「自分専用のモノが欲しい」と使い始めた8年モノのステンレス定規。価格やスペックよりも大切な思いとは。
働く人にとって、日々扱う道具は「相棒」と言っても過言ではありません。
相棒とどのように出会い、どんな思い出を刻んできたのか。
長らく使ってきた道具に焦点を当てると、その人の個性やこだわりが滲み出てきます。
今回の「相棒」は、岡野バルブ製造(株)の的場悠太さんが約8年間愛用しているステンレス製定規に焦点を当てます。
常にポケットに入れて扱う姿からは、先輩への憧れとモノを大切にする的場さんの個性が垣間見えてきます。
先輩が使っていた姿に「カッコいいな」と使い始めることに
ー「相棒」と出会ったきっかけは。
的場
「7~8年ほど前だったと思います。それまでは機械に備え付けのものを使っていたんですけど、測るたびに取りに行くのが面倒だったんですよ。サイズも300ミリとか600ミリとかで大きくて使いづらくて。それでコンパクトで自分でも使えるこの150ミリのサイズを選びました」
ーどんな時に相棒は活躍していますか?
的場
「加工後にすぐに測れるように胸ポケットに入れてます。高い精度が求められるものにはノギスを使いますが、ある程度のものであればコレを使っていますね。そういえば、自分専用で使い始めたのは、先輩が胸ポケットに入れて使っている姿が『カッコいいな』と思ったのも理由ですね」
一度無くしてしまったことで気づいた愛着
ーそんな相棒にはどんな「個性」がありますか?
的場
「ステンレス製で厚みがないので折れそうになるんですが、意外に物持ちががいいんです。裏にはインチでの表記やネジのサイズ表も書かれているので、その情報も目にしています。以前はシールを貼って自分のモノとわかるようにしていたんですが、最近は黄色いタグをつけて目印にしていますね」
ー最も印象に残っている思い出を教えてください。
的場
「実は4~5年ほど前に1度、無くしたことがあったんですよ。値段も300円程で高価なものでもないですし、その頃はそこまでこだわりもなかったので仕方ないかと思って諦めていました」
ー一度は離ればなれになったんですね…
的場
「それが、年末の大掃除の時に見つかったんですよ。機械のすき間に滑り込んでいたみたいで。まさか見つかると思っていなかったので意外でしたし、それ以降は大切に使おうとタグをつけるようになりました」
どんなにいいモノがあっても「一生使い続けたい」
ーもし相棒が現れなかったら、どんな社会人生活になっていましたか?
的場
「シンプルに寂しいですね。共用のモノは大きすぎてやはり使い勝手が悪いんですよ。今回も『自分が長く使っているモノって何だろう』と振り返ってみたんですが、コレを思い出したということは思い入れがあるからなんだと思います」
ーこれから相棒とどのように付き合っていきますか?
的場
「働き続ける限りは一生使い続けたいです。手間はかかるし、段々目盛りが削れてきていますが、頻繁に汚れるので今でも月に1~2回は掃除して綺麗にしています。今は100円ショップでも同じようなものを手に入れられますし、逆にもっと高価で頑丈なものもあると思うんですが、大きさや手軽で使い勝手がいいのでこれからも手放せないですよね」
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