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兵庫県神戸市|老舗珈琲企業がBtoBからBtoCへビジネスモデル変革、副業人材を活用したEC展開へ

兵庫県神戸市は近畿地方にある大阪湾に面する都市で、人口約150万人、名高い霜降りの牛肉や港の背景にある美しい山々の景色で知られています。

神戸市灘区でコーヒーの焙煎・卸販売を手がける創業92年の老舗「萩原珈琲」さんが取り組んだICT活用事例をご紹介します。
2020年に取り組まれた、つい最近の事例です。


コロナによるビジネスモデルの転換期

元々萩原珈琲さんは、卸販売というBtoBの事業を中心に行っていました。しかし、取引先の喫茶店のオーナーの高齢化などにより、喫茶店の数が徐々に減少してきました。
確かに、昔ながらの純喫茶のようなお店はほとんど見なくなりました。

そこで、卸売ではなく直接消費者へ販売するBtoCへビジネスモデルを転換することにしました。

ただ、実はECサイトでのオンラインショッピングは以前から行っていました。しかし、卸売業が直接消費者と繋がるということは、取引先への卸売をやめることになり、取引先への印象が悪くなってしまうため、本格的なEC展開はできずにいました。

そんなときに、新型コロナウィルスの感染拡大があり、萩原珈琲の取引先や直営店の休業が余儀なくされました。
それでも萩原珈琲のコーヒーを飲みたいと言ってくれるお客様がたくさんいたため、消費者へ届けることを優先に考えて、直接販売することを決めました。


副業・兼業人材の活用

以前の記事でもご紹介した「JOINS」というサービスでは、地方の企業と都心にいる副業・兼業人材をマッチングしています。


地方企業との人材マッチングを行うJOINS社は、神戸市と業務提携を行いました。

神戸市の狙いは(1)高いスキルを持つ副業・兼業プロ人材と地域企業のマッチングを通じて、地域企業と産業を活性化すること(2)神戸で働くことに対するプラスのイメージを醸成し、地域のブランディングを図ること――の2点です。
マッチングした場合は、神戸市が人材の人件費の半額(最大3カ月間で15万円)を補助します。
※出典:苦境でも前に進む 神戸の老舗珈琲卸の決断 「EC拡大で得意先も守る」

神戸市との業務提携により、萩原珈琲店でもJOINSにより副業・兼業人材を活用することにしました。

コロナをきっかけにECサイトを立ち上げた事業者の方は多いと思いますが、ECサイトを立ち上げた後に必ず陥るのは「集客できない」という課題です。

ECサイトを立ち上げただけでは、消費者へは届きません。あくまでもオンラインで購入する手段を整えただけだからです。そもそもECサイトの存在を知らなければ、訪問して購入することはありません。

そこで萩原珈琲では、ECサイトの認知度向上や新規顧客獲得を行うための副業・兼業人材を募りました。予想を大きく上回る応募があり、萩原珈琲のブランディングに共感してくれた方からの応募も多かったようです。

萩原珈琲では副業・兼業人材を活用し、全体の3%ほどだったECの売上を、まずは1割まで引き上げる計画です。

萩原珈琲のECサイトはこちらです

https://shop.hagihara-coffee.com/


ポイント

ポイントはやはり副業・兼業の人材を活用した点にあります。

コロナウィルスの感染拡大によって、多くの事業者がホームページ制作やECサイトの立ち上げに着手しています。しかしホームページもECサイトも作っただけでは全く意味がなく、「どうやって知ってもらうか?」という顧客開拓のアプローチが必要です。

Webマーケティングで結果を出すためには、一長一短の勉強だけでは難しいことも多いので、スキルと経験を持った人材を取り入れる必要があります。

しかし、スキルと経験を持った優秀な人材は必ずと言ってよいほど忙しいでう。なぜなら優秀で社内でも引っ張りだこだからです。となると採用は難しいので、週1日や月2〜3日でよいから副業・兼業という形で参画してもらうのが現実的なやり方です。

そして、副業・兼業を活用するメリットはリソースを補う点だけではありません。萩原珈琲のように、「コーヒーが好きで、SNSを見て共感した」といった理由で応募してくる人材がいます。そういった会社や商品が打ち出すブランドに共感してくれる人(つまり"ファン"です)は、お金のためだけに働くわけではないため、高いモチベーションをもって仕事に取り組んでくれます。

ただリソースを補完するだけではなく、会社や商品のファンとなる人が味方に加わることで、より消費者へ届きやすい施策を打ち出すことも可能になると思います。

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