インボイス制度は「フリーランスへの死刑宣告」なのか?
おはようございます、ひらっちです。久しぶりの更新ですが、皆さんはいかがお過ごしでしたか? 僕は、やっとの思いで確定申告を期限までに終え、少しホッとできるかと思いきや、猛烈な原稿の締め切りに追われる日々です…。
<いつものように簡単な自己紹介です>
僕は、地方国立大学を卒業後、ブラック企業で営業マンを経験。その後、フリーランスのライターとして独立開業、さらに数年後、新規就農して農業をスタートさせ、2020年現在、好きな仕事を選びながら人生を謳歌する「ほぼセミリタイア生活」を実践しているアラフォーです。
このnoteでは、特に20・30代のビジネスパーソンの皆さんに、僕の経験に基づいた「人生を楽しく過ごすための技術」を提供し、少しでもたくさんの方に「幸せな毎日」を掴んで欲しいと考えています。どうかお付き合いください。
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■さあ、いよいよ死刑宣告の日が、1年後に迫ってきたよ…。
あらためまして、ひらっちです。今日は「フリーランス」をテーマに書いてみたいと思います。
フリーランスとしてご活躍の皆さん、「インボイス制度」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?
最近また話題になることが多くなってきたので、ほとんどの方が知っているかもしれませんね。このnoteでも、1年半くらい前になりますが、インボイス制度について記事を書かせていただいております。
ちなみに、先日の日経新聞には、こんな記事が掲載されておりました。
そもそも「インボイス」とは、消費税額を正確に捉えるために導入される制度で、来年(2023年)の10月から本格的にスタートすることになっています。
この制度が始まると、消費税額を正確に把握するため、事業者同士の取引において、売り手が買い手に消費税額などを記した書類を交付することになります。
現在の消費税制度では、年間売上1000万円以下の事業者については、消費税の納税義務が免除されています。通常、お客さんから預かる形となった消費税はちゃんと納める義務がありますが、免税事業者の場合、消費税分を預かっても納めなくてもいい。要するに「消費税のもらい得」みたいな状況が生まれていたんです。これは「益税」なんて言われ方をしてきました。
サラリーマンの方はご存知ないかもしれませんが、独立・起業をされている方であれば、よ~く知っている内容だと思います。なぜなら、この免税期間をフルに活用して、個人事業主→2年間免税→法人成り→さらに2年間免税というのが、これまでの起業の王道パターンだったからです。
今回のインボイス制度の導入は、実質的にこの「益税」を是正するのが狙いです。一般の人からすれば不正をしているように見えるし、世論の反発を招きにくいですからね。
インボイス制度が導入された後は、免税事業者と取引を行った分の消費税額は、仕入れ金額として控除できなくなります。そのため、仕入れ先や依頼先を選ぶ時には「ちゃんと消費税分を控除できる消費税の課税事業者を選びたい」と考えるようになるでしょう。
今後は、たとえ売り上げがものすごく少なくても、消費税の課税事業者になることを実質的に強制される方向に進むことが予想されます。
ちなみに上記の新聞記事によれば、すでにこの手の圧力がかかり始めているようですが、今のところ僕には何も来ていません。すでに課税事業者だからかもしれませんが。
■インボイス制度以後、フリーランス界隈に何が起こるのか?
僕自身は、インボイス制度の導入をどう見ているのか。これまでのフリーランスの現場経験から、以下の2つの動きが出てくると考えています。
・年間売上数万~数十万円レベルの零細フリーランスが一斉消滅
ぶっちゃけ、月数万円レベルの副業的なフリーランスの場合、インボイス制度が導入され、「適格請求書発行事業者」としてきちんと消費税の申告をしなければいけない状況になると、全く割に合わなくなる可能性が高いと考えています。
例えば、副業的にライターをしている場合、別途、確定申告をしなくてもいいレベルの仕事量しかしていないケースもあるでしょう。こうした人たちがインボイス制度への対応を求められても、ライター業務以外の煩雑な仕事が増え、「何をしているんだろ?、私…」といった状況に陥りかねません。
駆け出しのライターさんを応援したいのはやまやまですが、僕がもし「今からライターを始めて小遣い程度に稼ぎたい」と思っている知人にアドバイスするとしたら、「悪いことはいわない。やめておいた方がいいよ…」と言うかもしれません。それくらいのインパクトがあると思っています。
・すでに課税事業者のフリーランスにはむしろ追い風?
