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赤川次郎「招かれた女」 あらすじ&感想

赤川次郎「招かれた女」の、あらすじ&感想です。
ネタバレなしで、「招かれた女」の魅力を紹介していきます。

▲ 少し、癖のある作品です。

あらすじ

とある女子中学生の全裸死体が発見された。
捜査一課のベテラン刑事・宮本と、若手刑事・谷内は、捜査の末に犯人を追い詰める。しかし結局、犯人は死亡し、谷内は殉職してしまう。
責任を問われたベテラン刑事・宮本は、警察を退職する。

事件の後、宮本はとある喫茶店で、谷内の婚約者・爽子と出会う。彼女の紹介で、宮本は警備の仕事に就くことになり、爽子の画家志望の友人・淳子や、有力画商・中路、その愛人・昭子と知り合う。

そして、ひょんなことから宮本は、過去に昭子が描いた似顔絵が、女子中学生殺しの鍵を握っていると気がつく。事件解決に動き始める宮本に、真犯人の手が伸びて・・・・・・。第二、第三の殺人が起きてしまうのであった。

感想

ちょっと変わった推理小説です。
〈視点〉が固定されておらず、場面場面で変わります。最初はベテラン刑事・宮本の〈視点〉だったのが、死亡した谷内の婚約者・爽子の〈視点〉に変わったり。〈視点〉が変わることで明らかになる事実もあるので、おもしろいなと思います。

一方で、慣れていない人は、読みづらいかもしれないですね。
他の作品と比べると、頻繁に〈視点〉が変わっています。いわゆる"主人公"がいないので、そこが気になるかどうかで、この作品を楽しめるかどうかが変わってくると思います。

ストーリーの中では、複数の殺人が起こります。いずれも、過去に起きた、女子中学生殺人事件を発端としたもの。過去に解決されなかった事件が、現代で再び、事件を起こしているんですね。

犯人自体は、ストーリーの中盤辺りで分かりました。
ただ、最後の最後に『えっ?』と驚くような仕掛けが待っています。
これはこの作品の一番おもしろい所なので、詳しくは書けませんが、犯人が分かっていても驚きました。『そうくるのか』という感じです。

ただ、最後の仕掛けの影響で、ちょっとモヤッとするラストになってます。
斬新だけど、あまりスッキリした終わり方ではないですね。

けれど、人間の裏の顔とでも言うのでしょうか?
ダークな部分が、よく伝わってきます。人間の”闇”を描いた作品が好きな方なら、好きなラストかもしれません。

こんな人にオススメ

✔ 赤川次郎のファン
✔ 最後に驚きが待っている、推理小説を読みたい人
✔ 複数の視点により、謎が明らかになっていくのが好きな人
✔ ダークな結末の作品が好きな人

推理小説は好きで、よく読むけど、似たような内容に飽きてしまっている方。この作品で、『えっ?』と思わず声を上げてしまうような驚きを、体験してみませんか?


※私は実際に声を出してしまいました※


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