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湾岸ラプソディ 著:盛田隆二 書評

 いやぁ〜読み切った。読み切ったと言う満足感が半端無い。

 見開きで4段落詰めのハードカバーの本なんて、高校生の頃、芥川賞全集とか読んでた頃以外読むのは初めてだった。

 285ページ読了。『月刊カドカワ』に連載された『夜の果てまで』を改題し、大幅な加筆を施しました。とある。

 帯にはこう書いてある。「もうおしまい、なにもかも」「裕里子さん、ふたりで逃げよう」失うものはもう何もない。ただひたむきに、互いの人生に向き合った二人が、喜びと悲しみの果てに辿る道。著者会心の最高傑作。恋愛小説、堂々850枚 角川書店

 裕里子はたばこを口にくわえ、夜の海をじっと見ていた。
 コートのポケットに両手を入れ、吹きつける風に乱れた髪を直そうともしない。
 そんな彼女の姿はまるで足下に地面がないような頼りなさを感じさせた。
 「じつは隠してたことがあるんだ」
 俊介は裕里子の腕をとった。その手はすばやくふりはらわれた。
 「やめて、聞きたくない」
 裕里子は足下にたばこを落とし、かかとで叩くように踏むと、足早に歩きだした。
(本文より)

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