上のお話とも連動しますが、おそらく今後、大量の零細フリーランスが、市場から退出することになるでしょう。
僕が主に仕事をしているフリーライターの世界では、近年、いわゆるクラウドソーシングサービスの盛り上がりによって、副業ライターが大量に出現し、市場全体の単価を下げる圧力が働いてきたと感じています。なかには違う認識をお持ちの方もいるかもしれませんが、以前からライティングを本業にしてきた人たちは、おおむね同様の印象を抱いていると思います。
これは、既存のライターのみならず、新規参入組のライターにとっても、あまり好ましい状況ではないと考えてきました。このnoteでは一貫して「ランサーズやクラウドワークスは早めに卒業しようね!」と主張してきたと思いますが、全体で地盤沈下していくのは、誰にとっても良くありません。
その点で今回、大量の退出者が出ることは「本気でライターとして頑張っていきたい!」という熱意を持った方にとっては、むしろ追い風に働く面もあると思っています。適正な単価が保たれ、ちゃんと仕事をする人に、きちんとしたルールのもとで仕事が発注される。そんな流れが改めて醸成されるかもしれないからです。
■じゃあ、どんな備えや対策を講じるのがよい?
すでに書いたように、なかにはメリットが発生する人もいると思われるインボイス制度ですが、フリーランス全体にとっては大きなマイナスのインパクトがあることは間違いなさそうです。
じゃあ、どんな準備をしておけばいいのか。おそらく取りうる対策は、以下の2つに集約されると思います。
・自分の実力を上げる
特別な特効薬はないと思います。そもそもお客様から信頼され、消費税がどうとかに関係なく「ぜひともお願いしたい!」と言われるフリーランスになれば、多少の制度の改悪に怯える必要はありません。
努力を重ねて単価を上げ、ちゃんと稼げる人になる。そもそも年間売上1000万円を超えていたら、消費税の課税事業者になるわけですから、早めにそこを目指して頑張るのが一番です。
・取引先の分散と金銭的余裕
これを機に、仕入れ業者の取捨選択が行われていくことになりそうです。また、コロナ禍により政府から相当なバラマキが行われましたから、今後も「取れるところから税金を取る」という方向性は、長期トレンドとして続いていきそうです。コロナがもう少し収束したら、世の中のマイノリティー(相対的に選挙への影響が少ない層)である「高額所得者」や「自営業者」「フリーランス」などが狙い撃ちされるのは、火を見るより明らかです。
さまざまな変化に対応できるよう、売上を特定の業者に頼るのではなく分散化しておく。いざという時に「嫌なものは嫌だ」と断れるだけの金銭的な余裕を持つ。こうした備えが、あなた自身の身を助けてくれるはずです。
■まとめ
いかがでしょうか? すでに決まったルールですから、年間売上1000万円以下で「益税」の恩恵を受け続けてきたフリーランスの方々は、おそらく「適格請求書発行事業者」となる以外に選択肢はないでしょう。
また、これからフリーランスとして独立される方も「創業時のボーナスはもう終わった…」とあきらめて考えるしかないと思います。人間には「アンカリング」というものすごく強いバイアスがかかるため、「なんだか損した」と思うかもしれませんが、「むしろこれまでが変だった」と切り替えて、一気に売上1000万円以上を目指して頑張っていきましょう!
変化が起これば、そこには何かしら別の突破口やチャンスが生まれてくるものです。後ろ向きになりがちな事象でも、視点を変えることで、どこかに光明を見出していく。そんな姿勢を大切にしたいものですね!(^^♪
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