところで、
「ニャー」
と、どこからか仕切りに鳴く猫の声が聞こえてきた。見ると、港の方の暗闇から黒くて小さな何かが近づいてきた。
友人は「暗闇から猫が飛び出してきた!」と言った。ポケモンかよ。
猫はそのまま私たちの足元までやってきて、ウロウロとしながら「ニャーニャー」と何かを訴える。人間に対する警戒心は全くないようだった。どうやら野良猫ではなさそうだった。一緒にいた一人が猫を飼っていたこともあってとりあえずの世話は心配なさそうだったことと、あまりにもガリガリな子猫が心配で連れて帰ることにした。
「拾ってもらってよかったね〜」
一夜明け、みんなが福井へ帰ったあと、動物病院を探した。
もちろん、敦賀で動物病院なんて行ったことがない。Googleで「敦賀 動物病院」と検索し、上の方に出てきた動物病院に向かった。
昨晩一緒にいた友人の一人が付き添ってくれた。相変わらず「ニャーニャー」と泣き続ける猫を段ボールに入れて診察へ。名前を尋ねられたが、まだ決めていないと答える。正直まだこの時点では飼えるのかどうかも不安だった。診察で拾った場所や状況などを伝え、検便や採血を済ませ、結果を待つ。
待合所に、立派な黒猫を抱えたご夫婦がいた。毛艶がよく、大切に育てられたという感じの素敵な猫ちゃんだった。奥様が段ボールを抱える私たちをみて、話しかけてくれた。なんと、抱き抱えられた猫ちゃんも捨て猫だったのだという。
検査の結果、異常は全くなかった。獣医さんによると、捨てられて1週間くらいだろうとのこと。
「拾ってもらってよかったね〜」
と猫を撫でながら言う獣医さん。猫の世話の仕方や病院に来る頻度、エサや費用のことまで丁寧に教えてくれた。その瞬間、飼うことを決めた。信頼できそうな獣医さんがいること、そして捨て猫出身だという同じ黒猫とその飼い主さんとの会話。大丈夫な気がした。そのあと、名前を猫自身に決めさせたら、「ジジ」になった。
敦賀と猫の関係性
あくまでも個人の感想だが、敦賀には野良猫が多い気がする。
勝手に我が家のベランダでくつろいでいたり、車の下にいたり。以前、仕事から帰ってくると自宅の玄関前で野良猫が亡くなっていたこともあった。そのときは流石に苦しくなったが、本当にそれくらい日常的に街中で猫の姿を見かける。
また、商店街付近には猫を飼っている家庭が多いそうだ。
以前誰かから、「このあたりに猫を飼っている家庭が多いのは、近くに猫が捨てられるから」と聞いたことがある。これが自宅付近で捨てられた猫を見捨てられず各家庭が迎え入れていった結果なのだとしたら、なんて優しい人の多いまちなのだろうかと思う。
昨年秋に開催された「国8空活」では、アート企画として本町一丁目商店街の8つの店先にかわいらしい猫の絵が描かれたが、これも「商店街で猫を飼っている家庭が多いから」という理由だった。
「猫」のような、普遍的で一見何の関連性のなさそうなコトからも敦賀という街の特性を探れるかもしれないと思った。
野良猫・捨て猫が多いというのは、街の課題でもあるだろう。現状、敦賀にはどれくらいの捨て猫・野良猫がいるのか、どのようにして新しい飼い主を見つけているのかはこれから勉強していこうと思う。