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在宅医療職の昇給する?しない?

訪問看護師さんをしている知人からの話です。一企業の問題として捉えず、多くの事業所が抱えている悩みではないかと思い、記事にしました。
昇給はさせられる?させられない?といった切り口になるかもしれませんが、社会問題の一つとして、個人的な見解で解消に向けて提案したいと思います。

在宅医療職とは

在宅医療職とは、自宅や介護施設などの場所で、医師や看護師、薬剤師、理学療法士などの医療従事者が、患者さんの健康管理や医療処置を行う職種のことを指します。
在宅医療は、病院やクリニックでの診療と異なり、患者さんの自宅や介護施設などに訪問して、診療を行うことが特徴です。在宅医療には、緩和ケアや療養病棟、訪問看護、訪問リハビリテーションなどの職種があり、患者さんの状態に応じて、適切な医療を提供することが求められます。

同一賃金同一労働へ

同じ職務や同じ能力を持つ労働者は、同じ労働量や勤務時間に対して、同じ賃金を受け取るべきであるという原則のことです。

これは、賃金が性別や年齢、国籍などの個人的な要因に基づいて差別されることを防止するために、社会的な要請として定着しています。

しかし、同一賃金同一労働の実現には、まだ課題が残されているとされています。例えば、同じ職務であっても、経験年数や能力、業績によって賃金が異なることがあるため、公平性が保たれていない場合があります。また、同じ労働量や勤務時間であっても、業種や地域によって賃金が異なることもあります。

そのため、同一賃金同一労働の実現に向けては、法制度や社会意識の改革が必要とされています。例えば、同一労働同一賃金を定めた労働基準法の改正や、女性や外国人労働者への差別禁止措置の強化、企業や社会全体での意識改革などが必要とされています。

診療報酬の点数

診療報酬の点数とは、医療行為の複雑さや時間、資材費などを算定したもので、医療機関に支払われる診療報酬額の基準となる数値のことを指します。

具体的には、診療報酬点数表に基づき、医療行為に対して算定された点数を基に、診療報酬額が決まります。点数表には、各医療行為に対する点数が設定されており、医療行為が複雑であれば高い点数、簡単であれば低い点数となっています。

診療報酬点数は、保険適用医療行為に対して算定されるため、自由診療や美容整形などの医療行為には適用されません。また、診療報酬点数は、定期的に見直され、改定されることがあります。

診療報酬点数は、医療機関の収益に直結するため、医療機関側は、効率的な医療行為や医療技術の向上などに取り組み、適正な診療報酬額を受け取ることが求められます。

地域医療への取り組みに対する報酬額の改定を

地域医療への取り組みに対する報酬額の改定を求めたいと思います。地域医療においては、医療従事者が地域の住民に近い距離で医療サービスを提供することが求められます。しかし、このような取り組みに対して、現在の報酬額は不十分な場合があるという声があがっています。

地域医療は、患者の地域で、日常生活と密接に関わる健康問題に対処することが必要とされます。そのため、地域医療における医療従事者は、地域のニーズに応じた医療サービスを提供することが求められます。しかし、現在の報酬制度では、地域医療における医療従事者の報酬が不十分な場合があります。

地域医療においては、病院やクリニックで行われるような高度な医療技術が必要な場合が少なく、予防医療や健康管理、診療補助などの業務が中心となります。そのため、報酬が低いことにより、地域医療に従事する医療従事者の意欲が低下する恐れがあります。また、地域医療に必要な人材確保が困難になることも懸念されます。

このような課題を解決するためには、地域医療に対する報酬額の改定が必要です。地域医療に従事する医療従事者に対して、適切な報酬が支払われることで、地域医療に取り組む意欲が高まり、質の高い医療サービスが提供されることが期待されます。

地域医療に取り組む医療従事者の貢献は、地域の健康と生活に大きな影響を与えます。そのため、地域医療に対する報酬額の改定が、地域の健康増進や医療サービスの充実につながることを期待し、早急な取り組みが求められます。

