IP領域に化学反応を起こす。4つのプロセスでミッションを体現するロゴができるまで
株式会社Wunderbarは、2023年11月にこれまで使ってきたロゴをリニューアルしました。
デザインを担当したCCOの溜水(たまりみず)は「皆が納得するロゴデザインが完成するまでには紆余曲折があった」と語ります。どんなプロセスを経てWunderbarのロゴは生まれたのでしょうか?
ロゴリニューアルの背景や制作の流れ、ロゴに込めた思いについて、話を聞きました。
Wunderbarを象徴するロゴができるまで
ー ロゴをリニューアルした経緯を教えてください。
創業から3年が経ち「Skettt(スケット)」を中心としたIP事業も軌道にのってきた今、Wunderbarが改めて定義したMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)や事業構想を反映した新たなロゴが必要だと考えたからです。
今年3月、Wunderbarの文化や価値観を表現したカルチャーデックを作りました。しかし、旧ロゴを含むコーポレートサイトは、Wunderbarが本格的にIP事業に乗り出す前に制作したサイトのままで。カルチャーデックの公開後、まずはロゴを刷新しようという話になったんです。
ー ロゴ作成は、どのような流れで進んだのでしょうか?
大きく分けて4つのプロセスで進めていきました。
デザインの前段階でボード陣と検討したのが、ブランドパーソナリティとパーセプションゴールの定義です。Wunderbarが有する「個性(ブランドパーソナリティ)」と「対外的認知目標(パーセプションゴール)」を言語化する過程は、ロゴを作る上で欠かせないと考えています。
まずこの2つの定義を確認した上で、複数ある関連ワードの中からシンボル作成に必要な「キーワード」を抽出しました。そして、これらのキーワードをもとに、手書きのロゴ案を作成し具体的なデザインに落とし込んでいきました。
ー 既にロゴとして完成しているように見受けられますが、こちらは採用されなかったのですね?
キーワードをもとに複数のロゴ案を出してみたものの、ボード陣の中でも意見が割れてしまい、しばらく膠着状態が続きました。そんな時、「より『ミッション』にフォーカスしたロゴを作ってみてはどうか」とCEOの長尾さんから提案があったんです。
これまでは、対外的にも伝わりやすい「IPの可能性を広げ、人々に衝撃と感動を」というビジョンを軸にキーワードを連想していました。
しかし、長尾さんの頭の中には「Wunderbar=力強い」というイメージが強烈にあって。それは、「自らを超越するマインド・行動で世界に衝撃を与える」というWunderbarのミッションに由来するものでした。
そこからは、「グローバル・成長・IP」の3つをメインキーワードとした、力強くシンプルなロゴ作りに方向転換したんです。
ー とはいえ、抽象度の高い3つのキーワードから、どのようにして具体的なモチーフに落とし込んだのでしょうか?
まずは、「グローバル」というキーワードから、公共性が高く国籍や人種を問わず認識されやすいシンプルなモチーフを作りたいと考えていました。数ヶ月に渡って試行錯誤をくり返した結果、辿り着いたのが、「プラズマ(雷)」でした。
「雷が多いと豊作になる」という言い伝えにもあるように、雷が持つ高エネルギーのプラズマは、化学反応を生むことで植物の成長を促す効果があるそうです。これは、「IP事業によって世の中を豊かにしたい」と考えるWunderbarの思想と、強くリンクすると感じました。
さらに、「雷害と豊作」という雷が持つギャップも、エンタメ業界のアナログな部分を「IT」の力で変革する、Wunderbarの事業構想に通じます。
まるで雷のように、IP領域に化学反応を起こし、自らを超えるマインド・行動で世界に衝撃を与える。まさに、Wunderbarを象徴する力強いモチーフだと感じました。
ー しかし、キーワードから「雷」をすぐに連想するのは容易ではない気がします。発想を生むための何か秘訣があるのでしょうか?
キーワードからモチーフを生み出す上では、日頃から行っているブレインストーミングの手法が役立ちましたね。
ブレインストーミングのアイデア出しの手法の一つとして、関連性のないキーワードを組み合わせて新たなアイデアを生み出す手法があります。
ただ思いもよらないアイデアを出すわけではないので、ある程度遠いキーワードも視野に入れて、掘っていった時に、雷に含まれるプラズマがWunderbarにリンクしました。それをモチーフのメタファー(隠喩)として利用するのはピッタリだなと。
ー 最後の選定では、どのような「検証」をされたのでしょうか?
