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 リアル鬼ごっこ 著:山田悠介

 ネタバレ。以下Wikipediaから引用

西暦3000年。人口約一億人、医療技術や科学技術、そして機械技術までもが恐ろしいほど発達し、他国と比べても全ての面でトップクラスを誇る絶対君主制王国で、「佐藤」姓はついに五百万人を突破した。
建国以来目立った戦争が起きていなかったが、先代の国王が逝去し、次の百五十代目の国王が即位してから状況は一変する。先代が早くこの世を去ったため、現在の国王は二十一歳。彼は自分勝手でわがまま、優柔不断な性格であったため、窃盗・強盗・放火・殺人まで起きるようになってしまい、国内は混乱と戦火に包まれてしまう。王妃が亡くなってからはますますエスカレートする一方だが、国王は何の危機感も持たず、今まで通りただただ優雅な日々を送っていた。
そんなある日、ゲーム好きである国王は同じ姓を持つ人間がこの国に存在することに怒りを覚え、"佐藤姓"を効率的に抹殺するために"リアル鬼ごっこ"なる計画を発表する。それは残虐非道なゲームの幕開けとなった。
横浜に住む大学生の佐藤翼は父親・輝彦との2人暮らし。彼が7歳の時に母親の益美は3つ下の妹のを連れ、酒におぼれて暴力を振るう父親から逃げ出していた。そんなある日、翼は新聞を読んでいる最中"リアル鬼ごっこ"のニュースを知り、否応なしに参加することになる。
"リアル鬼ごっこ"一日目は特に何事もなく終わり、二日目に探知機ゴーグルを着けた全身迷彩服の鬼に遭遇するも、陸上選手である翼は持ち前の脚力で振り切った。しかし、帰宅した際に自宅前で鬼から逃げ回っていた輝彦が息を切らして倒れているのを発見する。輝彦は、益美が交通事故で死んだことと、いったんは旧姓の「鈴木」に戻った妹の愛が、自分の弟の養女になったため、"佐藤"姓に戻っていることを告げる。愛は大阪にいて、「お前が愛を助けるんだ」と翼へ言い残し、急性心不全で息を引き取った。
翼は父の通夜を済ませた後、家のタンスの中からあるだけの現金のみを持って新幹線で大阪へと向かった。新大阪から乗り換えて、父から言われた愛の住んでいる淀川区の「十三」駅に到着する。三日目が始まってから約十分で鬼に見つかりその最中、彼は中学時代の親友である佐藤洋と再会する。中学時代は洋と共に店で商品を盗んだり、他校の窓ガラスを割ったりして派手に暴れていたことから「ダブル佐藤」と呼ばれ恐れられていたが、高校生になり、通う高校が離れて以来疎遠となっていた。翼は洋とともに愛を探し続けるも、四日目で洋は翼を助けるために鬼に必死に抵抗したが、鬼が持っていた拳銃で殺された。
親友である洋を失い、妹である愛を探し続ける翼。そして五日目の朝、ついに翼は愛と再会する。翼は愛と行動をともにし、五日目は間一髪のところでセーフ。しかし、六日目に愛は鬼から逃げている途中に翼とはぐれてしまい、鬼に捕まってしまう。翼はその後鬼に捕まっている愛を見つけるが、鬼から拳銃を背中に突きつけられ、何も出来ず、愛が鬼に連れて行く様子を見守るしかなかった。
そのころ王国では、どうせ死ぬならとヤケになった佐藤姓の国民が犯罪に走り、治安が悪化していく。五日目終了時点で、かつては五百万人いた佐藤姓の人口が五万人にまで減少していた。
親友も妹も親も失った翼は精神的に追い詰められていく。そして「ラスト鬼ごっこ」の日、彼は気が狂いながら逃げ回るも、行き止まりの場所で九人の鬼たちに追い詰められてしまう。死を覚悟した翼だったが、鬼たちは翼を捕まえようとせず、数分後、"リアル鬼ごっこ"の全日程が終了した。
翼を囲んだ九人の鬼は今までに体験した"リアル鬼ごっこ"について色々な質問をした後、一人の鬼が拳銃を渡し、"リアル鬼ごっこ"の日程が終了した翌日に行われる閉会式でこれでヤツ(国王)に復讐しないか、と言った。
"リアル鬼ごっこ"を生き抜いた唯一の佐藤姓となった翼は、翌日閉会式に何でも願いごとを叶えよう、と告げられるが、彼は最終日に追い詰められた鬼である兵士から託されていた拳銃で計三発の弾丸で国王の体を貫き、射殺する。直後、数人の兵士に翼も射殺され、佐藤という姓は、王子以外一人としていなくなり幕を閉じる。

 2001年に自費出版で100万部越えの話題作である。山田悠介さんの処女作だ。映像化もされ、リアル鬼ごっこ2・3・4・5・THE ORIGINと続編もあるようだ。

 山田悠介さんの他の本も読んだ事があるが、やっぱり残酷な仮想現実に主人公が立ち向かうと言う設定が多いようだ。のっぴきならない比喩や語彙の多彩さや情景描写、心理描写の妙と言った作者の醍醐味と言うようなものは平均化され、話の筋で面白さを勝負する作家さんだと思う。読み易いし、でも平均的な日本語で、山田悠介さんらしさと言ったものはそのストーリーでの残虐性くらいしか無いのである。読み易いライトな文章を楽しみたかったら山田悠介さんで間違いないだろう。でも、読後の余韻や文学の奥深さのような体験は山田悠介さんの著作には余り無いような気がする。

 それでも立派な作家さんだ。いや、売れっ子作家さんだ。普通に文章を組み立てて読み易い物語を紡いでるだけなんだがそれができると言うのが強みなのだろう。私にはできない。プロットを作ってひたすら読み易いように書いてるだけなのか、はたまた創作に行き詰まって七転八倒しながら作り上げるのか、そんな創作の奥深さはわからない。世の中の人はこういう物を求めてんでしょ?それならこれはどう?といとも簡単に作家活動を続けてるような気もする。だからか何か、商業的には大成功を収めているが文学賞などは一つも受賞していないようだ。制作期間二ヶ月でバイト代と祖母の援助だけでリアル鬼ごっこを作ってから鰻登りで売れっ子作家だ。こんな人も居るんだな。本をいっぱい読んだと言う経験も無いそうだ。才能のある人はすぐに作家になれるんだなとしみじみ思った。


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