見出し画像

 君が降る日 著:島本理生

 あとがきと文庫本あとがきを読んで、恋人の死に対する物語を作ってみたかった事と、東日本大震災後、改稿を加えた事を知った。角田光代さんの解説の通り、設定は残酷である。降一と言う志保の彼氏が冒頭、五十嵐さんと言う一学年上の先輩との海への旅行中に交通事故で亡くなるシーンから物語は始まる。

 降一と言う共通点で彼を失った悲しみを取り持ったのは降一の弟の祐嗣君だった。一緒に映画に行くようになったり、知恵の輪を外してみたり、勉強を見てあげたりと、降一の家は喫茶店だったのでその手伝いをお互いしながら彼の事を忘れられずに居た。でも降一の母親が駄目だった。五十嵐君に手伝われるのは辛いと、五十嵐自体も自分の行いを恥じ、店に来なくなった。その後で春には就職して福岡に転勤になると、アルバイト代を母親に渡して謝罪に来るのだった。志保もそんな五十嵐を不憫に思い、公園で別れを告げた。

 上が長き夜の章だ。ここで終わってくれれば良いものを浅き春の章と言う福岡に志保が五十嵐さんに会いに行く章が立てられてる。そこで五十嵐に会いに来たのではなく記憶の中の降一に会いに来た事を自覚され、死ぬ間際の事を聞くのだった。

 他に英語教室で知り合った年下の高校生との恋を収めた『冬の動物園』と島本理生さんも自身で好きだと語る『野ばら』が収録されている、幻冬舎文庫のものを読んだ。『野ばら』は友達以上恋人未満の青春小説だ。そこに妹が入って来て一気におかしくなってしまう。でも、そんな儚い関係性と主人公の心模様を谷川俊太郎氏の詩を引用して最後まとめてあった。読後感も爽快だ。

 私用で申し訳ありませんが喉をタバコで傷めました。声が出ません。こう言う事は今まで何度もあって自然に治ってたのですが、今回はなかなか思うように治らないのと大きな咳が出るので明日の仕事もキャンセルしました。

 養生のため、本を読むペースも変わるかもしれません。

 以上

この記事が参加している募集

今日もコンビニにコーヒーとタバコを買いに行きます。私の唯一の楽みです。奢ってくれた方はフォローしてイイねしてコメント入れさせて頂きます。それくらいのお返ししかできませんが、ご支援して頂けると幸いです。