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[読書日記] 夜のピクニック

友達に勧められて読み始めたこの『夜のピクニック』。自分の青春を思い出させられた。
夜の22時、歩きたい衝動に駆られ、私は外に飛び出した。真冬の外は身をさく冷たさであった。

〈あらすじ〉
夜だから、いつものみんなも違って見える。私も少し、勇気を出せる。
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
〈新潮社 書籍詳細:夜のピクニックより(https://www.shinchosha.co.jp/book/123417/)〉

私の母校にも長い距離をただ歩くという行事があった。中学校にも高校にもあった。
1年生だけの行事であり、夜をまたいで歩きはしなかったけれど、この行事がいかに特殊で名残惜しいかは理解できる。

私はこのお話を通して自分の青春を思い出した。学生らしい行事が題材だということもあるだろうが、登場人物達のなんともいえない人間関係や対話に刺激されたのだと思う。
信頼し合っている仲。ちょっと遠慮がある仲。なぜか築いてしまった仲。そして、築かされてしまった仲。まだ、大人のように関係を割り切らず、まっすぐに関係を築こうとする姿が懐かしい。

私は、良好な人間関係をつくるのが苦手だった。今も得意ではないが、いろいろな経験を積んで人との付き合い方を学んだ。
当時は、上手に付き合うというやり方が分からなかったから、甲田貴子のような“小さな賭け”をして大丈夫な人を増やしていった。

この甲田貴子は非常に複雑な関係の人に歩み寄ろうと“小さな賭け”をする。私が感じた圧よりもさらに強いプレッシャーを感じたことだろう。しかも、この賭けは、自分次第で勝つことも負けることもできるのだ。

賭けのことを頭のすみに置きながら、友人やクラスメイトとひたすら前に進む、貴子。私は、「貴女は、えらい。すごく頑張っている。」と謎の賛辞を贈りながら、昔の自分を思い出した。

青春時代特有の自分の中で自分がゆれる感じ。3年という期限が設けられているからこその焦り。そんなものを感じられるお話であった。

また、このお話で青春時代を思い出し、「私もちゃんと青春していたんだな」と安堵した自分もいた。

お散歩から帰ってきたのは、12時を回ろうとする頃。約2時間の小さなピクニック。

とにかく寒かった。けれど、星が綺麗に見えた。


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