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経営者に不可欠な本能の自制心について(3)承認欲求の問題に向き合う


承認欲求の問題

承認欲求は、人々が自らの努力や成果を評価してもらい、他者からの肯定や称賛を求める欲求のことを指します。経営者目線から見ると、この承認欲求を適切に扱わないと様々なリスクやデメリットが生じる可能性があります。以下にそのリスクやデメリット、そして対策や適切な考え方をまとめます。

リスク・デメリット:

  1. 過度な競争心の発生:承認欲求を満たすために、従業員同士が過度に競争を始める可能性があります。これはチームワークの低下や、不健康なオフィスの文化を生む可能性がある。

  2. 品質の低下:表面的な成果を速やかに生むことに注力し、中長期的な品質や結果をおろそかにする傾向が出てくるかもしれません。

  3. 効率の低下:他者の評価を得るために、無駄に時間を使って完璧を追求することで、結果として効率が低下する可能性がある。

  4. モチベーションの偏り:承認を得ることのみにモチベーションが偏ると、本来の業務の目的や意義を見失いがちになる。

  5. 信頼の低下:経営者が一部の従業員だけに承認を与える場合、その不均衡が他の従業員の不満や信頼の低下を引き起こす可能性がある。

対策・適切な考え方:

  1. 公平な評価体系の確立:公平かつ透明な評価体系を確立し、従業員全員に明確に伝えることで、健全な競争心や協力の文化を築く。

  2. フィードバックの頻度を増やす:定期的なフィードバックのセッションを持ち、従業員の努力や成果を適切に評価し、承認の機会を増やす。

  3. 承認の質を高める:量的な承認だけでなく、質的な承認を意識する。具体的な事例や状況を挙げて称賛することで、従業員のモチベーションや自己評価を向上させる。

  4. チーム全体の承認:個人の成果だけでなく、チームとしての成果も適切に評価・承認することで、チームワークを促進させる。

  5. 自己承認の育成:従業員が自らの成果を客観的に評価し、自己承認する力を育成するための研修やワークショップを実施する。

承認欲求は人間の基本的な欲求の一つであり、経営者としてはこの欲求を適切に理解し、組織の文化や評価体系を通じてバランス良く承認を与えることが重要です。

経営者自身の承認欲求

また、経営者自身の承認欲求についての認識やコントロールが適切でない場合には、経営者自身の失敗や悪影響にとどまらず会社組織自体が崩壊する恐れがあります。

経営者自身が承認欲求について過度に持っている場合、それは組織の方針や雰囲気、そして従業員との関係に悪影響を及ぼすことが考えられます。以下に経営者自身の承認欲求に関連する問題点と、それに対する対策や適切な考え方をまとめます。

経営者自身の承認欲求の問題点

  1. 意思決定の歪み:自らの意見や決断が承認されることを優先するため、組織にとって最適な選択を見失うことがある。

  2. 人間関係の摩擦:自分の意見やアイディアを強く主張し、他者の意見を認めないため、コミュニケーションの障壁が生じることがある。

  3. リーダーシップの低下:承認欲求を満たすための行動が目立つと、リーダーシップの権威や信頼が低下する可能性がある。

  4. リスクの増加:自らのアイディアや決断が正しいと信じるあまり、リスクを適切に評価せず、無謀な挑戦をすることがある。

経営者自身の承認欲求の対策・適切な考え方

  1. 自己認識の強化:自分の行動や感情の背後にある承認欲求を意識し、その影響を認識することが第一歩です。自己認識を深めるための研修やコーチングを受けることを検討すると良いでしょう。

  2. フィードバックの受け入れ:経営者も人間であり、必ずしも正しい判断ができるわけではありません。従業員や取引先、顧客など多様な立場の人々からのフィードバックを真摯に受け入れる姿勢を持つことが大切です。

  3. 客観的な評価指標の設定:ビジネス上の決断を行う際、客観的な評価指標や基準を設けることで、自らの承認欲求が介入することを最小限に抑えられます。

  4. リーダーシップの再定義:リーダーシップとは、自らを中心に組織を動かすことではなく、組織やメンバーの可能性を最大限に引き出すためのサポートを行うことであるとの考えを持つことが重要です。

  5. メンターや相談相手の確保:自らの考えや行動を第三者の視点から評価してもらえるメンターや信頼できる相談相手を持つことで、承認欲求の影響を適切にコントロールできるようになります。

結論

まずは経営者自身の承認欲求が組織に悪影響を及ぼすことを避けるためには、自己認識の強化と客観的な視点の獲得が鍵となります。組織の成果や目的を最優先し、自らの欲求や感情を適切に管理する能力が求められます。

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