モチーフ決定後は、ロゴの方向性を模索し、雷の要素が強いタイプ(A)と力強さのあるタイプ(B)の2パターンまで絞り込みました。
この選定にはいくつかの視点で検証しました。
上記の検証に加え、将来的にWunderbarが世界に進出した際にどちらのフォルムが自分たちらしいかを踏まえて、最終的に決定したのが(B)タイプです。
ー シンボルと組み合わせるタイプデザインは、どのような基準で選んだのでしょうか?
「グローバル企業を目指す」という大前提があったため、世界的にメジャーなフォントを使用したいと考えていました。そこで選定したのが、Avenir Next(アベニール ネクスト)です。Avenir NextはAvenirという書体をクリエイティブ・タイプディレクター小林章さんが改刻した書体です。
Avenirから改善された力強いウエイトや、幾何学的でもどこか人間味を感じるフォルムは、ギャップをはらむWunderbarのイメージと合致します。
加えて小林さんはドイツ在住という点も、ドイツ語の社名を持つWunderbarとの縁を感じましたね。
ー 最後の仕上げはどのように行ったのでしょうか。
基本は数値的に整えた上で成形していますが、それが最適なバランスに見えるとは限りません。目視した時に多少なりとも感じる違和感を整えるための調整(精緻化)を繰り返し、僅かではありますが「成長」というキーワードがより感じられる右肩上がりのバランスに仕上げています。
最終的には、他のメディアにも使用されることを想定したブランドガイドにも落とし込んでいます。最小サイズやクリアスペースなど最後まで検証しながら仕上げました。
6月頃から打ち合わせを始め、何度も修正と提案を重ねた結果、10月にようやくメンバーに発表することができました。
「ストーリー」を語れるロゴを作りたかった
ー 今回のロゴリニューアルを振り返って、難しかったと感じることはありますか?
やはり、論理性とデザイン性を兼ね備えたロゴを作るという点が難しかったですね。あくまでも「シンボル」なのでボードメンバーも直感的に捉えてしまって、途中でロゴに込めた「思い」が語れなくなるという状況にも陥っていました。
ただ、私の中ではロゴを作ると決まった段階から、メッセージ性や語れるストーリーをロゴに付随させたいという信念があって。そこに拘って思考を深めた結果、雷というモチーフを見出せたのだと思います。
ー 他に大変だったことはありますか?
決定権を持つメンバーが多かったことも難しかったポイントですね。ただ、長尾さんがボードメンバーの意見を聞く姿勢を大切にしていて、それが「Wunderbarらしさ」であることも理解していました。そのため、私自身もボード陣も巻き込みながら積極的に意見を取り込みたいという思いはありました。
皆が納得できるようなモチーフにたどり着くまでに時間は要しましたが、結果的に論理性とデザイン性両方のバランスがとれた、全員が納得するロゴが作れたと感じています。
Wunderbarへの期待や「進むべき道」を示す存在に
ー メンバーの皆さんからの反響はいかがでしたか。
ロゴが持つストーリー性もそうですが、シンプルな見た目が良いと言ってもらえました。コーポレートサイトや名刺へ反映するだけでなく、Tシャツやキャップなどオリジナルグッズが欲しいとフィリピンメンバーからも意見があったのも嬉しかったですね。
ー 今後、新たなロゴがどのような影響を生んで欲しいと考えていますか?
対外的に捉えると、視覚的にもわかりやすいフォルムなので、「シンボルを見ればWunderbarがすぐに思い浮かぶ」というレベルまで認知度をあげたいと考えています。
一方で、今後加わるメンバーに対しては、ロゴに込めた思いを伝えていきたいと思っています。そうすることで、ロゴがWunderbarへの期待や進むべき道をより明確にし、困ったときに原点に立ち返るための「指針」になってくれると信じています。
今回はCCOの溜水に、ロゴリニューアルを決めた背景や完成までの流れ、今後の展望などについて語ってもらいました。試行錯誤の末に生まれた新たなロゴには、グローバル企業を目指して成長を続ける、Wunderbarの力強い意志が込められています。
▼溜水のインタビュー記事はこちらから
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