する?しない?で言えば・・・

するしないで言えば、しないことはないです。
ただ、在宅医療職の場合、小さな事業所が多く、その評価制度も曖昧なようです。役職のない一般職員から主任になるには、主任からその上の役職になるには、といったキャリアアッププランもない、もしくは曖昧なところが多いと感じます。また看護師などの女性が多い職場では、出産や育児などでの離職や、休暇が常に付きまといます。
1日に与えられた時間は皆同じ中で、事業所が事業を広げない、スタッフを増やせないなど課題がある場合が多く、昇給がしづらい環境にあると言えます。また、介護事業所の倒産、2022年は過去最多というニュースもあるように経営がうまくいかない事業所が増えています。ひとえに、人手不足、なり手不足が原因であると言えます。様々な要因が絡まっているとはいえ、その原因を解消するには、給与体系の見直しが必要ですが、先にあげた診療報酬、介護報酬自体の見直しが必要であると言えます。

評価制度がないところは今すぐ作成を

国家資格があるかないかで、敷居を設けている職種ではあるものの、その先の入職後の個人評価やキャリアアップは、業種問わず必要です。経営がうまくいかない理由の一つに人手不足はありますが、今いるスタッフがモチベーション高く、未来志向で働き続けるには、「正しい人事評価」が重要だと考えます。
厚生労働省は、人材開発のためのキャリアマップ、職業能力評価シートの例を一部業種ですが、公開しています。あいにく、介護、医療についてはありません。(何処か別のところにあるかもしれません)ですが、4段階に分けて、その基準を作るキャリアマップと、評価シートについては、そこまで大きく変わるものではありません。その作業、業務が一人でできるか、できないかや、人に教えられるかなどで、各業務ごとにレベルを設けることで、策定が可能です。
こちらを参考にして、事業所ごとに、評価制度や、キャリアマップを作成に取り組むことをお勧めします。見える化することでスタッフ側もそのマップに従って、キャリアアップできることを期待してモチベーションを上げ、働き続けたいとなることでしょう。
それは従業員との約束でもあるからです。

スキルアップと重度障がい者への対応

一人当たり1日あたりの訪問件数が限られている中で、診療報酬の点数が高くなるケアが複雑な重度障がい者への対応には、スタッフのスキルアップも不可欠です。その方法は、外部の事業所への研修などをスタッフに受けさせることで、1時間あたりの報酬点数単価が高くなることで、事業所の売上もアップでき、それに対応できるスタッフへの昇給が見込めます。
そのようにして、重度患者が在宅ケアできる事業所になることで、高い技術を保ちながら、採用を強化し、事業を広げていくことが不可欠です。

高齢化の未来に

おそらく高齢化の未来に、対応できるだけの人材を確保していくことがより困難になり、外食産業や、小売業だけでなく、医療に関しても、そういった差別化が生き残るための鍵となることにでしょう。
軽度の利用者への継続的な在宅医療の継続はスタッフへの負担も少なく、事業所としての経営にも影響が出にくいことは安定の基盤として重要です。その先に、スタッフの昇給がしにくい事情が生まれていくことはおそらく避けられません。
事業所を継続していくにはスタッフの不満に耳を傾け、どうすれば解消するかを常に考え、引くて数多な職種ですので、離職を防ぐことが重要です。
時間数が少なくパートでも良いので給与が高い高度な仕事か、時間数が多く軽度な利用者を数回る仕事か、スタッフの意識も異なると思います。
数回るにも限りがありますので、スキルアップを一緒に考え、事業所の質を高めて、選ばれる事業所になっていくようにしていくことが重要であること、それに気づけない経営者が多いようにも感じました。

DX化で早期解決も


介護職、医療職から経営者になる方は、やはりその点の人材管理、活用スキルが不足しているのかもしれません。デジタルトランスフォーメーション(DX)化することで、雛形が整理された環境を業務に組み込むことができますので、HR Tech企業(人材管理の技術開発会社)を探してみてはいかがでしょうか。きっと早期解決につながると思います。
報告業務、事務仕事が減る時間を訪問時間に回すということも可能だと思います。

※以上、知人からの話を聞いた、個人的な見解です。



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