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噛ませ犬ごはん【毎週ショートショートnote】

終業のベルが鳴る。
昼休みの始まりの合図だ。
鞄の中から自作のお弁当を取り出すと席を立つ。
お昼はいつも一人で食べる。
今日みたいに天気が良い日は、美術室と校庭の間にあるベンチが定位置だ。
間にフェンスがあって影になっているので、存在もあまり知られていない穴場なのだ。

きっと今頃、双子の姉は意中の彼の所に、お弁当を持って行っている所だろう。
私が作ったお弁当を、あたかも自分が作ったかのように。

二卵性双生児で全く似ていない私と姉。
ぱっちり二重の瞳に柔らかい髪、小柄で可愛らしい顔立ちの姉と、一重で地味な顔立ち、天パを押さえるために常に髪を結んでいる私。
昔から姉の方が誰からも可愛がられ、異性からはモテて、私は常に引き立て役だった。
姉もそれを熟知していて、気になる異性の所には私を連れて行った。

見た目は似ていないが、好みのタイプは同じなのが厄介なところだ。
今日もまた一人、ため息をつきながら、意中の彼が食べるのと同じお弁当を口にした。

(410文字)


こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの「毎週ショートショートnote」に参加しました。

今回のお題は「噛ませ犬ご飯」でした。

410文字くらいという制限があるのですが、書いていてこの続きを書きたくなってしまいました。
いつか書くかもしれません。

裏お題は「騙せ林檎パン」だそうです。
こっちは間に合わないかなあ。

とりあえず「噛ませ犬ご飯」は書けたので、他の皆さんの作品を読みに行こうと思います。
ではでは。羽根宮でした。

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