見出し画像

 夜のピクニック 著:恩田陸

 高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

 背表紙引用しました。文庫版で447ページ読了しました。甲田貴子と西脇融(にしわき・とおる)が物語の主人公。二人は三年になって同じクラスになり、噂される中だったが一言も喋る事はなかった。

 と言うのも西脇融と甲田貴子の父親は同一人物だったと言う異母兄弟であったと言うのが原因なのだ。特に融は貴子に対して惨めな憎悪を感じていたのである。このまま喋らなかったら一生喋らないで別々の人生を歩くのだろうと貴子は感じていた。だからこの歩行祭で一言でも喋れればと、小さな賭けをしながらのぞんでいたのだ。

 80キロと言う途方も無い距離を描写しながら貴子の友人関係、融の友人関係を描き、交差させながら最後は貴子と融がお喋りできてお墓参りに一緒に行きたいと思っていたと言う所から、一度ウチに遊びにおいでよと約束し、二人の蟠(わだかま)りは溶けて、無事ゴールインの校門をくぐってエンディングだった。

 これだけのためにどれだけ会話を描写して他の登場人物を使った事か、その描写力に畏れ入る。『蜜蜂と遠雷』もそうだった。ピアノコンクールの予選から本選までを延々と書いているのだ。

 読後の納得感というかハッピーエンドは爽快だったが、読んでいる最中は無心だった。どう言う終わり方するのかなぁと延々二人の関係を心配しながら読んでいたが、最後の方になって来てあぁ、良かったとほっこりするのだ。400ページ越えだから読むのに三日かかったかな。今日、読み終えて一息ついてる。

 話しの筋はシンプルなのに、これだけ付随する情報網で物語に厚みを持たせて昇華する。描写力が凄い作家さんだなと思った。次は19日に芥川直木賞が発表されるので、そちらを買って読みたいと思います。

 以上

今日もコンビニにコーヒーとタバコを買いに行きます。私の唯一の楽みです。奢ってくれた方はフォローしてイイねしてコメント入れさせて頂きます。それくらいのお返ししかできませんが、ご支援して頂けると幸いです。