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ボローニャ・ブックフェア(Bologna Children’s Book Fair)に行ってきました!

ワールドライブラリーは2023年3月6日〜8日の3日間、イタリア・ボローニャで開催されたボローニャ・ブックフェア(Bologna Children’s Book Fair)に行ってきました!
コロナの影響で中々海外へ行けない時期がありましたが、今年、4年ぶりに参加することができました!

ボローニャ・ブックフェアとは

世界三大ブックフェアと呼ばれるボローニャ、ロンドン、フランクフルトの中で唯一の児童書専門の見本市がボローニャ・ブックフェアとなり、世界中の児童書の出版社が集まる大きな商談会です。
毎年、出版社や作家・イラストレータはもちろん、翻訳家や著作権エージェントなど、児童文学に関わる様々な企業・人々が参加します。

ワールドライブラリーはビジターとして参加し、次の新刊を見つけるべく、様々な出版社とミーティングを行なったり、会場を駆け回って絵本を片っ端から見たりと、大忙しな3日間を過ごしました。

ブックフェアの様子

会場は大きく4つのホールが存在し、その中で様々なブースに分かれています。出版社のブースはもちろん、国や地域ごとにフォーカスしたブースなどもあります。
とても広い会場ですが、どのホールも人が賑わっていて、特に入り口近くの絵本販売のブースがあるホールは、常に混雑しているので、見たい絵本を見るのもやっとな程です。

ブース内には、出版社の新刊や売れ筋タイトルがずらりと展示されていて、用意されたデスクで版権交渉のミーティングが行われています。
基本的には、事前にアポをとって版権担当者とミーティングを行いますが、会場で良い絵本に出会ったら、その場で担当者とミーティングを行うこともしばしば。
メールやオンラインでは中々伝わりづらいことも、実際に絵本を手に取りながら、直接顔を見て話ができるのが、オフラインでブックフェアに参加する醍醐味です。

出版社や国や地域ごとのブースだけでなく、その年のテーマに沿った催しを行うブースもあります。
今年は、ウクライナのアーティストたちが描いた作品のエキシビジョンや、開催期間中の国際女性デー(3月8日)を祝った特設ブースなどがあり、昨今の社会の状況が反映されていました。

ウクライナのアーティストたちが描いた作品のエキシビジョン "Ukraine Illustrated"
開催期間中の国際女性デー(3月8日)を祝った特設ブース "Women donne femmes frauen 女性 mujeres wanawake نساء…"


ボローニャ・ラガッツィ賞(Bologna Ragazzi Award)

会場内ではボローニャ・ラガッツィ賞(BolognaRagazzi Award)の受賞作品も展示されています。
ボローニャ・ラガッツィ賞とは、グラフィックデザインや、革新性などの観点から、毎年すぐれた児童・青年向け書籍に贈られる賞で、作家やイラストレーター個人に贈られるのではなく、編集者や装丁者などを含めた総合的な作品として、本そのものに贈られます。

ボローニャ・ラガッツィ賞は、フィクション部門、ノンフィクション部門、オペラプリマ部門(作家・画家の第一作が対象)、漫画部門の主要4部門と、毎年設けられる「特別カテゴリー」(今年は「写真」部門)の5つの部門が設けられています。

ボローニャ・ラガッツィ賞の特別エキシビジョンとして、受賞作品と、各カテゴリのファイナリストの中から選ばれた100 冊が展示されるエキシビジョンもありました。
絵本を上からぶら下げるという、海外らしいとてもユニークな展示方法です。
ビジネス向けの大きな商談会ですが、「絵本」が持つ芸術性もこういった展示方法などに盛り込まれているところが、このブックフェアの見どころの一つ。
興味があれば担当者へ直接交渉しに行けるように、絵本と一緒に出版社のブースNo.もぶら下げられていました。

各カテゴリのファイナリストの中から選ばれた100 冊のエキシビジョン"THE BRAW AMAZING BOOKSHELF"


ワールドライブラリーを探せ!?

会場内では、ワールドライブラリーで出版しているタイトルが展示されていることも、もちろんあります。新刊絵本を探しながら、「いくつ見つけられるかな」と、ついつい探してしまいます。
出版当時から長く愛されている絵本、出版したばかりでこれから注目されていく絵本、古くに出版されて、今再評価されている絵本。ワールドライブラリーで出版したタイトルにも様々ありますが、会場内で飾られているのを見つけると、やはり嬉しくなってしまいます。

アボカドくんのなやみごと』は、ワールドライブラリーでの出版当時、本国でも出版されたばかりのタイトルでした。
ミーティングのためにブースに向かうと、入り口の目立つ場所にこのタイトルが置かれていて、今でも人気タイトルとして注目されているのだと感じ、とても嬉しい気持ちになりました。

ワールドライブラリーの人気No.1絵本『あおいよるのゆめ』は、版元のブースでも、看板タイトルとして目立つ場所にに飾られていました。
いくつもの国で翻訳出版されるほどの人気っぷりで、ワールドライブラリーが日本で出版できたことを誇りに思います!

「ジャブチ賞」受賞タイトルのエキシビジョンでは、昨年出版したばかりの『ぼくの窓から』が展示されていました。
「ジャブチ賞」とは、ブラジル出版界において最も権威ある賞とで、『ぼくの窓から』は2020年に児童文学部門で受賞しています。
こうして展示されているのを見ると、出版できてよかったな、と改めて思います。

絵本を通じて、繋がる世界

4年ぶりに参加したボローニャ・ブックフェアは、以前と変わらず、児童書の持つパワーに圧倒される3日間でした。
世界中でまだまだ面白い絵本が出版され続けていて、各社、各国、常に前進し続けていると実感しました。

中には、まだ出版という文化が発展していない国も沢山あります。それでも、少しずつ自国の出版文化を発展させようと、少ない出版数ながら、ボローニャ・ブックフェアに参加している出版社の絵本も沢山見てきました。

ブラジルの出版社が集まった、とあるブースで絵本を見ていた時、そのブースのオーガナイザーの方が、タイトルを一つ一つ親切丁寧に説明してくれました。その方は、「児童書を通して、自国の歴史や文化を世界に知ってもらいたい」と話してくれました。

私たちは、日本の子どもたちに、世界を知るきっかけをつくるために絵本を出版すると同時に、世界中の出版社や、絵本を作る人々の、「世界に伝えたい」という思いを繋ぐ役割も担っているのだと、このブックフェアを通して再確認しました。
それが、世界中で素晴らしい絵本が沢山生まれること繋がり、日本の子どもたちにも、ますます素敵な絵本を届けられることに繋がると信じています。