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 わたしの美しい庭 著:凪良ゆう

 美しい庭のように美しい物語だった。すみれ荘ファミリア、神様のビオトープと読んで3冊目だったが、私はこの作品が一番好きだ。マンションの屋上には宮司の統理が世話を欠かさない屋上庭園がある。そして、狛犬と祠もあって、その神様は縁切り様の御神体を祀っているのである。

 アルコールやタバコなど、縁を切りたい物を型代に書いて賽銭箱のような物に入れるのだ。宿題と縁を切りたいと答案用紙を入れてしまい、宮司伝に家に戻されて叱られた子供も居るくらいである。刀で切る神様だが良縁などは切らないとされている。しかし、屋上庭園と縁切り様のおかげで縁切りマンションと言われてしまうマンションだった。神主は食わん主などと呼ばれる事もあるくらい貧しく兼業をしてる人が多いくらいでこのマンションは家賃収入をもたらす為に先代が建てたものを受け継いだのが翻訳家の統理だ。

 統理は5歳になる百音と言う女の子を引き取って暮らしている。元嫁の再婚相手との子供だ。百音の両親は他界してしまった。そして路有と言う屋台バーを経営するゲイと朝食を共にする。路有は統理の友達でお隣さん。路有も失恋で心痛めてる時に統理に助けられた一人だ。

 そしてマンションの住人の桃子の話から始まり、路有の失恋の結末を描き桃子の恋人の弟の話を描き終わりだった。百音や統理の話は出て来ないのである。それはそれは美しいなさぬ仲なのだが話の設定とスパイスに留まり、あの稲妻、ロンダリング、兄の恋人と3編を描いているのだった。設定が面白い。そして今回も夢中で二日で読まされてしまった。

 今回も作中に死んでしまう人が居るが、悲しみや物語を紡ぐ上でこれはもう作家の常套手段なのだなと言う事は仕方が無いと割り切ってしまおう。そうじゃない物語を読みたいのだが仕方が無い。そうじゃない作品に出会う事は滅多に無いからだ。今回は百音の存在と統理との出会いが両親の他界だった。のっけからそうだからか百音が愛くるしいからか悲壮感は漂っていなかった。

 私が縁を切りたい物はなんだろう。ろくに仕事もできないこの身体か、それよりも人からどう見られてるとか気にするこの性格の悪さか、打たれ弱い所か、だとしたら私は弱気と縁切りしたいな。

 以上

今日もコンビニにコーヒーとタバコを買いに行きます。私の唯一の楽みです。奢ってくれた方はフォローしてイイねしてコメント入れさせて頂きます。それくらいのお返ししかできませんが、ご支援して頂けると幸いです。